全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月27日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 大田区
  4. 大森町駅
  5. 社会医療法人財団城南福祉医療協会 大田病院
  6. 田村 直 院長

社会医療法人財団城南福祉医療協会 大田病院

(東京都 大田区)

田村 直 院長

最終更新日:2020/11/25

20180802 main20180802 main

地域に支えられ、ともに歩み続ける中核病院

京急本線・大森町駅から徒歩10分。産業道路から住宅街に入った場所に立つ「大田病院」は、1949年創設の歴史ある病院だ。東京都指定の二次救急医療機関として、また救急医療に注力する一方で、2010年のリニューアルでは回復期リハビリテーション病棟を新設。訪問診療・訪問看護も手がけており、急性期から回復期、在宅まで、地域と連携した幅広い医療を展開している。また、189床の規模ながらソーシャルワーカーを5名配置して地域住民からのさまざまな相談に対応。公的な制度につなげるほか、経済的な理由で医療費の支払いが困難な人に対し、医療費の減額または免除を行う「無料低額診療事業」制度を導入するなど、病気の治療だけでなく病気の背景にある社会的な問題にも目を向け、改善をめざしている。「当院は地域住民に支えられ、ともに歩んできた病院です。これからも地域の皆さまと一緒に、命と健康を守る活動を続けていきたいと思っています」と語る田村直院長に、力を入れている救急医療やリハビリテーションについて話を聞いた。
(取材日2018年7月9日)

たいへん歴史のある病院ですね。

1

当院はある会社の診療所としてスタートを切り、1949年に診療所が独立して「大田診療所」が設立されました。その後病棟ができて「大田病院」となり、増築を重ねて1970年代後半には病床数を211床に増床、2010年のリニューアル時に回復期リハビリテーション病棟50床を新設して、現在は一般病棟139床と合わせた189床で稼働しています。また、2002年には外来診療部門として大森中診療所を設立しています。設立から約70年、同じ場所で診療を継続しておりますので、設立当初から代々、家族ぐるみで利⽤されているご家庭も少なくありません。初代の院長に診てもらったという患者さまもいらっしゃいますね。

地域の中で、どのような役割を担っておられますか?

2

当院は地域密着型の病院として地域医療に貢献してきたと自負していますが、同時に地域の皆さまに支えられ、成長してきた病院でもあります。地域には当院の運営母体である城南福祉医療協会の組合員として当院を支えてくださっている方もおられ、毎月の理事会にも出席して病院の経営や運営についてご理解をいただいています。だからこそ私たち職員は地域の医療ニーズに応えるべく、若いスタッフの外部研修を積極的に行ってレベルアップを図り、学んだ知識や技術を患者さんに還元できるよう努めてきました。また2009年からは、経済的な理由で医療費の支払いが困難な方に対して医療費の減額または免除を行う、無料低額診療事業を導入しています。大田区・品川区でこの制度を利用できる医療機関として、病気の治療だけでなく病気の背景にある社会的な問題にも目を向け、患者さんの健康と生活を支えています。

救急医療に力を入れていると伺っています。

3

はい。当院は東京都指定の二次救急病院であり、救急車はもちろん直接来院される患者さまを365日24時間体制で受け入れています。また、いわゆる「救急車のたらい回し」と呼ばれる状況を解消するために東京都が2009年から取り組んでいる救急受け入れ制度、「救急医療の東京ルール」があり、それに当院も協力しています。当院では、複数の病院に受け入れを断られた救急車を受け入れる役割を担っています。当院のある区南部地域では、この役割りを担う病院がなかなか決まらず、当初このエリアは東京ルールが施行されていなかったんです。そのような状況の中、「大田病院は救急車を断らない」という地域の救急隊の評判を耳にした都から要請があり、協力をしていくことになりました。最初のうちは救急車の受け入れ要請が増えて大変でしたが、近年は他の二次救急施設病院の理解と協力も進み、受け入れ先が見つからないということは軽減されてきたと思います。

リハビリテ―ションにも特徴があるそうですね。

4

そうですね。当院のリハビリテ―ション科では脳血管疾患、整形疾患をはじめ喘息や慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの呼吸器や、外科手術後のリハビリにも対応しています。特徴としては、嚥下機能、つまり飲み込む力が低下した方に「完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)」という方法を取り入れていることがあります。完全側臥位とは横向きに寝た状態のことで、あおむけや座った状態で飲食するよりも誤嚥のリスクが低いとされています。以前なら口から食べることは難しいと言われていた方が、完全側臥位法にしたことで胃ろうや点滴などの経管栄養から経口摂取に移行できる場合も多く、患者さんやご家族にとても喜ばれています。リハビリの理念は、病気やけがで失われてしまった日常生活を取り戻すことです。完全側臥位法はその理念にかなった実践法だと感じていますし、これからも患者さまにとって良い治療法は取り入れていければと考えています。

今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

5

当院はHCU(高度治療室)を併設するなど重症患者さまの治療も行っていますが、発熱や腹痛など、比較的軽い症状でも受診可能ですので、何か心配があれば気軽にご来院ください。また、地域活動として「しあわせ食堂」という名前の子ども食堂と、認知症カフェ「おれんじくらぶ」をそれぞれ月1回実施しており、地域とのつながりを大切にしています。そのほか、ソーシャルワーカーが経済面・生活面でのご相談にも対応していますので、病気の治療以外の悩みや困り事も遠慮なくご相談いただきたいですね。地域の皆さまにはいつも支えられ、ご協力いただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これまでと同じように、地域の皆さまと一緒に成長していく病院でありたいと思いますし、その役割を担い、発展させていってくれる若手の医師を一人でも多く育てたいと思っています。これからも、この地域の命と健康を守る活動を一緒に続けていければと思います。

20180802 main

田村 直 院長

1984年奈良県立医科大学卒業。大田病院で初期研修を修了後、三井記念病院心臓血管外科での研修を経て大田病院に帰任。以来、外科医師として同院で臨床にあたり、2006年から現職。主にがんの診療を担当し、手術だけでなく抗がん剤治療も実施。1996年には院内に緩和ケアチームを立ち上げ、終末期の患者のケアにも力を注いでいる。趣味はマラソンと活発的で、サロマ湖100kmのウルトラマラソンに出場した経験もある。

access.png