医療法人社団 善春会 若葉眼科病院
(東京都 大田区)
大平 明彦 病院長
最終更新日:2024/08/06
地域に根差し大学病院水準の眼科医療を追求
大田区蒲田4丁目、JR京浜東北線の蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ通りに沿って立つタイル張りのビル。5フロアからなる「若葉眼科病院」は、入院施設を備えた眼科の専門病院だ。「患者の話をよく聞いて、その気持ちに寄り添うのがモットー」と大平明彦病院長が語るように、大学病院レベルの高度な設備や診療技術にこだわりながらも、親身に寄り添う診療姿勢で長く地域に根差している。さまざまな眼科疾患に対応できるよう多くの眼科医師が診療にあたるほか、杏林大学医学部付属病院や東邦大学医療センター大森病院との連携体制も整えている。また、眼科独自の検査を精密に行い、適切な視機能矯正などを行うために、視能訓練士も多数在勤しているのも特徴だ。目にまつわる小さな気がかりから、一般の眼科クリニックでは扱いにくい症状、専門性を要する眼科疾患まで幅広く地域の要望に応える。そんな同院について、診療の特徴や専門病院としての強み、今後の展望などを大平病院長に聞いた。(取材日2024年6月5日)
まず、眼科の専門病院としての成り立ちを教えてください。
当院は、菊池先生という眼科医師が1949年大田区北糀谷に開業した「菊池眼科医院」を前身に、徐々に規模を大きくしながら地域に根差した眼科病院として発展してきました。私が3代目の病院長に就任した後、2002年にこの場所へ新築移転し、現在に至ります。そうした経緯によるものか、長く通っていただいている近隣の方も多くいらっしゃいますし、近隣の眼科開業医の先生から「入院手術ならこちら」「小児の専門的な視力検査が必要」とご紹介を受けることもよくあります。眼科の疾患は長く経過を診る必要があるものも多く、頻度は低くとも定期的に長く通い続けていただくというケースも少なくありません。当院を信頼して、近隣はもちろん遠方からも多数の患者さんに通い続けていただいていることは、本当にありがたいことだと感じますし、私自身もお一人お一人の患者さんと長く向き合えることは、眼科医師冥利につきると感じています。
やはり入院施設を備えた病院というのが、大きな特徴ですね。
個室、2人部屋、4人部屋と合計7室、全20床の病床を備えています。眼科では手術前後の入院が中心ですから、短い場合で1泊、長くても1週間ほど。医療の進歩により白内障の手術などでは日帰りでの対応も多くなりました。当院でも対応していますが、一人暮らしで術後の生活に困難がある方、通院に不安のある方、持病のある方など、やはり入院して手術を受けたいというニーズがあります。入院手術を希望されて、遠方からわざわざ当院を探して来院される方も多いようです。ご要望にお応えするうち、年間の手術件数はどんどん増え、白内障水晶体再建術から硝子体手術、緑内障の手術、眼瞼下垂症や逆さまつ毛の手術など、幅広く対応しています。また網膜機能検査装置や超音波診断装置、各種手術用装置、3次元眼底像撮影装置(OCT)などの医療機器も新しいものを積極的に導入していますし、大学病院で行うような診断や治療を行える場であると自負しています。
眼科の専門病院ならではの強みとは、どのような点でしょうか。
5人の常勤医師に加えて、8人の非常勤医師が診療にあたり、緑内障治療や硝子体手術など各分野の専門家も勤務しています。私も神経眼科の研究に従事し、斜視治療を専門として臨床にあたってきた経験から診療に加わっています。複数の医師が知見を持ち寄って診療にあたれるというメリットは大きいと思います。視能訓練士も多数勤務していますし、糖尿病や高血圧など内科的な病気に起因する網膜症の患者さんも少なくないことから、内科医師の診療日も設け、眼科と内科が緊密な連携を図りながら治療を行っています。当院のような規模の病院では、同じ医師が長くお一人の患者さんを診続けることができるというのも特徴です。私自身、東大時代から数十年のお付き合いとなる患者さんも数人いらっしゃいます。また、医師同士の連携が取りやすいことや、必要なスタッフの充実が図りやすいことなども小規模専門病院ならではのメリットといえますね。
今後の展望について聞かせてください。
目覚ましく進化する眼科医療の流れに沿うかたちで設備面を充実させ、医師の研鑽や人材の拡充に重点を置いて取り組みたいと考えています。最近は目の見え方や不快感といったことを主訴とされる方、日常生活上の質を重視される方も増えていますので、多様化する眼科ニーズへの対応の観点からも人的資源、設備面の充実を図りたいですね。また、子どもの弱視や斜視の早期発見、視力矯正による治療も眼科の重要な役割です。目の機能の発達は早い時期に止まってしまうので、小学校高学年ぐらいから治療を始めてもあまり成果が期待できないからです。当院には、子どもの視力検査をはじめ、専門的な眼科検査や視力矯正を行う視能訓練士が8人在籍しており、医師と連携して視力の問題の早期発見やその後のケアに取り組んでいます。私も地域の学校医を担う中で、できるだけ低年齢のうちに斜視や弱視の発見に努め、速やかに必要な診療へつなげたいと考えています。
地域の皆さんへのメッセージをお願いします。
当院は、患者さんが「ここに来て良かった」と満足した気持ちで帰っていただける病院であり続けることをめざしています。そのためには医療レベルの維持・充実はもちろんですが、何よりも患者さんの気持ちに寄り添う対応が重要と考えています。特に目の手術、目の治療には不安や恐怖を抱える方が多いですから、医師もスタッフもそうした患者さんの気持ちをくみ取り、よくコミュニケーションを取ることを心がけています。医療の進展は目覚ましいですが、残念ながらいまだに治療法が解明されていない病気もあります。そうした治療法が確立していない病気の場合も、当院を受診していただくことで「相談して良かった」と納得していただけるような対応をめざしていきたいと思います。これからも、一人でも多くの方に「若葉眼科に来て良かった」「若葉眼科なら安心」と感じていただけるよう、さまざまな面で努力を続けていきたいと考えています。
大平 明彦 病院長
1976年東京大学医学部医学科卒業。医学博士。神経眼科を専門に研究後、斜視治療専門の医師として、東京大学医学部附属病院講師、東京厚生年金病院眼科部長などを歴任。広く臨床に携わる傍ら、東京女子医科大学の客員教授も務めてきた。1999年「若葉眼科病院」の3代目病院長に就任、現在に至る。