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医療法人恵仁会 松島病院

(神奈川県 横浜市西区)

松島 誠 理事長

最終更新日:2023/07/11

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100年の歴史を持つ大腸肛門疾患専門病院

横浜の地で100年にわたって大腸・肛門疾患の専門的な診療に取り組んできた「松島病院」。長らく病院グループの運営を担ってきた松島誠理事長は、痔核、裂肛、痔ろうの肛門三大疾患の治療に加え、大腸がんの早期発見や炎症性腸疾患の診療、便秘や便漏れなどの排便機能診療などに積極的に取り組んできた下部消化器外科のスペシャリストだ。2023年5月には、消化器内視鏡と炎症性腸疾患の外来診療を専門としてきた「松島クリニック」を統合して、専門分野での治療実績を集約し、一体性を生かした新生「松島病院」をスタートさせた。大腸・肛門疾患を専門とする大規模病院として、数多くの診療実績に基づいた医療提供をめざす新病院は、大腸・肛門疾患のすべてをワンストップで診療できる充実した設備や診療体制を備える。100周年を迎え、今後の展開が期待される同院について、松島理事長に、その診療の特徴や今後の展望を聞いた。(取材日2023年6月5日)

松島クリニックと統合して新病院としてスタートしたそうですね。

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はい。そもそも当院の前身は、1924年に初代が肛門疾患診療を掲げた医院として開業した松島醫院です。日本でも大腸がんが増加する疫学的背景の中でがんを見落とさない診療が喫緊の課題となったため、1987年に大腸内視鏡を中心とした専門施設として「松島クリニック」を開設しました。さらに難病である潰瘍性大腸炎やクローン病などに対応するためIBD専門の外来も設置し、また地域の要望に応えて胃内視鏡検査を含めた各種検査も積極的に行ってきました。両施設とも大腸肛門病を中心とした専門施設として多くの患者さんが来てくださるようになる一方、50数年を経た施設を統合して一体性を生かした新生松島病院となったわけです。診療内容としては、便秘・失禁などの排便機能の外来を含む肛門病・IBD、内視鏡部門、健診部門を設置して大腸・肛門疾患すべての診療がワンストップでできるようになりました。

診療面にはどのような特徴がありますか。

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当院は、難治性痔ろうを含む痔の手術に高い実績を有し、分野をけん引する存在として常により良い医療を追求してきました。先進の知見を踏まえた幅広い治療の選択肢を用意し、それぞれの患者さんにとって最善の治療を提供することをめざしています。新病院では、先進の超音波診断装置や排便・肛門機能検査、CT、エックス線撮影装置などの設備に加え、消化器内科と消化器・肛門外科が同じフロアで診療できるようになったため、より迅速な診断・治療と、きめ細かい医療が行えます。いつ急患の方がいらしても受け入れられるように当直医師が常駐して24時間365日体制で、入院・手術対応しています。高齢化への対応にも力を入れており、便秘、頻便、便失禁などの症状のある排便機能障害を専門とする外来も備えて排便機能の回復にも専門的に取り組んでさらに増加する直腸脱や肛門機能不全に対しては低侵襲な腹腔鏡手術治療を行います。

先生の診療方針や病院としての理念について聞かせてください。

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自分の愛する人や、家族にできない治療をしてはならないという思いがあります。また大腸や肛門のがんを見逃さないのは当然ですが、隣接する子宮や膀胱の病気も見逃してはならないと肝に銘じています。子宮や膀胱のがんで、痔のような症状が見られることがありますからね。また痔の手術に固執せず、注射療法や排便習慣の改善など手術以外の選択肢も提示し、メリットデメリットをよく理解していただいた上で、最適・最善の治療法を選んでいただくことを重視しています。患者さんも排便習慣などの誤解や、「痔ぐらい」と思っている方も多く、治療法や排便、食事などについて、正しい知識をお伝えして理解していただくことを心がけています。病院としては「当院で治らなかったが他院で治った」、「再発した」ということはあってはならない。そのために患者さんが納得されるまでご説明して、満足されるまで寄り添っていきたいと考えています。

今後、どのような展望がありますか。

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大腸・肛門疾患の専門病院として、時代を先取りしながら歩んできた当院には果たすべき役割があると考えています。肛門疾患の8割を占める痔核と裂肛は治療法が確立されていることに加え、生活習慣病的側面がありますから予防の手立てもあります。市民公開講座や学校教育を通して正しい排便習慣を啓発していきたいです。痔ろうについては予防ができず、機能障害も多く、まれにがん化することがあります。治療薬も開発されていますが、機能を維持するためには早めの治療が必要となることを広く伝えていきたいですね。痔ろうの場合、炎症を抑えるだけでは括約筋がダメージを受けて、時には人工肛門が必要になることもありますから、「痔だから」と放置しないでいただきたいのです。中国やインド、マレーシア、インドネシアなど海外からの患者さんの診療も積極的に行っていきたいと考えています。

最後に地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

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肛門の病気は、恥ずかしさや、命に関わるものではないという思いから、適切な医療を受けずに長い期間悩まれている方が少なくありません。当院は、そうした方々に確実な診断と、再発を予防して生活の質を高める治療を提供することをめざしてきました。痔は、がんなどに比べれば緊急性はないかもしれませんが、生活の質にはとても関係しますし、ほかの病気が隠れていることもあります。手術をする・しないにかかわらず、肛門の調子がおかしい、排便機能について気になることがあるというような場合には、受診をしていただきたいと思います。特に女性の場合は、一人で悩まれてかなり悪くなってから受診される方が目立ちます。当院には、女性ドクターも多数在籍していますので、ぜひ気軽にご相談ください。連携クリニックには都内の患者さんのための松島クリニック汐留もあり、ご要望に細かく応じられるように努めていますので、活用していただければと思います。

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松島 誠 理事長

1978年北里大学医学部卒業。1980年横浜市立大学医学部第2外科入局。同大学第1病理学教室助手、横浜掖済会病院外科医長を経て、1986年副院長として松島病院に入職。2003年同院院長に就任。2015年同院理事長就任。2016年同院総院長就任。医学博士。神奈川県病院協会常任理事、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医、日本外科学会外科専門医。横浜市立大学医学部臨床教授。

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