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川崎市立井田病院

(神奈川県 川崎市中原区)

伊藤 大輔 病院長

最終更新日:2022/10/21

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健康診断から在宅医療まで切れ目ない医療を

1949年にGHQの要請で結核専門の病院としてスタートした「川崎市立井田病院」。1960年代からは診療科を増やし、地域の中核病院として川崎市や隣接する横浜市港北区の住民の健康を守り続けてきた。結核治療後の肺機能障害のケアを行ってきたことを背景に、酸素療法が必要な患者の在宅医療に対応し、早くから高齢者ケア・緩和ケアに注力してきたのも特徴。緩和ケア病床23床を有し、がん患者に対しては、診断時から担当診療科と緩和ケア内科が連携して対応し、患者本人や家族をサポートする。2022年4月から病院運営を担う伊藤大輔病院長は「緩和ケアをはじめ、在宅医療や看取りにも対応してきたことから、患者さんに優しく温かな雰囲気であることが当院の大きな特徴です」と話す。若手医師の教育や働きやすい環境づくりにも力を入れて「患者さんにも医療職にも選ばれる病院をめざしたい」という伊藤病院長に、同院での診療における取り組みや地域連携について聞いた。(取材日2022年9月2日)

まず、こちらの病院のあらましを教えてください。

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多くの診療科を設置し、地域の中核病院の機能を持つ病院です。2006年に地域がん診療連携拠点病院に指定され、健診、診断から治療、緩和ケア、在宅医療と長いスパンでフォローできる体制を整えています。脳神経外科や呼吸器外科などの手術については川崎市立川崎病院との連携で対応する一方で、2016年に導入したロボット支援手術を積極的に採用するなど先進的な治療を提供しています。化学療法については消化器領域の腫瘍内科、乳腺外科、呼吸器内科を主体に力を入れています。腎臓内科には透析病床21床があり結核患者に対する透析も含めて手がけているほか、専門の医師によるリウマチや膠原病、糖尿病の治療、高齢者の心不全診療にも対応しています。新型コロナウイルス感染症の流行時には、感染症と呼吸器内科の医師を柱とした対策チームを中心に、神奈川県内の患者さんを多数受け入れてきました。

緩和ケアや在宅医療に早くから取り組んでこられたと聞きました。

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当院では、結核治療後のケアという観点から、緩和ケアや在宅医療支援に全国的にも早くから取り組んできました。その経験を生かし、緩和ケアや在宅ケアを必要とする患者さんの症状や全身状態をスコア化して評価したり、家族の介護力を評価する在宅介護スコアなど独自のスコアを開発して活用しています。緩和ケア病床23床を有して、がんを中心にターミナルケアも行っています。また、進行度に関わらず、がんの診断がついた時点から緩和ケア内科の医師や看護師が連携して診療に加わり、患者さんやご家族の手厚いサポートを行っています。緩和ケアや緩和ケア内科に所属する医師が化学療法を担当することもあります。がんについても、健診、診断から治療、在宅医療、ご自宅での看取りまでシームレスに対応しているところが大きな特徴であり、在宅療養の後方支援病院として地域の診療所との連携にも力を入れています。

診療面や地域連携には、どのような特徴がありますか?

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中規模病院である当院では、必要性の高い診療科に医療資源を集中していくことも必要です。地域で必要な医療を安心して受けられる環境を整えるために、川崎市立川崎病院や横浜市立市民病院などと連携しながら、医療の偏りをなくしていくことにも尽力しています。二次救急についても他院との協力体制で対応しています。また地域包括ケア病床の活用など、地域の開業医の先生たちとの病診連携もスムーズに進んでいますし、災害時にも近隣地域と連携して医療が提供できるよう、川崎市だけではなく隣接する横浜市港北区医師会とも災害訓練を実施しています。いずれも地域連携では地道に顔の見える関係を構築することが重要ですから、新型コロナウイルスが流行する前は、地域医療部の看護師や事務職員、病院長、各診療科部長が地域の診療所や病院に足を運び、意見交換をしてきました。感染状況が落ち着いたら地域での活動も再開していきたいと考えているところです。

病院長として、注力していることを教えてください。

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当院は自治体病院として、地域医療を担う若手医師の育成に努めており、臨床研修指定病院でもあります。私は病院長就任前から教育担当として、若手医師の教育に携わってきました。院内の協力も得て、若い先生たちが学びやすく働きやすい環境づくりに尽力した結果、初期臨床研修の希望者が増え、在籍する医師の人数も大幅に増えました。病院長としては、医師だけでなくスタッフや事務職も含めて、職員一人ひとりが生き生きと働けるように、自らのスキルアップにも積極的に取り組める環境をつくっていきたいと考えています。また、当院は、結核専門病院としてスタートし、緩和ケアや看取りに力を入れてきたこともあり、患者さんに優しい温かい雰囲気のユニークな病院でもあります。「ここに来て良かった」「和やかで安心できる」と言ってくださる方々の期待に応えるような病院運営をこれからも大切にしていきたいと考えています。

これからの展望について聞かせてください。

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新型コロナウイルスと併存しつつ、いかに本来の医療を回復させていくかということが、直近の大きな課題です。当院は、結核病棟や感染症隔離施設があり、感染症の専門家が在籍することから、感染拡大の当初から多くの患者さんを受け入れてきました。対応できる病院が増えて、当院が突出して病床を用意しなければならないフェーズは終わりましたので、本来の病院機能の回復に努め、地域の皆さんの健康をしっかりと支えていきたいと考えています。具体的には、二次救急医療やがん医療、生活習慣病の予防や管理、高齢者医療など当院に求められる医療の充実、そして、消化器や循環器といったニーズの高い診療科の拡充にも取り組む予定です。緩和ケアや在宅支援の先端を担ってきた当院ならではの、人に優しく温かい雰囲気を大切にしながら、地域包括ケアシステムのモデルとなるよう地域医療をけん引する役割も果たしていきたいと考えています。

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伊藤 大輔 病院長

1984年慶應義塾大学医学部卒業。生化学に興味を持ち、消化器内科に進み肝臓グループで研究に携わる。同大学大学院、留学を経て1992年から同大学の関連病院である平塚市民病院、1998年から川崎市立川崎病院を経て、2013年に川崎市立井田病院入職。消化器内科診療や若手医師の教育に携わる。2022年4月より現職。専門は内科全般、消化器内科。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医。

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