佐々木病院
(神奈川県 横浜市鶴見区)
佐々木 啓吾 院長
最終更新日:2024/10/10
迅速な検査・診断で地域医療の窓口をめざす
横浜市鶴見区で100年近い歴史を持つ「佐々木病院」は、幅広い診療内容で地域のニーズに応える医療を行ってきた。そのために各種の検査機器を備え、必要な検査を迅速に実施し、できる限り当日中に検査結果を説明するなど、「より専門的な医療機関への紹介も含め、患者さんにとって望ましい医療を早く実践することが私たちの目標なんです」と穏やかな笑顔で佐々木啓吾院長は話す。「当院の患者さんで通院が難しくなった方の在宅医療でも、訪問リハビリテーションや併設の施設による訪問看護サービスなどでサポートしています」。さらに地域包括ケア病棟では退院後の生活を考えたリハビリテーションに力を入れ、2024年度中に開設予定の医療療養病棟では医療依存度の高い患者を受け入れるなど、これから地域で必要となる医療も展開していく。生活習慣も含めたトータルなアプローチで、患者にとって良好な健康状態をめざす「ウェルネスシップ」を理念とする同院の特徴や強みについて、佐々木院長に詳しく聞いた。(取材日2024年7月19日)
この病院の診療面での特徴や強みなどを教えてください。
祖父が1927年に開設した個人医院が当院のルーツで、1950年に「佐々木病院」となり、この地で地域の皆さんに必要な医療を提供してきました。現在は内科、整形外科、眼科は月〜土曜日まで診療し、耳鼻咽喉科、乳腺外科、泌尿器科も開設しています。さらに当院の患者さんで通院が難しくなった方を主な対象に、当院からは訪問リハビリテーション、併設の訪問看護看護ステーションでは訪問看護を提供し、在宅医療にも取り組んでいます。また、患者さんのご不安を早く取り除き、適切な診断を迅速に行うために、各種の検査を原則として当日行えるよう体制を整えているのも特徴です。MRI、CT、腹部超音波検査、心エコー検査、血液検査のほか、朝食をとっていない方は胃の内視鏡検査も最短で当日可能で、特にアニサキスが疑われる場合などは必ず当日検査します。検査結果もできる限り当日お伝えしますから、検査のために何度も通院する必要はありません。
地域医療の中ではどのような役割を担っていますか?
受診された患者さんを適切に診断して治療を行い、症状によっては専門的な治療ができる病院にすぐご紹介するといった地域医療の窓口となっています。地域のクリニックに通われる患者さんが、必要な検査のために当院を利用されることもありますね。また、当院はさまざまな症状の患者さんが入院する一般病床34床に加え、2016年に開設した地域包括ケア病床20床、2024年度中の開設をめざす医療療養病棟34床があります。地域包括ケア病床では、当院の整形外科などに入院された患者さんが、ご自宅での生活に必要な体力や身体機能を回復できるようリハビリテーションを行うほか、ほかの病院で治療を受けた患者さんをご紹介いただき、同じようにリハビリテーションを提供しています。医療療養病棟では、中心静脈栄養など医療依存度が高い患者さんの療養が主な目的で、そうした方を地域の医療機関から受け入れていく予定です。
では地域の医療・介護施設との情報共有も重要になりますね。
当院では地域医療連携室に在籍するメディカルソーシャルワーカーが、患者さんやご家族からの相談に対応するとともに、地域の医療・介護施設との連携役となっています。加えて、横浜市鶴見区および隣接する神奈川区を対象とした医療介護連携ネットワークシステム「サルビアねっと」に、2019年の創設以来参加しています。これはネットワークに参加した患者さん、医療機関、薬局、介護施設などで医療や介護に関する特定の情報を共有し、処方箋の履歴、画像検査・内視鏡検査の結果などを医療・介護施設が互いに確認できるシステム。当院では近隣の基幹病院にご紹介するケースが多いのですが、「サルビアねっと」を通して紹介後にどんな検査を受けられたかなども迅速に確認でき、他院での治療を終えて当院に戻られたときの連携も非常にスムーズです。患者さん自身がネットワークに参加申し込みをしていただく必要がありますが、メリットは大きいと思います。
関節鏡での手術や人工関節置換術にも対応されると伺いました。
整形外科では高齢の患者さんの膝、腰、肩などの痛みに対して薬による保存的治療を行うほか、必要な場合は小さな切開部で治療可能な関節鏡下手術も実施しています。また変形性膝関節症では、すねの骨の一部を切除して再度つなぐ「骨切り術」でも多くの治療例を持ち、膝関節を温存したい方にとっての選択肢の一つとなっています。一方で膝の人工関節置換術を得意とする医師も在籍し、50、60代の方が人工関節を希望して来院されるケースも多いですね。さらに当院は主にスポーツ外傷・スポーツ障害を診療する「横浜鶴見スポーツ&膝関節センター」があり、膝関節鏡下手術、膝前十字靱帯、後十字靱帯再建術、膝半月板手術、足関節鏡視下手術などに対応しています。これらの手術後はスポーツ整形に詳しいリハビリテーションスタッフが術式に応じて専門的なリハビリテーションを行い、スポーツ復帰までを目標にサポートしていく点が強みです。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。
幅広い診療内容と各種の検査機器を持つ当院は、検査結果のご説明まで可能な限り当日行って、早く適切な治療につなげるよう心がけています。治療後も以前のような生活に戻れるようリハビリテーションにも力を入れ、原則として患者さんごとに担当の理学療法士がつき、その方に適した回復支援を行うのも特徴で、地域包括ケア病棟、開設予定の医療療養病棟でも地域の医療ニーズにも広く応えていきます。また、糖尿病と深く関連するとされる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断・治療にも力を入れるなど、生活習慣も含めたトータルなアプローチでその方にとって良好な健康状態をめざす「ウェルネスシップ」が当院の理念。地域医療の窓口として「ここへ来てよかった」と思っていただけるよう、それぞれの患者さんに適した医療を提供し続けるつもりです。予約制でなく基本的に受付順で診療しますから、気軽に受診できる「コンビニエンスな病院」としてご利用ください。
佐々木 啓吾 院長
1977年日本大学医学部卒業。埼玉県の基幹病院のほか、国立がん研究センターで放射線診断、慶應義塾大学病院で内視鏡、心臓血管研究所付属病院で循環器診療の経験を積み、1990年から現職。父親と設計アイデアを出し合い、外部の専門家の協力も得た病院の新築工事も同年に完了した。