出産・産後の心身の負担軽減をめざす
無痛分娩や産後ケア入院
全国土木建築国民健康保険組合 総合病院 厚生中央病院
(東京都 目黒区)
最終更新日:2025/08/18


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一昔前には、お産は痛みを伴ってこそと考える人も多かったが、陣痛時の痛みや不安を軽減しリラックスして出産に臨みたいと無痛分娩を希望する妊婦も増えているという。「厚生中央病院」の産婦人科では、数年前から準備を重ね、産婦人科と麻酔科、小児科の協力と、NICUを持つ病院との連携で、母子の安全に配慮した無痛分娩を実施している。無痛分娩のほか、陣痛・分娩・回復の期間を同じ部屋で過ごせるLDRの開設、手厚い産後ケアなど、妊娠から出産、産後まで切れ目のないサポートを行う同科の神田理恵子部長に、無痛分娩や産後ケアの取り組みについて聞いた。(取材日2025年6月26日)
目次
産科、麻酔科、小児科の連携で母子の安全に配慮した無痛分娩を実施。産後は産後ケア入院で心身をリラックス
- Qこちらの産婦人科の診療体制を教えてください。
- A
部長の神田先生。受診しやすい雰囲気づくりに努める
2025年4月から5人の常勤医師と7人の非常勤医師による新体制になりました。常勤医師は全員女性で、女性中心で診療にあたっており、より受診していただきやすくなったと思っています。産科では妊娠初期から、お産、産後ケアまでトータルに対応しています。婦人科では子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープなどの良性腫瘍に対する腹腔鏡や子宮鏡による負担の少ない手術のほか、悪性腫瘍への手術、化学療法、放射線治療を行っています。さらに、不妊治療については、人工授精までの一般不妊治療をメインに、体外受精など高度生殖医療をご希望の患者さまには地域の不妊症クリニックとの連携で治療を継続できるようにしています。
- Qこちらの病院での無痛分娩について教えてください。
- A
抜群のチームワークで診療にあたっている
当院では、平日の日勤帯での無痛分娩に対応しています。経産婦と初産婦さんの両方を対象としていますが、どちらかというと初産婦さんのご希望が多い傾向にあります。麻酔科の医師が麻酔を担当し、小児科の先生とも連携することで最大限安全性に配慮し、帝王切開率の低減にも努めていますので、安心してお産に臨んでいただけるよう、今後も定期的に勉強会などを行い安全に無痛分娩ができるようにしていきたいです。2024年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少傾向が続いていた分娩数が増加に転じました。2024年4月から2025年5月までの分娩件数268件のうち、無痛分娩は89件でした。
- Q先生の考えるこの病院の無痛分娩のポイントは何ですか?
- A
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の方は、陣痛のストレスが分娩経過や赤ちゃんに影響することがあるため、無痛分娩のほうがより安全性に配慮しながら実施しやすいといわれています。そこで当院では、内科や糖尿病内科との連携でお産を進め、精神面のケアについては精神科が介入しています。このように他科とスムーズに連携できることはポイントの一つですね。外来と病棟をスタッフ全員で担当しますので、外来の段階から妊婦さんとスタッフが顔見知りになり、とてもアットホームな雰囲気です。ベテランの助産師さんも多く、技術的にも安心してお産に臨んでいただけると思います。2人目や3人目の出産で当院に来てくださる方も多数いらっしゃいます。
- Q出産に関する設備等についてお聞かせください。
- A
リニューアルしたLDR室は明るく清潔感にあふれている
分娩施設を2023年9月にリニューアルし、「陣痛・出産・回復」が同じ部屋でできるLDRを2室設けました。一般的に、妊婦さんは陣痛が定期的に始まると入院して、陣痛室で痛みに耐えながら待機し、出産の際は分娩室に移動。その後は回復室でしばらく休んだ後、病棟のベッドに移るといった流れになります。しかしLDRなら出産前後の大変な時期に、何度も妊婦さんに移動していただく必要はありません。出産の際も明るく温かみのある部屋でそのままお過ごしいただくことができます。さらにご家族も分娩から出産まで同席できるよう、LDRは広めのスペースを確保しました。
- Q産後ケアの取り組みについても知りたいです。
- A
個室の様子。プライバシーが保たれゆっくりと過ごすことができる
退院後の育児や家事に不安や悩みを抱えている方や、育児についてもっと詳しく知りたいという方に利用していただきたいのが産後ケアです。産後90日までの母子を対象に、入院中は出産後の心身をいたわりながら、助産師から赤ちゃんの栄養管理、沐浴などを学び、必要に応じて精神科からメンタルケアも受けられます。産後ケアについては補助金を設けている自治体もあり、例えば当院も「目黒区産後ケア事業(宿泊型)」の実施施設になっています。日帰りでの利用や7日間まとめて、あるいは2、3泊ずつ何回かに分けて利用するなどご希望に合わせて組み合わせることもできますので、ご自身に合ったかたちでご利用ください。