全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月20日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 川崎市多摩区
  4. 登戸駅
  5. 川崎市立多摩病院
  6. 長島 悟郎 病院長

川崎市立多摩病院

(神奈川県 川崎市多摩区)

長島 悟郎 病院長

最終更新日:2023/04/12

20230323 2 main20230323 2 main

市民病院と大学病院の特徴を併せ持つ病院

2006年に川崎市によって開設され、川崎市北部の急性期医療、小児を含む救急医療、災害時医療を担う「川崎市立多摩病院」。開設当初から「聖マリアンナ医科大学」が指定管理者として運営にあたり、大学病院の機能も持つ病院として地域医療に貢献している。市立病院としては、地域医療支援病院として地域連携を積極的に進め、地域住民のニーズを意識した医療を提供。一方で大学病院の関連施設として、その責務である臨床・研究・教育の3つを担い、質の高い医療人の育成にも注力する。2020年に病院長に就任した長島悟郎院長は、脳神経外科に加え感染症の専門家でもあり、コロナ禍では川崎市の新型コロナウイルス感染症対策をけん引した。「医師として病気の患者をただ助けるのではなく、今の地域や社会が必要とする医療を見極めて、多くの方に質が高いと感じてもらえる病院にしていきたい」と語り、時代や地域のニーズに対応した医療に積極的に取り組む。再開発の進む登戸エリアの中心的存在をめざしたいと、医療のDX化や院内環境の整備にも意欲的な長島病院長に、同院の取り組みや今後の医療のあり方などを詳しく聞いた。(取材日2023年3月10日)

まず、こちらの病院の成り立ちや特徴を教えてください。

11622 df 1 2 1433753057

川崎市が設立し、聖マリアンナ医科大学が指定管理者制度のもとで運営する公設民営の病院であり、市立病院と大学附属病院の2つの役割を担っています。公立病院としては、地域医療支援病院として、小児救急を含めた救急医療、感染症、災害や犯罪など地域ニーズに応える診療を展開しています。一方で大学病院の関連施設として高度医療の提供、臨床に加えて教育・研究にも力を注いでいます。地域連携では、地域のクリニックや中小の医療機関、高度急性期を担う大学病院との病病連携や病診連携を着実に進め、ご紹介いただいた患者さんをしっかりと治療した上で地域にお戻しし、重症者は大学病院と連携をとって対応する流れをつくってきました。また、私は脳神経外科を専門としつつ日本感染症学会感染症専門医の資格を持ち、川崎市の感染症対策にも関わってきたことから、新型コロナウイルス感染症においても早い段階で病床を確保して対応してきました。

診療体制の特徴や特色のある診療科について教えてください。

11622 df 1 3 1433753057

当院には、総合的な診療ができる医師が多く在籍しているため、総合診療科が初期診療を行い必要に応じて各診療科につなぐ体制が整い、連携をとりながら包括的に診ていくチーム医療を実践しています。複数の疾患を持つ高齢の患者さんに対しても、総合診療を中心に各診療科が協力し合いスムーズに診療できる体制が整えられています。もう1つの特徴は、専⾨の診療科での医療が多岐にわたる点です。例えば、腫瘍内科では外来化学療法に注力するほか、2021年に血液内科の医師が加わり、クリーンルームといった設備も整えて、白血病など血液の病気の患者さんの外来診療および入院治療ができるようになりました。2022年5月からは緩和ケア病棟が稼働し、キリスト教精神に基づく医療理念を生かした診療を行っています。また、2021年10月からは泌尿器科の前立腺がん治療、消化器科での直腸や胃がんの治療に手術支援ロボットを運用しています。

産科や小児救急など地域ニーズにも対応しているとのことですね。

20230323 3

少子化ではありますが、登戸エリアは再開発で子育て世代も増えており、当院でも女性医療、小児医療の充実に力を入れています。産婦人科では、産前から産後までトータルにサポートする産科を中心に幅広く対応しています。出産は公立病院としてのコストメリットに加えて、総合病院として手術室などの設備、麻酔科や小児科との連携など安心していただける体制が整っています。また小児科では三次医療機関である大学病院と緊密な連携をとりながら、川崎北部地域の小児救急を担っています。一方、人口構造が変わっても、高齢化は確実に進んでいきますので、さまざまな症状を持つ高齢者に対して、総合診療科を中心に包括的でスムーズな診療を行う体制を整えています。増加する成人救急への対応については、救急科外来から入院治療までを一環してチームで診療する体制を整え、入院から退院までを多職種で連携して患者さんをサポートする体制を整備しています。

今後の展望について聞かせてください。

20230323 4

安心できる医療をお届けして、これからも発生するであろう新興再興感染症のパンデミックや大規模災害にも対応できるよう、常に私たちに何ができるかを考えて実行すること、病院内に限らず病院外の評価を得ることも重要と考えています。DXも活用して環境を整備し、職員に対してもタスクシェアやタスクシフトを含めた働き方改革を確実に進めていきます。また当院には、医学部学生、初期臨床研修医の教育、後期臨床研修から専門の診療科での専門家の育成によって、質の高い医療者を地域内外へ確実に提供し続けるという大きな使命があります。医師だけでなく、高い専門性やスキルを持つ看護師をはじめ多職種の育成にも力を入れ、その人材が地域でも活躍できるようにしていきたいと考えています。さらに、地元企業などの協力も得て、さまざまな人材を活用した新たな形の医療提供体制を当院でつくりあげて、地域に広めていくことをめざしたいですね。

地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

20230323 2 5

当院は大学の関連施設として、専門性や高度な診療技術を生かした医療を提供しています。これからも、地域で医療が完結できるよう地域に根差した医療を展開し、教育・研修施設として成長していきたいと考えています。医療のDX化をさらに進め、ホスピタリティーや利便性の高い付加価値のある医療を提供することも重要だと考えています。現在、地域の歯科医院との連携により手術前や入院中の歯科治療や口腔ケアを行っていますが、今後は眼科の高齢患者さんの診療に理学療法士が介入するなど、地域の皆さんに役立つ付加価値のある医療を提供したいと考えています。そして、常に地域の皆さんが安心して受けられる医療を展開して、より頼れる病院をめざします。地域の医療機関はもとより、福祉や行政、産業などさまざまな分野とも連携・協力して、さらなる発展が期待される登戸エリアの中心的な存在となっていきたいと考えています。

20230323 2 main

長島 悟郎 病院長

1985年東京医科歯科大医学部卒業。昭和大学藤が丘病院、土浦協同病院、東京医科歯科大学、川崎市立多摩病院副院長・救急災害医療センター長を経て、2020年より現職。聖マリアンナ医科大学脳神経外科教授。専門は、脳神経外科一般、脳卒中、神経救急、脳腫瘍、病院感染制御、医療安全学、医療情報学。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本救急医学会救急科専門医、日本感染症学会感染症専門医。

access.png