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学校法人藤田学園 藤田医科大学 七栗記念病院

(三重県 津市)

園田 茂 病院長

最終更新日:2023/04/05

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患者の可能性を最大限引き出すための医療を

久居ICから車で15分程度、緑豊かなのどかな雰囲気の一角に「藤田医科大学七栗記念病院」はある。1987年に前身の藤田保健衛生大学七栗サナトリウムを開業後、医療ニーズに応えるべく体制の刷新、病棟の増築を重ねながら、大学病院として臨床・研究を追究するとともに、学生教育などにも熱心に取り組んできた。そんな同院の特色の一つが、多職種連携によるリハビリテーション、緩和ケアの実践だ。リハビリテーションを専門とする園田茂病院長をはじめ、医師、各種の療法士、看護師、介護福祉士、管理栄養士など多種多様な専門家がチームとなり、病気やけがによる障害のリハビリテーション、あるいはがん患者など病気に伴う苦痛に苛まれる患者の、健康状態の回復を含めた早期介入による緩和ケアに従事する。近年は訪問による看護・リハビリテーション・介護にも取り組み、病気や障害を抱えながら地域で暮らす患者とその家族をフォローアップする。地域住民向けの講演や「どこでもまちかど相談室」の運営など、啓発・発信活動にも精力的に取り組む同院の、歴史と強み、診療の柱であるリハビリテーション・緩和ケア医療にかける思いを聞いた。(取材日2023年3月9日)

貴院の歴史、特徴を教えてください。

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前身の藤田保健衛生大学七栗サナトリウムは、丘陵地に位置しており敷地内には緑が多く、大学の附属病院でありながら、開院当初は敷地内に生薬の研究所があり、ドイツの温泉保養地バーデンバーデンを模した構想も持たれていました。2000年にリハビリテーション棟を増築し、この頃から臨床・研究の専門性をより追究する方針にかじを切ることに。現在は、回復期リハビリテーションと緩和ケアにおいて、リーダーシップを取る病院をめざしつつ、訪問や通所サービスなどを通して地域との接点づくりにも取り組んでいます。特に回復期リハビリテーションはリハビリテーション棟ができた2000年から独自の取り組みを展開し、緩和ケアについても当院独自の「ハイブリット緩和ケア」を実践しているのが特徴です。また、栄養に関する取り組みにも力を注いでいます。

回復期リハビリテーションの特色をお聞かせください。

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訓練室と病棟が情報を共有し、週7日フルタイムでリハビリテーション・活動的な生活を行い、短期間でリハビリテーションの効果を狙う「FIT program」を実践しています。一見大変そうと思われるかもしれませんが、1日お休みを取るとその分を取り戻すためのリハビリテーションも必要になります。毎日リハビリテーションを行うことで、取り戻しのための時間が必要なくなり、より効率的になると考えたのです。取り組み始めた当初は全国的にも珍しかったのですが、現在は回復期リハビリテーションにおけるスタンダードともいえる考え方となりました。リハビリテーションを行う上で特に重視しているのが「両面作戦」。回復が見込めることに関してはしっかりアプローチし、麻痺など完全に治りきるのは難しい場合には症状があるなりに残る力で手立てを打つことを意識して個々に合った内容を提供しています。

「ハイブリット緩和ケア」とはどのような内容でしょうか?

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緩和ケアと聞いて、多くの人はがん患者の終末期医療、ターミナルケアを思い浮かべるのではないでしょうか。もちろん当院でも終末期医療を提供しております。加えてそれよりももっと前の段階から介入して病気に伴う不快感を緩和し、患者さんに日常生活に帰っていただくことを実践しているのです。緩和ケア病棟から元気に退院される患者さんもいらっしゃいます。疼痛管理や栄養状態の改善に加え、たまった腹水を抜き出し、濃縮して血管に戻すという腹膜ろ過濃縮再静注療法なども行っています。患者さんの状態によっては、抗がん剤治療など化学療法を並行して行うケースも。「治療の次は緩和ケア」といったように、診療のフェーズを明確に区切るのではなく、グラデーションのように段階的に進め、QOLを保ちながら終末期を迎えていくといった、心身の状態に配慮した緩和医療をめざしています。

栄養サポートについて教えてください。

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栄養は体を作る上で欠かせない要素であり、栄養サポートはすべての治療の基本を支えるものです。当院でも、医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、検査技師などで構成される全科型NST(栄養サポートチーム)を展開しています。また栄養サポートは、緩和ケアとリハビリテーションそれぞれに深く関係しています。緩和ケアでは、終末期に近くても病状を踏まえて適切な栄養状態を保つことを重視しています。リハビリテーションを必要とする嚥下障害患者のためのこれまでの嚥下食は、かさばってしまって必要なカロリー量を食べきれないことがありました。そこで当院の管理栄養士が考案したのがオリジナルの嚥下食で、飲み込みやすくかつ食べきれる量でしっかりカロリーを摂取できる食事として考案されました。また、栄養サポートのバリエーションも増えました。

今後の展望をお聞かせください。

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リハビリテーションや緩和ケアの入院医療を中心とするスタンスは変わりません。訪問リハビリテーションを含む訪問看護や訪問介護を地域の患者さん向けに展開したことで地域のニーズをより拾いやすくなりました。急性期と回復期を経て自宅にお戻りいただく医療・介護の一連の流れにおいて、さらに好循環な連携を築いていきたいと思っています。2021年7月に津市と藤田医科大学は包括連携協定を締結し、市民公開講座などを通じて情報発信に努めています。「どこでもまちかど保健室」は会場と当院をオンラインでつなぎ、相談内容に応じて専門職スタッフがお答えする取り組みで、地域住民のお役に立てる機会の増加を期待しています。急性期病院などの医療職に当院を訪れてもらい、当院を知ってもらう取り組みにも注力しています。専門性の高いリハビリテーションと緩和ケアを極め、病気になっても安心と思えるような、温かい病院であり続けたいと思っています。

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園田 茂 病院長

1985年慶應義塾大学医学部卒業。リハビリテーション科の医師として慶應義塾大学病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、東京都リハビリテーション病院などに勤務。2000年4月藤田保健衛生大学医学部助教授となり、同年12月からは藤田保健衛生大学七栗サナトリウムへ。2002年4月同大学医学部教授に就任。2003年2月から現職を務める。

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