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地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院

(兵庫県 神戸市中央区)

栗本 康夫 院長

最終更新日:2021/06/28

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標準医療と先端医療を集約した眼科病院

神戸市立医療センター中央市民病院の眼科と、先端医療センター病院の眼科が統合し、2017年に設立された「神戸市立神戸アイセンター病院」。地域の眼科医療の中核として標準医療と救急医療を提供しながら、iPS細胞を用いた網膜再生医療の研究にも尽力する目の病気に特化した専門病院だ。同院では視覚に障害のある人への広範囲のサポート「ロービジョンケア」に注力し、治療はもちろんリハビリテーションから就業支援などの社会的ケア、心理的ケアを行う。病院エントランスには、公益社団法人の協力を得てさまざまな体験を通じてロービジョンケアを啓発するための施設「ビジョンパーク」を設け、一般の人にも幅広く公開している。栗本康夫院長に、病院の設立経緯や特色、ビジョンパークの特徴、今後の展望など幅広く話を聞いた。(取材日2021年6月11日)

病院の設立の経緯を教えてください。

1

当院は神戸市立医療センター中央市民病院の眼科と、先端医療センター病院の眼科が統合し、目の病気に特化した専門病院です。地域の中核病院として多様な目の疾患に関する標準治療を行ってきた中央市民病院と、iPS細胞を用いた網膜再生医療の研究など「世の中にまだない治療」の開発に尽力する先端医療センター病院の各医師、眼科領域のケアができる専門性の高い看護師ら各スタッフや、双方に備えられた先端医療機器を一つに集約して2017年12月に開院しました。当院のような形式の施設は日本ではあまりなじみがないと思いますが、世界的には珍しくなく、1000人規模の眼科医師が集結し臨床研究を進めている施設もあるほど。開院には高いハードルがあったものの、国からの後押しもあり、国家戦略特区プロジェクトとして実現しました。

貴院の特色を教えてください。

2

中央市民病院の行ってきた役割を引き継ぎ、地域の眼科医療の中核病院として質の高さを追求した標準治療と救急医療を提供し続けながら、iPS細胞を用いた再生医療をはじめとした先進の眼科医療の研究を推し進めています。そして2病院が統合して力を入れているのが、視覚に障害のある方に医療的ケアはもちろんリハビリや社会復帰支援、社会的・心理的ケアなど広範囲にサポートする「ロービジョンケア」です。医学が進んでもあらゆる目の疾患をすべて完治させることは困難です。しかし医学的に治らなくても、患者さんの生活を少しでも良いものにできるようサポートすることはできます。治療開発のための研究、標準医療の提供、ロービジョンケアによる「目のワンストップ施設」として、最善の解決策を提案できるよう努めています。

エントランスには「ビジョンパーク」も設けられていますね。

3

病院の入り口の誰もが通るところに、白杖を持って歩くアクティブエリア、ロービジョンの方も使いやすいグッズを紹介するキッチンエリアなどを設けた「ビジョンパーク」があります。一般の人にも広く知ってもらうため、これまでのロービジョンのイメージを一新し、明るくおしゃれな空間にしました。白杖を使って歩いたり、光るクライミングウォールで体を動かしたりとさまざまな体験ができます。現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で変更もありますが、日替わりでさまざまな福祉サービスなどの案内も行い、ロービジョンの方々と支援するリソースをつなげる場も提供してきました。「支援される側から支援する側に」をキャッチフレーズに、視覚障害があっても「社会的に貢献する」ことで前向きになってもらえるようサポートもしています。全盲の職員が生き生きと働く姿も、患者さんにもポジティブに作用していると実感しています。

今後の展望について教えてください。

4

治療法がない目の疾患を抱える患者さんは、私たちの研究に期待をかけてくださっています。特にiPS細胞を用いた網膜の再生医療については、一刻も早く臨床応用できるようしていくことが私たちの使命。iPS細胞の研究を進めるにあたり高い培養技術が要求されますが、その技術を搭載したロボットの開発も企業との共同研究で進行しています。日本の医療は長らく規制が厳しかったこと、また安心を求める国民性も加わって、日本発の医療を発信するという面で遅れています。しかし日本国内で開発した医療を日本国内で消費できれば、医療費も日本に還元され国民全体がその利益を享受することにもつながります。iPS細胞を用いた網膜再生医療のトップランナーを自負して、日本発の医療を世界中に広め、日本の医療をさらに発展させていく。もちろんiPS細胞に限らず、こうした先進の医療をいち早く臨床応用し多くの患者に届けることが大きな目標です。

読者にメッセージをお願いします。

5

医療従事者は「病気を治すのが仕事」ですが、医療はなんのためにあるかを考えると「患者さんがより良い生活を送るため」です。医師、看護師などの医療スタッフだけでなく、事務職なども含めた全職員がその意識を持って働き、同じ目標に向かっています。どんなに優れた治療を受けたとしても、不愉快な思いをしては「より良い生活」とは離れてしまいますし、そんな病院で医療を受けたくないと思うのは当然のこと。患者さんからご指摘をいただいた際は、私が一つ一つ目を通して患者さんにできるだけ快適に気持ち良く治療を受けてもらえるよう改善策を探っています。先進の研究はもちろん、地域の中核病院としての標準治療の提供とともに、全盲の方、ロービジョンの方の病気は完全に治せなくても、少しでも患者さんの生活の助けになれるよう努めていきます。

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栗本 康夫 院長

1986年京都大学医学部卒業後、ハーバード大学博士研究員、信州大学医学部眼科学教室助教授などを経て、神戸市立医療センター中央市民病院眼科部長と先端医療センター眼科部長を兼任。iPS細胞を用いた網膜再生医療の研究に従事。京都大学医学部臨床教授、神戸大学医学部臨床教授、国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター客員研究員なども務める。医学博士。

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