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早期の社会復帰を視野に入れた
体に負担の少ない尿路結石治療

明理会東京大和病院

(東京都 板橋区)

最終更新日:2023/11/20

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  • 保険診療
  • 尿路結石

三大疼痛の1つにも数えられるほどの激しい痛みが特徴で、救急搬送される人も多い「尿路結石」。男性では7人に1人、女性では15人に1人が一生のうちに1回は発症するといわれ、決して珍しい病気ではない。生活習慣との関連も深いことから、普段から自分のこととして発症予防に努めつつ、症状が出た場合にどのような対処をすべきか、どんな治療法があるのかについて把握しておくことが望ましいだろう。「明理会東京大和病院」の泌尿器科では、対応できる医療機関が限られる先進の治療を含め、患者の状態に応じたさまざまな尿路結石治療の選択肢をそろえて患者の社会復帰をサポートしている。尿路結石治療の「今」について、原岡政貴医長に聞いた。(取材日2023年10月4日)

結石の場所や状態に応じて治療法を選択。従来治療のデメリットを補う先進の治療も可能

Q尿路結石とはどんな病気ですか? 初期症状も教えてください。

A

尿路結石の症状について話す原岡先生

尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道を「尿路」といいますが、この尿路のどこかに「結石」と呼ばれる石が生じる病気です。結石がある場所によって、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼び分けます。泌尿器科の中では男女ともに発症頻度の高い疾患で、男性は40代から50代の働き盛り、女性は閉経後の60歳以降に多く見られます。結石ができても多くの場合は無症状で、小さければ尿とともに排出されることも。検診で偶然見つかることもありますが、結石が尿路に詰まることで起こる痛みや血尿、吐き気・嘔吐といった症状で受診して判明する方がほとんどでしょう。こうした症状がある場合は、迷わず泌尿器科の受診をお勧めします。

Q診断はどのように行われるのですか?

A

検査で用いられるCT

尿路結石では、突然の激しい痛みで運ばれてくる方が少なくありません。そのため、まずは痛みの軽減を図る処置を行った上で、尿検査で尿の潜血を調べ、腹部エコーで腎臓の腫れを確認します。結石は、カルシウムやシュウ酸、尿酸などが結晶化したものなので、カルシウムがエックス線検査で白く映れば場所や大きさを把握することができます。中でも最も有用な検査方法はCTで、エックス線検査では見えない部分までチェックしたり、小さい結石を見つけたりすることができるため、結石の数や場所、大きさを特定して治療法を選択するのに役立ちます。

Q尿路結石と診断されたら、どのような治療を行うのですか?

A

TUL(経尿道的尿路結石除去術)の様子

内服薬の効果が望めない場合や、排石が期待できない場合には外科的治療が行われます。当院では負担の少ない内視鏡治療が中心で、尿道から内視鏡を挿入してレーザーで結石を砕く「TUL(経尿道的尿路結石除去術)」、背中から内視鏡を挿入して腎結石をレーザーで砕く「PNL(経皮的尿路結石除去術)」、TULとPNLを併用する「ECIRS(経皮的経尿道的尿路結石除去術)」のすべてを実施できます。特にECIRSは、尿管と腎臓に結石がある場合や、大きな結石でも侵襲を抑えられる優れた治療です。PNLができる医療機関が少ないため、必然的にECIRSができる医療機関も限られます。なお、どの治療も保険適用で実施可能です。

Q再発も多いと聞きますが、予防策はありますか?

A

予防には生活習慣を見直すことが重要だという

尿路結石の再発率は非常に高く、5年で45%、10年では60%が再発するといわれています。しかし、適切な予防を行うことで再発率を大幅に下げることがめざせます。予防法は大きく3つです。1つ目は、水を十分に飲むこと。食事以外から水分を1日2リットル以上取ることを推奨します。2つ目は、バランスの良い食事を心がけること。動物性たんぱく質や塩分は取りすぎないようにしてください。3つ目は、適度な運動をすること。尿路結石は生活習慣病に起因することが多く、特に肥満は重大な危険因子です。食事と運動で適正体重をめざしましょう。当院では、治療後も必要に応じて生活指導を行い、定期的な検査で再発予防を支援しています。

Q治療期間、および社会復帰までの期間を教えてください。

A

内視鏡治療で使用する器具

服薬治療による結石の排出は、およそ1ヵ月以内を目安とします。その間、痛みがあれば鎮痛剤を併用します。内視鏡治療の場合、TULなら約4~5日、PNLとECIRSなら約5~8日の入院期間が想定されます。1~2週間後にステントを抜くために来院していただく必要がありますが、退院したらすぐに社会復帰していただいて構いません。体を積極的に動かすことは再発予防につながりますから、むしろ進んで社会復帰していただきたいと思います。結石ができる原因はさまざまですが、結石成分を分析するとある程度は推測が可能です。個々の原因に応じたアドバイスも行っていますので、再発防止に向けて一緒に頑張っていきましょう。

患者さんへのメッセージ

原岡 政貴 医長

2009年昭和大学医学部医学科卒業。順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科での初期研修を経て同科入局。関連病院を中心に複数病院で研鑽を積んだ後、2018年より明理会東京大和病院泌尿器科に入職。得意分野は尿路結石治療、内視鏡治療、腹腔鏡治療、ロボット支援手術。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

尿路結石は直接命を脅かす病気ではないと思われがちですが、治療のタイミングが遅れると尿路閉塞による腎機能の低下で腎不全を引き起こしたり、尿路感染症から腎盂腎炎を発症したりする可能性があります。慢性腎不全になれば腎臓の働きは回復しませんし、腎盂腎炎で細菌が全身に広がれば重症化して命に関わることもあります。正しい時期に正しい治療を行って、取り返しのつかない事態になるのを防ぎましょう。「検診で結石を指摘された」「腰に鈍い痛みがある」「他院で示された治療法に不安がある」といった場合は、ぜひ当院の泌尿器科へご相談ください。

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