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医療法人社団オーケーエム会 オーククリニックフォーミズ病院 

(千葉県 松戸市)

森本 紀 病院長

最終更新日:2020/11/25

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人生の痛みに対峙できる「母性」を育てる

診療時間中、「オーククリニックフォーミズ病院」の瀟洒なロビーは、たくさんの女性たちで埋め尽くされている。興味深いのは、どの女性も穏やかで、満たされた表情をしていることだ。お腹の中に生命を宿しているという誇りと喜びに満ちたその顔は、誰もが皆美しい。ソフロロジー式分娩の導入をはじめ、「ママと赤ちゃんの快適さ」を追求し、「母子の絆づくり」を一番に考えたケアを実践する同院の面目躍如といったところだろう。「出産は、赤ちゃんとその母親、そしてひとりの素敵な女性を生む」と話す森本紀病院長は、女性が妊娠・出産を通じて母性を育み、人生のあらゆる壁を乗り越えていく精神力を身に付けられるよう、1989年の開院以来さまざまな工夫と努力を続けてきた。「送り出す母と子に、末永く幸せでいてほしい」と話す森本病院長に、ソフロロジー式分娩への思いから今後の展望まで、詳しく話を聞いた。(取材日2017年5月19日)

こちらには、2006年に移転されたと伺いました。

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1989年に柏市で8床のクリニックとして開院し、2006年に現在の場所に移転しています。柏市では、開院してすぐにたくさんの妊婦さんが来てくださったおかげで、あっという間にベッドが不足するようになってしまいました。1996年には19床に増床したもののやはり足りず、キャンセル待ちも増えてきたので、松戸市に移ることになったというわけです。当時、松戸市は26あった分娩施設が6に減り、「産むところがない」という切実な悩みを抱えた妊婦さんがたくさんいらっしゃいました。そのため、移転翌年の見直しの時期に合わせてベッド数を増やし、「オーククリニックフォーミズ病院」となったのです。以来、妻の意見も聞きながら内装と環境を整え、入院中の食事やエステといったサービスも工夫と努力を重ねて、患者さんに満足していただける病院づくりを進めてきました。

大きな特徴であるソフロロジー式分娩法について教えてください。

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ソフロロジーの歴史をたどると、西洋医学の精神病理学の分野でJHシュルツ(1884-1970)が心身医学の治療法として考案した「自律訓練法」を源としています。心理と身体が相互作用していることを定義し精神的要因が身体の症状に与える影響を考える学問であり、この考え方を初めに産科に導入したのは、フランスのジャンヌ・クルフ博士です。日本には1987年に松永博士が導入して、音楽療法を取り入れるなどの研究と改良を行って、現在の形へと進化させました。ソフロロジー式分娩法では、まず音楽療法を取り入れたイメージトレーニングで深いリラクセーションによる精神の安定を促し、妊娠中から母性を醸成します。さらに、簡単な腹式呼吸やエクササイズを組み合わせることで、母性を分娩に向かって陣痛を乗り切るエネルギーに変えていきます。陣痛に対する考え方を変えることで痛みの感じ方が変わり、非常に穏やかに出産を迎えることができます。

どのような思いでソフロロジー式分娩法を導入なさったのですか。

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生まれた赤ちゃんとともに退院していく女性の姿を見送る中で、「当院で出産したあと、幸せに暮らしている母と子はどれくらいいるのかな」という思いを抱くことがありました。出産はゴールではなく、通過点に過ぎません。子育てをしていれば、壁を感じることもあるでしょう。つらいことや迷うことがあっても何とか乗り越えて、母と子に幸せに暮らしてもらいたい。そんなふうに考えていたときに出会ったのが、ソフロロジー式分娩法でした。ソフロロジー式分娩法で得られる安心感は、出産のみならず育児、ひいては人生のさまざまな場面で自信につながっていきます。ソフロロジー式分娩法を通して生まれるのは、赤ちゃんだけではありません。赤ちゃんの母親と、ひとりの素敵な女性が同時に生まれるのだと私は思っています。世の中が幸せな母と子で満たされるように、ソフロロジー式分娩法の進歩と普及に尽くしていきたいですね。

婦人科でも、ハイレベルな治療を手がけておいでです。

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近年の当院は圧倒的にお産のニーズが多く、婦人科の印象は薄いようですが、私をはじめ多くの医師が日本臨床細胞学会の細胞診専門医であり、豊富な治療経験を有しています。私自身、大学では腫瘍学が専門でしたので、お産のみならず「変化する婦人の体を、一生を通してトータルに見続けたい」という思いで診療にあたっています。生理不順や月経痛に悩む思春期のお子さんから、当院でお産をした方で子宮筋腫の治療をする方まで、幅広い年代の方がさまざまな症状で来院されますね。もちろん当院での治療・手術も可能ですが、より早期に専門的な治療を受ける必要がある場合は、慈恵医大柏病院をはじめ連携する総合病院を速やかにご紹介しています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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最近は無痛分娩を望む方が増え、当院でも1日の件数を決めて無痛分娩とソフロロジー式分娩法のドッキングを行っています。ソフロロジーのおかげで薬の量は少なくて済むものの、やはりリスクがあるので管理は大変です。ソフロロジー式分娩法の利点は、麻酔をしなくても陣痛や分娩の痛みを緩和でき麻酔によるリスクもありませんし、加えて、人生におけるさまざまな痛みを克服する力を引き出せることにあります。実際に陣痛前、分娩中、産後のストレスの度合いを比較すると、無痛分娩に比べてストレスが少ないこともわかってきました。精神的な問題を抱える妊婦さんが、ソフフロジー式分娩法による妊娠・出産を通して安定し、別人のように変貌を遂げた例もあります。少子化が進む今こそ、もっと心地いいお産があることを多くの方に知ってもらいたいですね。これからも女性の一生の主治医として、健やかに美しく年を重ねていくお手伝いをしていけたらうれしいです。

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森本 紀 病院長

1971年東京慈恵会医科大学卒業。同大学附属第三病院産婦人科部長、同大学助教授を経て、1989年オーククリニックフォーミズを柏市に開設。2006年に松戸市に移転し、ベッド数の増加に伴い翌2007年からオーククリニックフォーミズ病院となる。「世の中が幸せな母子で満たされるように」との願いをこめて、女性の一生をサポートしている。

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