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独立行政法人国立病院機構 九州医療センター

(福岡県 福岡市中央区)

岩崎 浩己 病院長

最終更新日:2024/01/24

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病院理念である寄り添う医療で地域を支える

国立病院療養所再編成計画第1次分にて、福岡中央病院と久留米病院の統合により1994年に設立された「九州医療センター」は、福岡市地下鉄空港線・唐人町駅から徒歩約15分、周辺に大型商業施設などが立ち並ぶ、幅広い世代が行き交うエリアにある。同院は「高度急性期医療」「救命救急」「災害医療」の3つを柱に、豊富な診療科と702床の病床を備え、医科・歯科すべての疾患に対応可能な診療体制を構築。発展し続ける福岡市と糸島市を医療面で支えている。身体への負担を最小限にすべく内視鏡手術支援ロボットを導入し、手術台と高画質の心臓・血管エックス線撮影装置を組み合わせたハイブリッド手術室も設置。がん治療のさらなる充実をめざし2024年6月には放射線治療部門を増設予定。その一方で、「人材の育成にも力を注いでいます」と岩崎浩己病院長は意欲を見せる。同院の理念「病む人に寄り添い、安全かつ最適な医療を提供します」を胸に医療人としてのマインドを育む教育体制にも尽力する岩崎病院長に、同院の30年の歩みや現在の取り組み、今後の展望について話を聞いた。(取材日2023年12月7日/記事更新日2024年1月17日)

まずは病院の歴史についてお話しいただけますか?

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1994年7月に国立病院療養所再編成計画第1次分にて福岡中央病院と久留米病院を統合し設立に至ったのが始まりです。病院の機能は当初より高度急性期医療を提供。来年30周年を迎えますが、その間多くの転機がありました。中でも2016年に救命救急センターの指定を受けたことは大きな転機になったと感じています。まず日本救急医学会救急科専門医の確保もさることながら、在籍医師も自身の専門性に特化した診療を行うだけでなく、救急車で運ばれてきた患者さんの診療も加わり、体制構築に向けて前病院長が尽力されました。その結果、2023年1月~12月は5700件を超える救急搬送を受け入れるまでになりました。福岡市内には4つの救命救急センターがあり、その一つとして地域の救急の受け皿となっています。地域にお住まいの方々に安心をお届けするべく、「高度急性期医療」「救命救急」「災害医療」の3つを柱にした病院へと成長してきました。

地域における役割や取り組みについても教えてください。

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当院は702床の病床を備え、医科・歯科すべての診療に対応できる体制を構築しています。国立病院機構の使命として、新型コロナウイルスの流行に関しても、早い時期から患者さんを受け入れました。治療法も確立されていない未知の病でしたが、皆一致団結して立ち向かう姿は、まさに医療人のあるべき姿。誇らしかったですね。また、当院は救急医療も積極的に行っており、一般病院での受け入れが難しいケースの受け皿になれるような体制も強化しています。福岡市立こども病院の移転に伴い、福岡市西部・糸島市における小児救急についても担っています。地域の各医療機関との連携も重要ですので、密に情報交換しながら顔の見える連携に取り組んでいることも当院の特徴だといえるでしょう。

災害医療やがん治療にも注力されていると伺いました。

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はい、当院はDMAT(ディーマット)という災害派遣医療チームを有し、最近では熊本の地震、八女や久留米の豪雨などの現場に向かい医療支援にあたりました。このように大規模災害が起きた時には九州エリアの基幹災害拠点病院として医療支援を行う役割も担っています。一方で、日本人の2人に1人が一生のうちにがんと診断される時代ですので、がん治療にも注力しています。まず患者さんの体の負担軽減を目的としたロボット支援による低侵襲手術を積極的に実施しています。抗がん剤治療では、外来総合治療センターを充実させて、さまざまながんに対応しています。腫瘍内科という部門では、一般的に知られているようながんだけでなく、珍しい希少がんの治療も行っております。さらに、放射線治療。近年はIMRTという高精度でがんに照射する技術が進歩しています。その充実を図るため、2024年6月竣工予定で「放射線治療部門」の増設工事を進めています。

近年、在宅医療を希望される患者さんも増えているそうですね。

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以前は病院で看取ることがほとんどでしたが、今は住み慣れた家で過ごしたいと在宅医療を希望される方がとても増えました。そのため、在宅医療に携わっておられるクリニックの先生方に来院いただき、意見交換をする機会が増えています。病院と在宅、それぞれの現場で感じたことや対応した内容などを持ち寄ることで、互いに新たな気づきを得られますし、それをまた各現場で生かすことができるんです。このように、医療ニーズが多様化する中、医師のみならずメディカルスタッフの人材育成が重要となってきます。当院には現在、若手の医師が約120人在籍し、それぞれの分野で学んでいます。スキルだけでなく、マインドも重視した教育体制を整え、そして、メディカルスタッフも毎年新人が100人以上入ってきますので、当院で学び、そして巣立っていく、そんな病院でありたいと思っています。

今後の展望や、読者へのメッセージをお願いします。

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当院の強みは、ほぼすべての疾患をカバーする多くの診療科を有し、それぞれの垣根が低く、協働できる体制を整えていることです。なぜなら、一つの診療科で解決する患者さんは意外と少ないからなんです。例えば、肺がん治療で来院された患者さんが狭心症の手術歴を持っているといったように、年齢を重ねるほど、循環器疾患や糖尿病などの合併症を持っている方が多くなります。そうなると、各診療科との連携が不可欠なんですね。その体制がしっかりと整っていることは患者さんの安心感につながるのではないでしょうか。その上で、重視すべきは「病む人に寄り添い、安全かつ最適な医療を提供します」という理念に基づいて全職員が業務を遂行すること。患者さんに愛され、頼られる九州医療センターであり続けるために、日々改善に努めています。

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岩崎 浩己 病院長

1990年九州大学医学部卒業後、米ハーバード大学の関連医療機関であるダナ・ファーバーがん研究所留学。九州大学病院准教授、九州医療センター臨床研究センター長、副院長などを経て2023年より現職。「高度急性期医療」「救命救急」「災害医療」の3つを柱に、医科・歯科すべての疾患に対応できる診療体制の持続とさらなる拡充をめざし、人材育成にも積極的に取り組んでいる。日本血液学会血液専門医。

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