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地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立十三市民病院

(大阪府 大阪市淀川区)

倉井 修 病院長

最終更新日:2022/07/08

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これまでもこれからも地域とともに歩む病院

「市民に信頼され、地域に貢献する病院」という理念を掲げる「大阪市立十三市民病院」は、開院から今日まで大阪市北部地域の身近な医療拠点として親しまれ、急性期医療を中心に総合的な診療体制を拡充し続けてきた。その姿勢は新型コロナウイルス感染拡大下でも変わらず、感染症の治療に重点的に取り組みながらも、できる限り従来どおりの外来診療を維持しようと力を尽くし、2021年12月には休止していた産科外来を、2022年6月には分娩を再開。手術件数も増加傾向にあり、以前の診療状況を取り戻しつつある。消化器内科の医師として同院で長年勤務し、副院長を経て2022年4月に病院長に就任した倉井修先生は、「この状況下でも徹底した感染症対策で院内クラスターを防ぎ、また患者の変化に寄り添うチーム医療が活発に行われるなど、当院の良さや強みは成長を続けています」と語る。取材では地域における同院の役割や現在の診療内容、パンデミックを経て再確認できた同院の良さなどを、じっくりと語ってもらった。(取材日2022年6月21日)

病院の歩みや、現在の診療状況をご紹介ください。

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私は18年前、当院が現在の場所へ移転した2年後から勤務しています。当時は淀川区の大きなかかりつけ病院といった存在で、受診される方の大半は近隣にお住まいの方で占められていました。その後、医療ニーズの変化に応じて救急診療を開始し、閉院した大阪市立北市民病院の結核病床を受け入れるなど、地域との密な関係を保ちながら大阪市北部の急性期医療を担う地域基幹病院として機能しています。がん診療に力を注ぎながら、地域医療支援病院の承認を受ける準備を進め、承認要件をほぼ満たすところまできていたのですが、そこで新型コロナウイルス感染症に見舞われることに。公的病院であり政策医療はわれわれの責務ですので、感染状況が落ち着きつつある今後は、新型コロナウイルス感染症や結核、新たな感染症にも対応できる診療体制を維持しつつ、従来からの総合的な診療や地域医療への貢献に、あらためて注力していきたいと考えています。

休止していた分娩を再開したそうですね。

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新型コロナウイルス重点医療機関となった際に、産科の患者さんや分娩予約のあった方を含め、すべての患者さんを他の医療機関へご紹介せざるを得ず、ニュースなどでも大きな話題になりました。ですが当院は以前から地域の周産期医療で中心的な役割を果たしてきました。そこで2021年12月には産科の外来を再開し、2022年6月からは分娩も開始しました。分娩件数も着実に伸びつつありますので、このままうまく軌道に乗せ、院内に赤ちゃんの姿がある日常を取り戻したいですね。なお、当院は以前から母子同室での母乳育児を積極的に行うほか、退院後も助産師による母乳育児相談や育児サークルを開催するなど、出産から子育てをきめ細かに支える体制が充実しています。里帰り出産も受け入れていますので、ぜひご利用ください。

がん診療や手術に関してはいかがでしょうか?

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消化器領域、泌尿器領域、婦人科領域など患者さんが多い領域を中心に幅広いがんに対応し、手術では切開が小さい鏡視下手術を積極的に実施します。患者さんが減った時期もありましたが、一般診療を継続していることが広く知られるにつれ、開業医の先生方からのご紹介も増えてきました。また消化器がんの予防や早期発見・治療では、内視鏡センターが大きな役割を果たしており、ほぼ全例で鎮静剤を使用して患者さんの負担を軽減し、見落しのない検査や処置に努めています。それからがん診療では腫瘍に対する専門的治療に加え、痛みや副作用、経済的な問題などさまざまなサポートが必要です。コロナ禍で新規のがん患者さんや化学療法の件数は減りましたが、がん相談支援センターや緩和ケアチームが新たにサポートを開始した患者さんの数は以前の水準を維持しています。予防から専門的な治療、各種支援や緩和ケアまで切れ目なく対応できるのが当院のがん医療です。

多職種のチームも、診療の質を支えているのですね。

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そうですね、当院では新型コロナウイルスが流行する前から、看護師や薬剤師、管理栄養士、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなど多職種によるチーム医療が活発に展開されています。具体的には先ほどの緩和ケアに加え、栄養サポート、摂食嚥下、褥瘡対策、糖尿病ケア、呼吸サポート、排尿ケア、認知症サポート、転倒転落・抑制対策などのチームがあり、各チームが定期的な回診やカンファレンスで情報共有を図っています。また、病棟の看護師がチーム医療を必要とする患者さんを見逃さず、必要なタイミングでチームにつなぐようにしています。例えば、入院当日に環境の変化でせん妄を生じた患者さんがあれば、認知症サポートチームと連携し、ベッドの位置を見直し転落防止対策を行う。こういった対応が年々素早くスムーズになっていますね。また、緩和ケアや皮膚・排泄ケアを専門的に学んだ看護師も増えており、高齢者施設などへの訪問看護も行っています。

最後に、地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

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感染症診療は当院の使命の一つであり今後も継続してまいります。同時に「地域に根差した病院」として地域の皆さんや先生方と培ってきた連携や信頼関係は、これまで以上に大事にしていきたいと考えています。現在、外来や手術では以前と同様に質の高い診療をめざし、実践しています。また、当院は専門医療機関として新型コロナウイルス感染症の患者さんを多数受け入れてきましたが、徹底した感染症対策を実施することで、感染症が気がかりな方にも、安心して受診していただける環境の整備に努めています。医師やスタッフはこの2年間も高いモチベーションを維持しながら、当院ならではの親しみやすい、目が行き届く診療を続けていますので、どうか安心して受診、ご紹介いただければと思います。

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倉井 修 病院長

島根医科大学医学部(現・島根大学医学部)を卒業後、大阪市立大学医学部第3内科(現・大阪公立大学医学部消化器内科学、肝胆膵病態内科学)に入局。大阪市立住吉市民病院や大阪市立総合医療センター消化器内科などで診療に従事した後、2004年に赴任。慢性ウイルス性肝疾患や肝細胞がんの診療に注力しつつ、2014年より副院長を務め、地域医療連携にも携わる。2022年4月により現職。日本肝臓学会肝臓専門医。

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