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宇治武田病院

(京都府 宇治市)

金 郁喆 院長

最終更新日:2023/02/14

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質の高い医療の提供をめざす温かな病院

JR奈良線宇治駅の北側にあり、ゆったりとした外観と緑豊かな植栽が印象的な「宇治武田病院」。2002年に企業病院の承継によって誕生した同院は、宇治市や南山城地域の基幹病院として、前身の時代から住民に親しまれ信頼を寄せられてきた。現在は強みである整形外科疾患や小児整形で専門性の高い診療を提供するほか、幅広い診療科を設けて地域の医療ニーズに対応。がんの放射線治療や認知症の診療などにも力を入れているという。小児整形の専門家である金郁喆(きむ・うっちょる)院長は、「質の高い医療の提供をめざし、穏やかな時間が流れている病院です」と同院の良さを語る。取材では、地域医療における同院の役割や特徴的な診療内容、院長が重視している病院や医療の在り方についても、じっくりと話を聞いた。(取材日2023年1月11日)

地域から長く親しまれている病院だそうですね。

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当院は、古くからこの地域にあった線維会社の企業病院を武田病院グループが受け継ぎ、2002年に診療を開始。2007年には現在の場所へと新築移転しました。運営母体が変わっても、宇治市内や南山城全域から通い続ける患者さんが多く、地域からの信頼を実感しています。産婦人科以外の診療科はほぼそろい、歯科口腔外科では若い先生方の研修も受け入れています。基本的には急性期の治療を行う病院で、177あるベッドも急性期病床ですが、長期にわたる療養やケアが必要な患者さんにはグループ内外の介護施設や高齢者施設をご案内できます。また院内には地域包括ケア病棟もありますので、自宅復帰を希望される方などはそちらへ移って、徹底的なリハビリテーションで早期復帰をめざすことも。院内は広々とした間取りでストレッチャーでも移動しやすく、各階の談話スペースでは会話を楽しむ患者さんの姿もあり、「宇治」らしい穏やかな雰囲気も特徴です。

整形外科では、先進の治療が実施されています。

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前院長は手外科、私は小児整形が専門ということもあり、整形外科では関節、上肢、脊椎、スポーツ整形、さらに小児整形など、多様な領域で専門性の高い診療をしています。人工関節の手術件数も多く、2021年にはロボット手術の設備を導入し、より精度の高さにこだわった施術が行えるようになりました。また膝関節では変形の程度によって、膝関節の片側だけを人工関節に置き換える人工膝関節部分置換術(UKA)や、高位脛骨骨切り術(HTO手術)も実施。患者さんの状態やご希望に応じ、なるべく負担が少なく、質の高い生活を維持するための治療方針をご提案します。それから、整形外科に欠かせないのがリハビリです。5階には広大なリハビリ室があり、医師や理学療法士が患者さんのメンタル面にも配慮しながら、機能回復や痛みの解消に努めています。「手術が3割、リハビリが7割」という言葉もあるとおり、患者さんに寄り添うリハビリが持ち味です。

小児運動器の治療や脚延長法についてご紹介いただけますか。

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小児運動器では股関節脱臼、筋性斜頸、内反足が3大先天性疾患といわれています。またX脚やO脚で悩む子もいます。子どもには患部の成長を利用した治療法もあり、病気に早く気づいて適切な時期に受診することが重要です。当院には京都府南部はもちろん北陸や中国地方などからもお子さんが来て、長期休みを利用して手術を受けたり、経過観察で定期的に通院されていますね。中でも、イリザロフ法というロシアで発達した骨の延長法は、骨を切った部分に装置をつけて適切な伸張をかけて骨の成長を促し、骨の変形やねじれを治したり脚長を伸ばしたりすることも望めます。骨とともに神経や血管、筋肉も伸び得るので、生まれつき左右の脚の長さが違ったり、足や足の指が曲がっている方、あるいは悪性腫瘍で骨を切除した方にも適した治療法です。患者さんは手術後1ヵ月程度で退院し、延長器をつけたまま通学するなど日常生活と治療を両立されていますよ。

がんや認知症など、ニーズの高い治療にも注力されています。

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悪性腫瘍に関しては各科で手術や化学療法を行うほか、2007年から、強度変調放射線治療の専用機器を導入して、前立腺がんや頭頸部がん、乳がんなどで活用してきました。腫瘍にピンポイントに放射線を照射できるので、周囲の正常組織への影響が少ないことが特徴。また日帰りで実施できることも多く、患者さんの負担が軽いと期待できる治療です。2019年には新しい機器に更新し、引き続き多くの患者さんにご利用いただけています。それから認知症に関しては、脳神経内科で認知症予防として物忘れの診察を行っています。また敷地内にある京都府認知症総合センタークリニックは京都府の補助により武田病院グループが開設した施設で、認知症の前段階から重度の方まで、それぞれの病状や生活に応じた医療やサービスをワンストップで提供しています。常設型の認知症カフェもあるんですよ。当院も同クリニックと日常的に連携し、医療面での支援を行っています。

病院の運営において、先生が大事にされていることは?

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地域の皆さんにご信頼いただいてきた歴史がありますので、それに応えるべく、安心安全で質の高い医療の提供に努め続けることが、私たちの使命だと思っています。先生方には、ご専門のストライクゾーンで的確な治療をしてほしいとお話ししています。また外部の勉強会などで積極的に学びストライクゾーンを広げてもらいつつ、グループ内の病院や大学病院とも積極的に連携して、患者さんを適切な治療の場へつなげることもお願いしていますね。それから、患者さんは病気があることで心にも何かしらの痛みを抱えているわけですから、看護師やスタッフには、愛情をもって患者さんに接してほしいと話しています。何かと世知辛い世の中、病院ぐらいは温かい場所であってほしいですし、病院で優しくされた患者さんは、社会へ戻っても優しい心を持てると思うのです。「宇治にはこんな病院があるんだな」と思ってもらえるような、温かな病院でありたいと願っています。

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金 郁喆 院長

1982年信州大学医学部を卒業後、京都府立医科大学附属病院研修医。関連病院で診療に従事し1990年には米国Mayo Clinicへ留学、脚延長法(イリザロフ法)を研究。帰国後は京都府立医科大学にて脚延長法をはじめとする小児整形を担当し、2002年には京都府立医科大学講師、2013年には同小児整形外科教授。2016年より宇治武田病院へ入職、2017年2月より現職。

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