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医療法人嘉健会 思温病院

(大阪府 大阪市西成区)

狹間 研至 理事長

最終更新日:2023/04/10

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地域に安心安全を届ける病院をめざして

大阪メトロ四つ橋線・花園町駅から歩いて3分ほど、下町らしい生活感ある街並みの一画に「思温病院」はある。以前から地域で親しまれてきた病院が、2014年に経営母体や組織を刷新し、2016年に新病院としてリニューアル。病棟の改装を経てケアミックス型の診療体制を整え、狹間研至理事長のもとで新たな歴史を刻んできた。「地域の方に『思温病院があるから安心安全』と思っていただくこと」という使命を掲げて同院をけん引する狹間理事長は、この理念をすべての職員と日々共有。医師だけでなく看護師や薬剤師、管理栄養士など、それぞれの職種が専門性を発揮しながらチームで医療を行い、高齢者に適切な回復期・慢性期医療を提供し、自宅や施設への復帰をめざす。侵襲性の高い医療的処置から緩和ケアまで対応できることが強みで、「近隣の急性期病院や開業医の先生方からも患者さんを任せてもらえるようになりました」と狹間理事長。院内の雰囲気も大きく変わったと、優しい笑顔で語る。取材ではリニューアル後の取り組みやその根底にある思い、今後の展望についても話を聞いた。(取材日2023年3月8日)

新病院としてのスタートから、8年目に入るそうですね。

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当院は2014年に事業継承を受け、2016年より「思温病院」の名称で新たに診療を始めました。以前の病院は、主に救急医療を行って地域での役割を担っていたと聞いています。ただ、西成区は大阪市内でも高齢化が進んでいて単独で暮らす方も多いこと、また経済的な基盤が弱い世帯も多いといった地域の事情があります。そこでリニューアルの際には、地域の方々や周辺の医療機関から「あって良かった」と思ってもらえる、しかも独自の強みを持つ病院として、採算性をめざすことに。急性期一般病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟を各60床設け、急性期のほか回復期や長期療養にも対応し、地域の多彩な医療ニーズに対応できるケアミックス型の病院へと生まれ変わりました。「地域の方々に『思温病院があるから安心安全』と思っていただくこと」という理念を掲げ、特に高齢患者さんへの治療やケアを充実すべく、多職種によるチーム医療に力を入れています。

診療理念を非常に大事にされていると伺いました。

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病院の母体や組織が大きく変わり、また多様な職種によるチーム医療を推進していくためには、理念の浸透が欠かせないと考えました。病院で働こうと思う人は、大なり小なり「患者さんに良くなってほしい」という気持ちがあるでしょう。私自身が当院に関わることを決めたのも、見学の際に患者さんが困っている光景や、看護師が孤軍奮闘する姿を見たからです。そのような思いを理念にして、「感謝の気持ちを感動に変えられる自律型感動人間」をめざそうと、その行動指針を「フェイス」としてまとめ、各部署で毎朝唱和をして、意見を述べ合っています。最初は違和感があるかもしれませんが、毎日口にするうちに「そんなに変なことは言っていないな」となじんでもらえるようです。チーム医療を行う上でも「患者さんのため」「地域のため」という共通のベクトルをあらためて認識し、職種や立場を超えてリスペクトし合う姿勢を再確認する、大切な機会になっています。

現在の診療内容についてご紹介ください。

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循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、整形外科という、高齢者医療に欠かせない4領域に力を入れています。増加する心不全に関しては専門の医師を中心にハートチームを立ち上げて対応、また高齢者に多い嚥下のトラブルや誤嚥性肺炎、吐血・下血、日常的な骨折にも院内で対処できます。外来診療も行っていますが、入院患者さんの大半は当院の外来からではなく、外部の医療機関からのご紹介です。開業医の先生方や高齢者施設から症状が悪化した患者さんをお預かりするケースと、近隣の大規模病院で急性期治療を終えたものの、医療的なケアやリハビリテーションが必要な患者さんが転院してくるケースが多いです。急性期病棟を備え、人工呼吸管理などの医療スキルを持つ点は強みですね。また皮膚科や泌尿器科、眼科や耳鼻咽喉科、精神科など高齢者で合併しやすい領域については、外部から専門の医師に定期的に来てもらい、入院患者さんをサポートしています。

チーム医療や多職種連携を重視するのはなぜですか?

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病院の医療で医師が主に担うのは、診断と救命です。そのため急性期病院では医師の役割が必然的に大きくなりがちですが、亜急性期以降の高齢者医療では診断や治療はある程度進んでいて、そこに栄養や食事、服薬、生活動作や認知機能の障害などさまざまな問題が重なってきます。だから看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士や柔道整復師などのリハビリスタッフ、検査関連の技師や地域連携室のスタッフなど、各職種が個々に専門性を発揮し、お互いを尊重するチームになって各患者さんに対応する必要があるのです。特に入院直後の患者さんでは多くの問題が複雑に絡み合っていますが、当院では各職種が迅速に問題を整理して解決や調整を図り、在宅復帰に向かえるように努めています。当院が地域の医院や大規模病院にとって「使い勝手の良い病院」だと認めていただけるようになったのは、充実した多職種連携があるからだと自負しています。

現在の手応えと、今後の展望をお聞かせください。

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継承当初はさまざまな混乱もありましたが、同じ理念を持つスタッフが増えて診療体制も充実したことで、院内の雰囲気が明るくなり、思い描いたチーム医療に少しは近づけたかなと思います。新型コロナウイルス感染症に対しても、当院の設備では本来なら対応は難しいところ、病院を挙げて取り組んできました。地域の患者さんから「病院が良くなってくれてうれしい」とお声をいただくことがありますし、経営品質も外部からご評価いただけるレベルになり、手応えを感じています。今後は、心不全をはじめ先ほど挙げた4領域を中心に、「大阪市南西部で○○といえば思温病院」と言われるような特徴をもっと打ち出していきたいですね。そのためにも、スタッフには教育の機会をより積極的に提供したいです。楽しく誇りを持って働ける従業員満足度の高い病院をめざします。それが、良質な医療やサービスを提供できる、顧客満足度の高い病院にも直結すると考えています。

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狹間 研至 理事長

1995年大阪大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院や大阪府立病院(現・大阪急性期・総合医療センター)等で外科・呼吸器外科を研鑽。2000年より大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科にて異種移植の臨床・研究に従事した後、実家の薬局運営に参画。2008年からは医療法人思温会で訪問診療に携わり、2016年より医療法人嘉健会思温病院理事長。同院で診療や病院運営に注力し、薬学・薬剤師教育にも取り組む。

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