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地方独立行政法人京都市立病院機構 京都市立病院

(京都府 京都市中京区)

黒田 啓史 院長

最終更新日:2021/03/01

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「2人主治医制」で高度急性期医療を担う

JR嵯峨野線丹波口駅から五条通を西へ向かうと、右手に「京都市立病院」が見えてくる。1882年に設立された公立病院をルーツにもつ同院は現在、37の診療科、548床を擁する地域中核病院として、京都市内にある2つの大学病院や近隣地域の医療機関と連携しながら、がん診療をはじめとする高度急性期医療を提供している。また救急や周産期、災害対応なども市立病院である同院が担う重要な役割であり、黒田啓史院長は「新型コロナウイルス感染症に対しては、1つの病棟を割り当てて懸命に治療にあたってきました」と語る。近年では緩和ケア病棟や患者支援センターを立ち上げるなど、入院前から退院後まで患者・家族を連続的にサポートする仕組みづくりにも力を入れているという。2020年には初の試みとしてオンラインの市民公開講座を実施するなど、コロナ禍でも患者や地域とのつながりを絶やさない同院がめざす医療について、黒田院長に詳しく聞いた。(取材日2021年2月4日)

こちらの歴史や地域医療における役割を教えてください。

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1882年に設立された上京公立避病院という伝染症病院が、当院のルーツです。このような背景から、当院には現在も第二種感染症用の病床8床が確保されています。1965年には京都市中央市民病院と市立京都病院が統合されて現在の当院がスタートし、2020年には55周年を迎えました。市立病院ですので、市民の命と健康を守ることが最重要課題です。このためがん診療や脳・心臓疾患などでの高度急性期医療に力を入れており、地域がん診療連携拠点病院やがんゲノム医療連携病院などになっています。また自治体病院として政策医療の遂行も当院の責務であり、救急医療や周産期、災害時医療にも取り組んでいます。2013年に建て替えた北館は救急科外来スペースが4倍に拡張され、手術室も増設し、屋上にはヘリポートを造設しました。年間多数の救急搬送を受け入れ、緊急手術も日常的に実施しています。

高度急性期医療の中で、特に力を入れている領域は?

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手術支援ロボットを2013年に導入しました。最初は前立腺がんからスタートし、現在では膀胱がん、腎臓がん、また消化器領域では胃がんと直腸がん、呼吸器領域では肺がんでロボット支援手術を実施しています。安定した環境で精度の高い手術が図れ、患者さんの負担も軽減しますので、適応がある方には積極的にお勧めしており、前立腺がんでの症例数は大学病院レベルに達しているとの自負があります。泌尿器科ではもう珍しい手術ではなく、1つの選択肢として定着してきていますね。2020年には新しいバージョンに更新したので、より難易度の高い症例にも対応できるようになりました。それから、当院では血液内科だけでなく小児科でも骨髄採取・移植に対応しているのも特徴で、小児の造血細胞移植を実施しています。外来化学療法センターでの通院治療も積極的に行っています。

患者さんやご家族を支える環境づくりにも取り組んでいるとか。

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がん患者さんやご家族が直面する悩みやつらさ、生活面でのさまざまな問題を相談できる「がん相談支援センター」を院内に設置し、相談内容に適した職種のスタッフがお話をお聞きして、不安の解消や問題の解決に取り組んでいます。またがんの緩和ケアに関しては、以前は緩和ケア病床であったところを、緩和ケアを専門とする医師を招いて2020年からは14床の緩和ケア病棟として新たにスタートしました。悪性腫瘍など治療困難な疾患をもつ患者さんやご家族に、苦痛の少ない毎日を過ごしてもらえるようなケアを実施しています。利用者は当初こそ少なかったのですが徐々に増加し、現在は満床になることもあります。また、院内からだけでなく、地域の医療機関からのご紹介で来られる患者さんも増えています。

地域の医療機関とは、どのように連携を図っていますか?

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高度急性期医療や政策医療といった当院の責務をしっかり果たしていくためには、難易度の高い検査や高度な治療は当院で、そして日常的な健康のチェックは地域の医療機関で行っていただくという、役割分担が欠かせません。そこで患者さんには「2人主治医制」をお願いしています。これは、ご自宅近くのかかりつけ医療機関の先生を1人目の主治医とし、そこで何か異常が見つかればこちらへご紹介いただき、当院の医師が2人目の主治医として治療を行うという仕組みです。かかりつけ医がいないという患者さんには、地域連携室でご紹介もしています。当院には昔から通ってくださっている患者さんも多く、「ここがかかりつけだから」というありがたいお声も聞こえてきます。しかし今後の地域医療を維持していくために、患者さんに少しずつ意識を変えていただけるように取り組んでいます。また地域の先生方とは、勉強会や訪問を通じた関係づくりを行っています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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かかりつけ医からご紹介いただく患者さんを増やす、つまり地域の医療機関との連携をより強化するためには、信頼される病院、紹介したいと思ってもらえる病院でなければなりません。そこで職員には、医療の質を高めると同時に、笑顔で患者さんに接してほしい、患者さんの立場に立った対応をしてほしいと、常にお願いしています。そのためにも、職員が「ここで働けて良かった」と誇りに思えるような病院づくりを進め、患者さんの満足度向上へとつなげていきたいですね。当院の診療は多職種によるさまざまなチームによって遂行されており、各職種がうまくコミュニケーションを取っていると思います。そのような協力体制を大事にしながら、患者さんにより安心して治療を受けてもらえる環境づくりに努めたいと考えています。

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黒田 啓史 院長

1982年京都府立医科大学を卒業後、同附属院および国立舞鶴病院、福井愛育病院などの小児科で研鑽を積む。1994年米国フィラデルフィア小児病院研究員、1996年宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)文部教官(小児科学教室)を経て2001年より京都市立病院小児科部長、2015年同院副院長、2020年より現職。専門は小児血液腫瘍で、同院では末梢血幹細胞移植や臍帯血移植などの造血細胞移植をリードしてきた。

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