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日本赤十字社 京都第一赤十字病院

(京都府 京都市東山区)

池田 栄人 院長

最終更新日:2021/03/29

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急性期を支え、地域に開かれた病院をめざす

1934年に「日本赤十字社京都支部病院」として開設された「日本赤十字社 京都第一赤十字病院」は、地域医療とともに救急救命センター、総合周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院として、これらの診療を大きな三本柱とし、京都市の高度急性期医療を支える病院である。透析やリウマチ患者など合併症のある患者の受け入れや、災害医療にも精力的に取り組み、地域はもとより広域での医療支援に力を尽くしている。また、人々の生活や人生に寄り添う医療についても重要視し、緩和ケアを含むがん医療や地域医療連携体制の見直し、かかりつけ医サポート事業なども積極的に行い、地元からの信頼も厚い。京都第一赤十字病院一筋に、救命救急センター、総合周産期母子医療センターの立ち上げにも尽力してきた池田栄人院長は「これからの病院は治療するだけでなく、地域の健康づくりが課題になってくる。楽しい人生を一緒になってつくり上げていくお手伝いをしていきたい」と話す。今回は同病院の診療の特徴から今後の展望まで、幅広く聞いた。(取材日2021年3月10日)

地域における病院の位置づけと役割について教えてください。

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「日本赤十字社 京都第一赤十字病院」は、多数の診療科を展開し、病床数652床を有する、京都府の3次医療機関としての役割を担う病院です。1934年の開設以来、地域医療のほか、1997年には救命救急センターと総合周産期母子医療センターを開設、2007年からは地域がん診療連携拠点病院にもなり、幅広い医療を提供してきました。救急では「断らない救急」をモットーに積極的な対応を行い、救急車、ドクターヘリともに京都府の中でも多数受け入れている病院です。周産期医療においても、早産や多胎、合併症のある妊婦さんなどの分娩、NICU受け入れを数多く行っています。さらには周産期医療の基幹病院として、府下の空床状況の把握を受け持ち、ハイリスクな妊婦さんの搬送先の確保にも努めています。

貴院の特色と特に力を入れている診療分野を教えてください。

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京都市内には、大学病院や公立・民間も含めて規模の大きな病院が多く、医療の過密地帯といわれています。そのため、当院が京都市南端にあって立地的に厳しいことや、3次医療を担っていることからも、運ばれる方の多くは重症や複合疾患のため他院では対応が難しいと判断された患者さんです。それだけに医療の最後の砦を自負して、さまざまな患者さんに対応できる検査や手術などの能力向上を掲げてきました。血管造影検査、心臓血管手術、緊急内視鏡手術など、夜間や休日も対応できる技術力を備えていることは当院の特色の1つです。また、脳卒中、心疾患、外傷などはもとより、透析やリウマチなど合併症がある患者さんや、腎不全、呼吸器不全、妊婦さんの脳出血といった難しい症例まで幅広くカバーできているのは、チーム力があってこそ。縦割り意識がなく横のつながりが強いのも、長年災害派遣などに寄与してきた当院の強みだと思います。

がん診療では、緩和ケアにも力を入れているそうですね。

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当院は救急医療のイメージが強いですが、がん治療にも力を入れています。化学療法や放射線治療など、さまざまながん治療を手がけていますが、特に、内視鏡を使った粘膜下層剥離術(ESD)を多数行っています。ESDのように、開腹の必要がなく低侵襲で、高齢の方でも受けられる手術が広まる中で、多くの人を治療できる分、必要と感じたのが緩和ケアです。現在はがん医療の総合力を高めるべく、多職種から構成される20名ほどの「緩和ケアチーム」が、外来・入院中のがん患者さんに緩和ケアを提供しています。また、今年中には、緩和ケア病棟をスタートさせ、増加傾向にある血液内科・婦人科・耳鼻咽喉科領域のがん治療に注力するとともに、がん患者さんに対する就労支援、生活支援、レスパイトケアなどを提供できる体制を整え、がん医療分野の機能の拡充を図りたいと思っています。

病院運営では、ほかにどのようなことに注力していますか?

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地域医療の基幹を担う病院として、「臨床」「学術」「教育」「地域連携」の4点についても力を注いでいます。大きな組織はとかく経営に偏りがちですが、効率重視ばかりでは医療でなくなってしまうと思います。これらのうち「臨床」「学術」は、救急の積極的な受け入れにより症例が多く集まり、自然と実績も積み上げてくることができました。また、それにより、経験を積みたいと研修医などの人材が多く集まり、「教育」面での機能も果たせるようになりました。「地域連携」については、回復期における病病・病診連携のネットワーク構築に早期から取り組み、今後はさらに在宅医療を含めた地域包括ケアを充実させていきたいと思います。また、災害時のDMATチーム派遣体制のある当病院ならではのシステムを生かし、長期化・広域化している災害に対してなにより地域に貢献できるシステムをつくり上げていきたいと考えています。

今後のビジョンと、読者へメッセージをお願いします。

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当院では、デジタル化を推進しています。セキュリティー面での強化や先進医療機器の導入も重要ですが、それだけでは患者さんの病気は治りません。がんや慢性疾患のある患者さんの治療には総合的なケアが必要です。また、今後の医療は病気を治したり、予防したりするだけでなく、健康をいかにつくっていくかが問われる時代になると思います。患者さんにとって良い医療環境をつくるため、私が心に掲げる言葉があります。「愛と誠と夢のある病院にしよう」。愛は思いやりの精神、誠は誠実な行い、夢はそれぞれがビジョンを持ってハートのある病院にしようということです。院内では月に1度、すべての医師が集まって医師集会を行っているほか、看護師やメディカルスタッフも含めた幹部講習も実施して、病院の方向性について議論を重ねています。いつでも身近な存在として感じていただけるよう、これからも努力を重ねていきたいと思います。

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池田 栄人 院長

1978年京都府立医科大学卒業後、研修医を経て、1980年から京都第一赤十字病院にて勤務。1992年救急部へ移動し、地域の急性期医療に尽力。2007年には副院長兼医療安全室長に就任し、2017年から現職となり、現在は京都第一赤十字病院一筋にマネジメント業に力を注ぐ。専門は消化器外科で、医学博士、日本救急医学会救急科専門医でもある。最近始めた趣味は、俳句とガーデニング。

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