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医療法人順和 長尾病院

(福岡県 福岡市城南区)

服部 文忠 病院長

最終更新日:2021/06/02

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内科とリハビリテーションが診療の2本柱

55年以上も前に開設された「長尾病院」は、ほどなくして心療内科からリハビリテーション医療を提供する病院へと大きく舵を切った。社会に広く認知される以前から言語療法を開始し、介護保険制度の導入に合わせて同院に介護老人保健施設を合築するなど、常に医療ニーズや時代の流れを捉えて成長を続けてきたという。服部文忠病院長が初代病院長である父から同院を継承したのは1990年のこと。「患者一人ひとりのライフステージに応じた最良の医療・福祉の提供」を理念に掲げ、自身の専門分野を生かしながら、地域に必要な内科診療と多様なリハビリテーションに対応していく病院をつくり上げた。着目すべきは、患者の健康と生活を退院後までサポートする充実の診療体制。特に脳卒中によって生じた障害に対して、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士などが一丸となり、専門的なアプローチを行えることが強みだ。服部病院長に、同院の歴史や特色、今後の展望などについて聞いた。(取材日2021年4月28日)

始めに、こちらの病院の歴史について伺います。

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当院は心療内科の病院として誕生しましたが、その歴史はリハビリテーション主体の病院へと生まれ変わった1968年から実質的に始まりました。初代病院長であり、かつて九州労災病院でリハビリに従事した医師でもある私の父が、当時は数少なかったリハビリ特化型の病院をめざして診療方針を転換しました。私が1990年に院長となってからは、時代とともに設備や人員体制も変えてきたつもりです。患者さんの利便性と職員の働きやすさを追求する上で、リニューアルは必然でしたね。看護体制も現在の一般的なスタイルに変更し、入院時に付き添い人をつけてもらう昔のやり方をやめ、看護師や介護職員を大幅に増員しました。また、介護保険制度の開始に早期に反応したことも特筆すべき出来事です。1998年には当院に老人保健施設、訪問看護ステーションを併設し、内科診療やリハビリに加えて介護保険サービスも幅広くカバーする病院へと成長していきました。

こちらで提供しているリハビリテーションは多種多様ですね。

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リハビリにおいては、脳卒中などで障害が生じた患者さんの在宅生活をフォローしたいという思いがあります。患者さんの大半はご高齢の方で、平均年齢も上昇しています。退院後も外来で内科治療を続ける方は多く、入院中に獲得した身体機能のパフォーマンスが低下する場合もありますので、さまざまな形で患者さんを生涯診る必要があるのです。そのため、入院中は日常生活に戻るための回復期リハビリに、退院後は回復期リハビリの効果を維持し生活の質を保つための生活期リハビリに注力しています。さらに、介護保険を利用される場合は通所リハビリや訪問リハビリによるサポートが可能です。リハビリのメニューも豊富で、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による基本動作訓練のほか、各種疾患・障害に応じた多様な訓練を実施しています。先進的な取り組みとして、リハビリ支援ロボットによる歩行訓練やゲーム感覚で楽しめる起立訓練を行っているのも特徴ですね。

その中でも同院が強みとするものは何でしょうか?

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失語症などの言語障害や高次脳機能障害に対応できる職員がそろっており、脳卒中の患者さんのリハビリを専門的に行えることです。当院の回復期リハビリ病棟では、約7割が脳卒中の患者さんです。脳卒中では片麻痺の障害が出るケースが多く、一般的には歩行や日常生活動作の訓練に重点が置かれがちです。しかし、1981年から言語療法を開始し、言語聴覚士による発生・構音訓練などに長年取り組んできた当院では、脳卒中に伴うさまざまな障害に対応可能です。言語聴覚士の活躍の場は多岐にわたり、摂食嚥下障害のリハビリを実施する際も、専門知識を持つ複数の言語聴覚士が副病院長とチームを組んで訓練にあたっています。嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査によって摂食嚥下機能を評価し、安全性に配慮しながら一人ひとりの能力に応じた形状の食べ物を提供する直接訓練などを行います。また、嚥下障害の程度に応じた嚥下食を作ってくれる栄養士の力も大きいですね。

内科診療における特徴も教えてください。

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脳卒中と腎臓病の患者さんを主に診療しているため、動脈硬化の危険因子である高血圧や糖尿病の治療も多数実施しています。腎臓内科では私が立ち上げた透析室を後輩医師が引き継ぎ、糖尿病などが原因の大勢の腎不全患者さんに人工透析を行っています。実は、私は当院で脳卒中やリハビリについて勉強する前に、腎臓を専門とする医師として九州大学や福岡赤十字病院に勤めていました。腎臓・脳卒中・リハビリという特定の分野に詳しくなれたことは私の武器だと思っています。それもあって、入院患者さんには透析患者さんを含む腎不全、糖尿病、心疾患などを併発する脳卒中患者さんの入院リハビリを円滑に行うことができていると思います。また、外来では慢性期脳卒中、高血圧、糖尿病、慢性腎不全などの診療をさまざまな検査を行いながら診療しています。

今後の展望を交えて、読者へのメッセージをお聞かせください。

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方向性は変えずに、これまで取り組んできたことをより広く展開したいですね。最近は、病気による障害を抱えながらも自宅で生活している方が増えています。当法人では訪問看護ステーション、訪問診療や訪問リハビリを実施して支えてきました。しかし、訪問数や対応力の面で至らない部分があると痛感しており、今後は地域の医療機関とも連携して診療を強化したいと考えています。外来診療においても、神経内科やチームで専門的な治療・生活指導を行う糖尿病内科など、各部門でレベルを上げたいと思っています。病院全体でめざすのは、一人ひとりのライフステージに応じた最良の医療・福祉の提供です。院内で何でも完結させるのではなく、時には専門性の高い病院に紹介しながら、患者さんを生涯診療させていただきます。

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服部 文忠 病院長

1974年九州大学医学部卒業後、同大学大学院第二内科入局。同大学病院や福岡赤十字病院の内科で腎臓疾患を中心に診療に携わる。1990年に父から長尾病院を継承し現職。新たに脳卒中や回復期・生活期リハビリテーションについて学ぶ。専門分野は腎臓内科、人工透析内科、リハビリテーション科、脳卒中治療、高次脳機能障害の治療など。日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医、日本透析医学会透析専門医。

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