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特定医療法人好文会 あねとす病院

(埼玉県 深谷市)

黒澤 永 院長

最終更新日:2024/02/06

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地域のニーズに合った高齢者医療を展開

門倉病院と門倉好文記念病院を統合し、2003年「あねとす病院」に名称を変更。以来、内科を中心に、地域の医療ニーズに応えている。地域包括ケア病床と療養型病床を有し、急性期治療後も医療を必要とする患者や、自宅や施設に戻れる程度の回復を目的とした患者を受け入れている。外来では内科を中心に、週に1度、整形外科や皮膚科、糖尿病の診療を実施。訪問診療にも精力的に取り組み、入院設備が整っているという病院の利点を生かして在宅療養と入院をスムーズにつなぎ、患者や家族の希望に合った医療を提供している。黒澤永(ひさし)院長は、もともとは消化器外科で肝胆膵領域の治療を専門に行っていたが、手術をしても治らないケースも多く、外科だけではすべてに対応しきれないことを痛感したという。深谷赤十字病院での緩和ケアの普及に中心的に関わった経験をもとに、同院でも緩和ケアに注力し、患者や家族に寄り添う医療を実践している。地域の高齢者が住み慣れた場所で最期まで安心して過ごせることをめざす同院の日々の取り組みについて、黒澤院長に聞いた。(取材日2023年11月1日)

病院の特徴や取り組みについて教えてください。

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当院は、ご高齢の方が住み慣れた地域で最期まで安心して過ごしていただくことをめざした病院です。埼玉県北部は高次医療機関が多くなく、離れた場所にある病院で長く入院しなければならないケースも少なくありません。そのような中、当院は地域包括ケア病床33床と療養型病床154床を有し、療養型病床では、急性期病院で治療を受けた後も自宅や施設に戻ることができず、医療行為を必要とする方を受け入れています。一方、地域包括ケア病床では、高次医療機関を退院し自宅や施設に帰れる程度に回復することを目的に入院されている方や、かかりつけにしてくださっている患者さんが肺炎や心不全で、入院の必要があるときにご利用いただいており、他の病院における急性期病床に近い性格を持っています。

外来や入院加療の体制はどのようになっていますか?

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外来では一般的な内科診療のほか、自宅で転んで骨折したから整形外科にかかりたい、皮膚疾患があって診てほしいという多様なニーズに応えるため、週に1度、整形外科や皮膚科、糖尿病の診療を行っています。また高齢の患者さんが多いことから、神経内科が専門の常勤の医師による認知症治療に特化した外来や、私の専門の一つである緩和ケアを専門に行う外来にも力を入れています。緩和ケアは、がんの末期に限定する病院も多いですが、当院では心不全や慢性の呼吸器不全の症状緩和にも対応しており、間口を広くして、病気の進行を止めるという目的でもリハビリテーションを行っています。当院の緩和ケアの特徴の一つとして私が感じているのが、スタッフが元気なこと。この明るい雰囲気で患者さんやご家族に元気を与えていければと思います。また、療養病棟では、ほぼすべての患者さんにリハビリを行い、寝たきりになることで起こる関節拘縮の防止に努めています。

訪問診療にも力を入れていると聞きました。

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前院長が訪問診療に熱心に取り組んでいたことを引き継ぎ、現在、専従の医師2人に加えて私も週に数回、患者さんの個人宅や高齢者施設に伺い、できるだけ長く家にいたいというニーズに応えつつ、在宅での生活が難しくなったら入院していただくようにしています。また、自宅で最後を迎えたいという意思表示を確認した上での看取りも行っているほか、看取り可能な高齢者施設でご本人やご家族の要望があった場合にも対応しています。病院の訪問診療の強みは入院設備があることです。自宅で療養していると気持ちが揺れ、心配になって入院したくなることがあると思います。無床診療所はそういったときに入院の手配にどうしても時間がかかってしまうもの。それに対して当院はなんらかの理由で入院を希望されるときは、当日に入院していただくことも可能です。レスパイト入院を定期的に利用されている方もいらっしゃいますので、お気軽にご相談ください。

院長として、また医師として大切にしていることはありますか?

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何かを決めなくてはならないとき、院長という立場で先に意見を言うと周囲の人は反対意見を言えなくなることがあるため、まずは他の人の意見を聞いてから、自分の意見を述べるように意識しています。いろいろな意見が飛び交うことで組織が活性化することをめざしていきたいですね。医師としても「自分で決めない」ことを心がけています。職員とのやりとり同様に、患者さんとご家族がどうしたいかが最優先で、私がこうしたいというのは二の次に。もちろん患者さんやご家族の希望の中には実現が不可能なこともありますが、その場合も「できない」と言うのではなく、できる限り希望に近い代わりの案をご提案するようにしています。特に緩和ケアの現場ではこうした柔軟な対応ができるかどうかが重要になってくると思います。

地域医療における展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

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近隣の在宅医療に取り組む開業医の皆さんと積極的に連携を取り、入院が必要なときには連絡をいただき患者さんを受け入れるという体制を築いていきたいと考えています。同時に、病院間の連携においても、急性期治療後の医療を必要とする患者さんを当院で受け入れることで、深谷赤十字病院などの急性期病院がより多くの救急医療や高度医療に対応できるようにしていければと思います。当院では、ご本人やご家族と話し合い、入院か、あるいは自宅や施設で療養するのがよいかを決めています。病院は連日点滴が必要な人やひどい床ずれができてしまっている人、がんの末期で痛み止めを使っている人などに入院していただき、体は動けなくなってきたけれど介助があれば自分で食事やトイレができる人、車いすに乗れる人は、認知機能の維持のためにも、体を動かせるリハビリ施設をお勧めしています。病態や希望に応じた環境を一緒に探していきましょう。

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黒澤 永 院長

1994年千葉大学医学部卒業。県西総合病院、千葉県救急医療センター、千葉県がんセンター、千葉大学医学部附属病院、東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)、深谷赤十字病院、千葉県済生会習志野病院、埼玉県立がんセンター、行田総合病院などで、外科、緩和ケア内科、麻酔科、集中治療科など多数の分野で研鑽。2023年より現職。専門は消化器外科の肝胆膵領域、緩和ケア。

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