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日本赤十字社 成田赤十字病院

(千葉県 成田市)

青墳 信之 病院長

最終更新日:2023/10/10

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人道の精神で、患者と家族とともに歩む

病院入り口を入ると、ピンク色のエプロンをつけた赤十字ボランティアが高齢者の手を引き、精算機へと導くのが見えた。傍らではもう1人のボランティアが、飽きてぐずる男の子と目線を合わせてあやしている。日本赤十字社の使命である「人道の実現」が、「成田赤十字病院」に深く根づいていることを感じさせる光景だ。2001年から同院に勤務し、2023年に病院長に就任した青墳信之先生は、「患者さんとご家族を支え、患者さんとともに歩む。ボランティアの存在に代表される私たちの在り方を、内外により浸透させることから取り組みたい」と抱負を語る。就任後は、「あおちゃんのつぶやき」と銘打ち、イントラネット上で自身の思いや病院としての注力ポイントを発信。先頭に立って広報活動をけん引している。成田空港にほど近い病院として独自の役割も果たす同院について、青墳病院長に聞いた。(取材日2023年5月26日)

70年以上にわたり、地域医療を支えてきた病院だそうですね。

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当院の始まりは戦時中の海軍病院です。戦後には成田山新勝寺の山門前の旅館を借りて医療を行い、1948年には日本医療団から日本赤十字社に移管。1952年に現在の場所に移り、以来75年にわたって地域の救急医療、急性期医療の充実に努めてきました。千葉県の赤十字病院であり、地域でも数少ない三次救急指定病院でもあることから、「断らない医療」を掲げて広く患者さんを受け入れてきました。循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科・脳神経内科、小児科、外科にはホットラインがあり、24時間365日、地域のかかりつけ医の先生方からの相談に応じています。入院が必要だが命に別状はない二次救急、軽い症状の一次でも、当院を信頼して受診してくださったからには断らずに受け入れるのが私たちの方針です。ウォークインで受診された方の中にも重い症状が潜んでいることはよくあり、隠れた重症患者さんを見つけるためにも必要なことだと思っています。

空港に近く、外国人患者さんも多いそうですね。

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そうですね。当院の立地上、以前から外国人患者さんを受け入れることが多かったため、2017年に国際診療部門を開設しました。国際診療部門は、外国人患者さんが安心して医療を受けられるよう、また医師やコメディカルの意図がしっかり伝わるよう、患者さんと医療者との橋渡し役を担います。新型コロナウイルス感染症の流行下でも、空港経由での感染拡大を食い止めるべく感染症対策に腐心する中、外国人患者さんの言葉の問題や保険の問題などにおいて非常に活躍してくれました。当院には、日本国内でも少ない特定感染症病床があり、海外からの感染症に即応できる体制を構築しています。5類に移行して世の中は平時を取り戻したようですが、病院としては変わらず、国際診療部門ともども全診療科をあげて感染症対策を継続してまいります。

センター機能も非常に豊富ですね。

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診療科ごとの専門性を高めるとともに、関わりの深い診療科が枠を超えて連携できる高機能な組織をめざして、センター化を進めてきました。現在は、地域周産期母子医療センターのほか、脳卒中センター、脊椎脊髄センター、アレルギー膠原病センター、千葉大学肺がん治療センター、造血細胞移植センターなどがあります。中でも脳卒中センターは、脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション科が参画する脳卒中ユニットで、専門の医師が24時間365日対応して断らない医療を実践。治療後は脳卒中専門病棟で急性期リハビリテーションを提供することができます。これ以外にも、糖尿病の合併症を1つの病棟で評価・予防・管理できるよう、コンプリケーション(合併症)部門を設置しました。糖尿病内科、腎臓内科、眼科、形成外科といった関連する診療科を集約して効率的な医療を行っています。

2023年4月から、地域がん診療連携拠点病院になったとか。

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がん治療において、当院はほぼすべての悪性腫瘍に対応してきました。手術、放射線治療、薬物療法の3本柱に加えて、腫瘍内科、血液腫瘍科もがん治療をけん引しています。2019年には、成人・小児が協力して血液のがんの移植治療に取り組むことを目的として、造血細胞移植センターも開設しました。頭頸部がんをはじめ、緊急入院や手術が必要な悪性腫瘍を中心に診断・治療する耳鼻咽喉科、婦人科腫瘍専門の医師が在籍して印旛山武地域のがん診療を率いる婦人腫瘍科、さらには乳房再建で乳腺外科に協力する形成外科など、どの科も非常に頑張ってくれているんですよ。侵襲が少ないため身体への負担が少なく、迅速な社会復帰が望める腹腔鏡手術や、ロボット手術にも早期から取り組んできました。これまでの各科、各センターの地道な努力が認められたと感じています。

ありがとうございました。最後に展望をお聞かせください。

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地域の救急ニーズに応えることは、「人道」の精神に基づく医療を実践する当院の使命です。一方で、医師の働き方改革が目前に迫る中、よりワークライフバランスを考慮した働き方への転換も迫られています。地域連携を強化し、急性期を過ぎた患者さんは地域にお戻しする紹介・逆紹介の流れを徹底して、働き方改革と患者さんのための医療を両立していきたいですね。医療の原点は「人」。成田赤十字病院の方針や姿勢に共感し、「この病院だからこそ働き続けたい」と心から思ってくれるスタッフを一人でも多く生み出すことが、当院の基本理念である「こころあたたかい医療」につながると考えます。医療の道を志した頃、誰もが胸に抱いていたはずのモチベーションの源泉を見失わないよう、病院としてサポートしていきたいですね。まずは、当院がどんな病院であるか、何をめざしているかの広報を強化し、当院の応援団を一人でも多く生み出していきたいと思います。

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青墳 信之 病院長

1984年千葉大学医学部卒業。同大学医学部附属病院第二内科に入局し、血液内科学を修める。1991年から3年間の留学で骨髄移植免疫を研究。千葉市立病院(現・千葉市立青葉病院)勤務を経て、2001年「成田赤十字病院」血液腫瘍科に入職。2023年4月より現職。専門は血液学、造血幹細胞移植。日本血液学会血液専門医。

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