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八王子保健生活協同組合 城山病院

(東京都 八王子市)

杉本 淳 院長

最終更新日:2020/11/25

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患者に合わせた、継続的、包括的な支援を

高尾駅より南へ約3キロ。緑豊かな場所にある八王子保健生活協同組合「城山病院」は、早くから地域医療に取り組んでいる療養型病院だ。訪問診療や介護など、患者を中心として連携が組まれ、スムーズな診療体勢ができ上がっているので、他の療養型病院に比べて入院期間が短いという。院長の杉本淳先生はリハビリテーション科を専門とし、大学卒業後2年目から非常勤として城山病院で治療を行い、地域医療に取り組んでいるベテラン医師だ。「地域医療では、何よりもまず、高齢者の生活を第一に考えることが重要」と話す杉本先生。できるだけ普段通りの生活ができるよう、リハビリテーションに力を入れていて、自宅に戻っても途切れることなくできるよう、サポート体制もでき上がっている。高齢者が住み慣れた地域で長く暮らすためにどのようなことを行っているのか、詳しく話を聞いた。(取材日2020年1月9日)

城山病院の歴史についてお教えください。

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最初は八王子の「柚木」という場所で開業したと聞いています。地域開発で1979年に現在の場所に移転し、同時に増床したそうです。当時の療養型病院は、現在の老人ホームのような感じでしたから、緑豊かな環境のいい場所を選んだのではないでしょうか。早くから訪問診療を行っていますが、当時は、今のように定期的に訪問する訪問診療が、まだ制度化されていませんでした。その頃働いていた先生が都内で訪問診療を始めたとき、新聞に大きく取り上げられたくらいですから。当院の訪問診療の患者さんは約100人で、ドクター全員がローテーションを組みながら、外来と訪問診療、病棟も診ています。2週間に1度行くので、年間で延べ2400〜2500件(2018年12月~2019年12月)を回っています。

訪問診療ではどのようなことを心がけていますか?

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患者さんの生活を一番大事にすることです。高齢者を多く診療している施設はどこもそうかもしれませんが、80歳や90歳の糖尿病の患者さんに、すごい食事制限をさせて生活の質が落ちてしまうなら、好きな物を食べるように促し、サポートしながら、できるだけ普段通りの生活ができるようにしています。大学病院の糖尿病の先生方が聞いたら、絶対にだめだと言われてしまうでしょうが(笑)。僕も大学病院にいたときは、患者さんにこちらの意思を理解してもらえなかったら診ないとか、別の医療機関に行きなさいというくらい厳しい考えを持っていました。でもここは、患者さんの生活に直結する地域医療ですから、何よりもまず、患者さんの生活を優先させることが第一だと考えています。今はいい薬も多く出ているので、医療や介護の力を借りて、最後まで患者さんを支えていけたらと思っています。

治療方針や診療の特徴についてお聞かせください。

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「高齢者医療」「リハビリテーション」「在宅医療」の3つに力を入れていることです。急性期の場合も、対応できる疾患でかかりつけの患者さんであれば、24時間受け入れる体制を整えています。また、回復期リハビリテーション病棟という、リハビリテーション専門の病棟があるのも大きな特徴ですね。入院してきた患者さんごとにリハビリテーションのプランを作り、動けるようになったら、在宅事業部が、訪問診療や介護、リハビリを継続していけるようコーディネートして自宅に帰します。物を噛んで飲み込む嚥下の訓練も行っていて、嚥下の検査と評価、訓練までできる施設は、八王子市でもほとんどないと思います。老人ホームにいる高齢者も、職員に連れられてよく外来に検査に来ていますし、老人ホームの嘱託医が検査を促すケースもあります。他には、脳卒中などでこわばってしまった手足の筋肉を柔らかくするために、ボツリヌス菌の注射も行っています。

リハビリテーションはやはり重要ですか?

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普段通りの生活を送ったり、老化や疾患による衰えをできるだけ緩やかにしたりするためにも、リハビリテーションはたいへん重要です。できるだけ早くから取りかかったほうがいいので、よほどの人以外は、翌日から訓練士がベッドサイドに行って、関節を動かしたり力を入れてもらったりなど、できることからどんどん始めていきます。中には、骨折して入院した人が、リハビリテーションのおかげで、骨折前より動けるようになったと喜んでいる人もいるくらいです(笑)。運動機能だけでなく、着替えや食事など、生活全般に関するリハビリテーションも行います。特に家族の負担が大きいのはトイレです。自分でトイレにいくことができれば、何とか家に帰れることが多いのですが、そうでないと自宅での介護は難しいという家族は少なくありません。ですから、リハビリテーションでも、トイレには特に力を入れていますね。

今後の展望や、患者さんのご家族にメッセージをお願いします。

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急性期からの受け入れができるよう、2017年秋から地域包括ケア病棟を作りました。人員や会計の問題などもありますが、一つずつクリアして早く実現させたいと思っています。介護されているご家族の皆さんには、共倒れにならないようにしてほしいので、元気なうちから、何でも相談できるかかりつけ医を持つようにしてください。高齢になるほどかかりつけ医の存在は重要で、かかりつけ医であれば、病気から介護のことまで何でも相談に乗ってくれ、最適な治療を選んでくれるはずです。他の医療施設からの紹介時も、かかりつけの先生を通してもらうと、患者さんのさまざまな情報がわかるのでスムーズな治療がしやすいのですが、大学病院などでさまざまな科を受診していて、そのうちの一つから紹介されたりすると、断片的な情報しか入ってこない場合もあります。ですから、自分自身のかかりつけ医を早く持つようにしてほしいと思っています。

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杉本 淳 院長

1989年東京慈恵会医科大学卒業。1990年より同大学病院に所属しながら、城山病院にて週に1回、非常勤として治療にあたる。東京慈恵会医科大学附属第三病院、アメリカ留学を経て、東京慈恵会医科大学講師、東京都リハビリテーション病院医長を歴任。2003年7月より城山病院常勤。2007年4月より同院院長に就任。専門はリハビリテーション科、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医でもある。

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