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医療法人社団明和会 西八王子病院

(東京都 八王子市)

三根 芳明 院長

最終更新日:2020/11/25

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チーム医療の入院治療で早期回復をめざす

ストレス社会といわれている現在、うつ病患者の増加は社会の問題の1つでもある。そんな現代社会のニーズに応える病院が、うつ病治療に特化したストレスケア病棟を有する「西八王子病院」だ。院長の三根芳明先生は長年にわたり精神療法に取り組んできた、精神科医療のスペシャリスト。「長い間治療をしていても回復が見られない場合は、思い切って入院することで、思いのほか良い結果が出るのです」と話し、経験と幅広い知識を生かし、患者に寄り添う治療の実践を心がける。気軽に通えるメンタルクリニックと、入院施設のある病院をうまく使い分けてほしいと語る三根院長に、入院治療のメリットなど、有益な話をじっくりと聞いた。
(取材日2016年2月18日)

先生が精神科の医師を志したきっかけを教えてください。

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父が精神科の医師でしたので、その影響はやはり大きいですね。学生時代は内科医になりたいと思った時期もありましたが、精神状況によって、体の調子はかなり左右されますし、基本はやはり精神だろうという思いが私の中にありましたので、精神科1本でここまできました。精神科の治療には、薬物療法と精神療法がありますが、特に力を入れてきたのは精神療法です。きっかけは、ある、障害がある10代の患者さんが描いた絵です。それは川の中に石がボンと置いてある絵だったのですが、その方の心の流れがせき止められていることが象徴的に表れており、非常に印象的でした。そこで芸術療法という分野に興味を持ち、自身の治療にも取り入れてきました。縁あってここの院長に就任する際、リニューアルの計画がありましたので、その治療を取り入れたストレスケア病棟を提案し、当院の大きな特徴としました。

ストレスケア病棟というのは、どういった病棟なのでしょうか。

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従来、精神科の入院病棟は統合失調症や慢性の方が中心でした。うつ病の治療は、ゆっくり休養して心を休めることも重要ですので、そういった方と同じ病棟では治療がなかなか進まないことも。そこで、うつ病の方でも安心して入院できる専門病棟を新設しました。広々とした空間で心と体を癒やしながら、専門家によるアートセラピー、アロマセラピー、カウンセリング、認知行動療法、運動療法など、うつ病に特化したプログラムを取り入れ早期の社会復帰を後押しします。また、他院への通院をできるだけ減らし、時間的にも精神的にもゆとりをもって治療に専念していただくための施設も充実。慢性的な身体疾患を抱えている方でも入院ができるよう、精神科と内科の両方を診ることができるリエゾン病棟は、精神科と内科の主治医がおり、万が一、合併症を起こした場合でも速やかに対応できるようにしています。ほか、人工透析が必要な患者さんのための透析室もあります。

日々の診療では、どういったことを心がけていますか。

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患者さんの心をきちんと受け止めて、話を聞く。そうして対話をしていく中で、その人の心のわだかまりや、ストレスなど、さまざまな心の様態に陥っている原因を解きほぐしていくことを大切にしています。薬が必要な場合もありますが、やはり精神科の医師というのは薬だけではなく、心の対話を通して治療していくことが大事です。その後、薬が必要であれば使いますし、治療法も患者さんに合わせたものを選んでいきます。外来ですと時間的な制限があり、患者さんとゆっくりお話しする時間が取れませんから、入院できる当院での治療は、メリットが大きいと考えます。合わせて、入院であれば心理士や看護師、ケースワーカー、作業療法士など、さまざまな専門スタッフのチームによるサポートを受けることも可能です。当院のように、入院治療でしっかり寄り添う病院と、気軽に通える近くのクリニックの両方を、うまく使い分けていただければと思いますね。

入院による治療のメリットを詳しく教えてください。

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意外に見過ごされやすいのですが、うつ病や双極性障害の治療には、生活リズムや生活習慣が重要なんです。入院すると、起床や食事、消灯時間、活動の時間などが決まっていますので、それだけでも改善が期待できる方が多いですね。メンタルクリニックに通っているのに、うつ病で会社や学校を長く休む人、半年、1年、2年と回復の傾向が見られない場合は、根本的な治療から見直していく必要がありますので、やはり思い切って入院すべきかと思います。難治性のうつ病で、お薬が半年以上効かない方でも、入院で改善に向かったケースもあります。入院することで日常の生活から改善し、多くのスタッフとチームで治療をしていくことで、回復に要する時間の短縮も期待できるんです。世の中には、たくさんのうつ病の方がいますが、入院で良くなる方もたくさんいます。病気に悩む方に「あなただけじゃないんですよ」とお伝えして、前を向くお手伝いができれば幸いです。

今後取り入れたい治療など、将来の展望をお聞かせください。

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ストレスケア病棟の一層の充実や、デイケア、訪問看護の拡充を考えています。治療を終えた患者さんは、退院後、日常生活が不規則になったり、ご家族と対立したりと、問題を抱えてしまっている方が少なくありません。ご家族の中に第三者が入ってさまざまなアドバイスを行う訪問看護は、そういった場合に良い方向に向かわせることができるかもしれません。また、患者さんが生活する地盤づくりとして、地域の方と協力して支援するグループ訪問などの分野も検討中です。精神的な悩みを抱える方は、会社や学校の都合で治療をためらわれることもあるでしょう。「医師とは話ができない」という方は、うつ病でよくなっていく患者さんを見たり、専門のスタッフに悩みを打ち明けることで、よいきっかけとなるころもあります。ぜひ、相談にいらしてください。

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三根 芳明 院長

1985年聖マリアンナ医科大学卒業。1998年より現職。精神科の医師であった父親の影響を受け、自然と医学の道を志す。長年にわたり精神療法に精通し、芸術療法の分野を取り入れた治療で患者をサポートする。趣味はクラシックや声楽などの音楽鑑賞。7年ほど前から自身もバイオリンを習い始め、週に数回の教室通いに励んでいる。

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