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肥大組織を除去し再発防止をめざす
前立腺肥大症のレーザー治療

武蔵野陽和会病院

(東京都 武蔵野市)

最終更新日:2023/06/27

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  • 保険診療
  • 前立腺がん
  • 前立腺肥大症

加齢により前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することで排尿障害を起こす前立腺肥大症。男性特有の病気で、症状には個人差があるが、夜中に何度もトイレに行きたくて目を覚ます、残尿感、外出先でも何度もトイレに行きたくなるなど生活に支障を来す場合があるほか、狭い骨盤の中で前立腺が大きくなることで、骨盤の周囲の血管で血流障害が起こることもあるという。泌尿器科を中心に地域密着の医療を行う「武蔵野陽和会病院」では、前立腺肥大症への薬物治療から内視鏡による治療まで幅広い治療を実施。特に地域では実施している医療機関が少ないという、低侵襲で再発の防止も期待できるレーザー治療を得意としている。そこで、同院の長倉和彦理事長と小原玲泌尿器科医長に前立腺肥大症の症状や治療について話を聞いた。(取材日2023年1月25日)

排尿障害の原因となる前立腺肥大症。肥大組織に対するレーザー治療は低侵襲で再発防止をめざせることが利点

Q前立腺肥大症とはどんな病気ですか。

A

前立腺肥大症について語る小原玲泌尿器科医長

【小原先生】前立腺は膀胱と尿道の間に位置し、精液の成分を作る男性特有の臓器です。尿道を取り囲むようにして位置しているため、前立腺に何かしらの病気ができると排尿障害の原因になります。前立腺肥大症は50代〜60代を過ぎた男性に起こりやすく、加齢に伴い前立腺が大きくなって、尿道が圧迫されることで通り道が狭くなり排尿障害が起こる病気で、主な自覚症状としては尿の出にくさや夜間頻尿、残尿感、切迫感、尿の勢いの低下が挙げられます。男性は年を取ると尿が出にくくなり、女性は漏れやすくなるといわれていますが、必ず全員に起こるわけではなく、治療の必要のない人もいればいろいろな方法での治療が必要な人とさまざまです。

Qどのような治療を行うのですか。

A

チーム医療で精度の高い治療をめざす

【小原先生】排尿のトラブルの原因を超音波検査や尿の勢いを見る尿流量検査などで客観的に判断した上で、前立腺肥大症であれば薬物治療を開始します。薬物治療では生理的に尿の通り道を広げることをめざしますが、それだけで不十分であれば、前立腺を内視鏡で切除したり、くり抜くように核出する手術治療が候補に上がります。 手術治療では長い間、電気メスで前立腺を削り取る方法が使われてきましたが、1990年代にレーザーを使った前立腺肥大の手術が始まり、より低侵襲で適切に切除できることから、やがて多くの医療機関で導入されるようになりました。当院でもホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)を積極的に行っています。

QHoLEPはどんな治療なのでしょう。

A

先進の治療法について語る長倉和彦理事長

【長倉理事長】HoLEPは従来の内視鏡で前立腺の肥大した部分を削って除くという作業を、内視鏡の先から出すレーザーで肥大した部分をみかんの実を一塊にしてくり抜くように取り除く手術方法です。出血も少なく低侵襲で、かつ悪いところをきれいに取り除ける方法で、私の経験上、最も洗練された術式だと感じています。
【小原先生】他の術式と比べて再発が起こりにくく、手術中に合併症を起こすリスクもほとんどないため、多くの患者さんに適用できる可能性が広がります。前立腺が大きくても術中の出血を少なく抑えることができるため、前立腺の体積に関わらず治療できるというメリットがあり、患者さんの体への負担も軽いのが特徴です。

QHoLEPのメリットは特にどんなところにあるとお考えですか。

A

再発の防止、根治をめざすことができるという

【長倉理事長】周囲の組織を傷つけず肥大組織だけを残さずくり抜くことができ、回復の早さや予後についても期待が持てます。また再発の少ないことがこの治療の大きなメリットです。骨盤という狭いスペースの中に、直腸、膀胱、前立腺がありますが、そこに前立腺が肥大して占領してしまうととても窮屈になり、骨盤の血流が停滞し他の臓器の機能障害が起こるなど、さまざまな症状を伴うこともあります。ですから、前立腺肥大の不要な部分をきちんとくり抜くことで、骨盤内のスペースに余裕が生まれ、勃起障害や血流障害による体の不調の改善にもつながると考えられます。

Q貴院の特徴や強みを教えてください。

A

それぞれの得意分野を生かし、多角的に泌尿器の治療に対応

【小原先生】HoLEPは、この地域ではまだまだ限られた施設でしか導入されていないため、当院ではそこに特化して積極的に治療を行っています。地域の泌尿器科の先生や内科の先生、武蔵野赤十字病院をはじめとする総合病院からのご紹介患者さんも多いのも特徴です。泌尿器科全体としては、どの術式も満遍なく行っており、特に長倉理事長が得意とする尿路結石に対するPNL(経皮的腎結石除去術)や、前立腺がん、腎がん、腎盂尿管がんに対する腹腔鏡手術、体外衝撃波尿路結石治療など、泌尿器内視鏡手術、低侵襲治療を中心に泌尿器科全般に対応しています。

患者さんへのメッセージ

長倉 和彦 理事長

1976年慶應義塾大学卒業後、同医学部泌尿器科学教室に入局。関連病院勤務、琉球大学医学部助手、防衛医科大学校講師などを経て武蔵野陽和会病院。泌尿器科医長を経て2001年より現職。慶應義塾大学医学部客員教授などを歴任。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。東京泌尿器科医会会長。医学博士。

小原 玲 泌尿器科医長

1999年島根大学医学部卒業。2014年より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

【長倉理事長】前立腺肥大症を内視鏡で削っていた時代は、切りすぎたり切り足りなかったり、ある程度輸血も必要で術後の管理も大変でしたが、手術器具の進歩に伴い治療も進化しました。HoLEPは誕生して20年弱ですが、当院では当初からこの手術を行ってきました。その経験を生かして今後も取り組んでいきたいです。
【小原先生】排尿障害を起こす原因は、前立腺肥大のほかに膀胱の働きの問題や前立腺がんの可能性もあるので、異常を感じたらまずは検査をして原因を確かめることが大切です。当院は地域密着の病院ですので紹介状がなくても受診ができます。気になることがあれば迷わずご相談ください。

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