全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年5月07日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 港区
  4. 赤羽橋駅
  5. 社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院
  6. 海老原 全 院長

社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院

(東京都 港区)

海老原 全 院長

最終更新日:2024/03/13

Main z55606 20240118 26Main z55606 20240118 26

地域とともに「新しい医療の形」を追求

健康であるために、あるいは健康を回復するために良質な医療を受けることは、すべての患者が平等に持つ権利の一つだ。貧困で苦しむ人に医療を提供すべく「済生勅語」に基づいて設立された「東京都済生会中央病院」は、医療の本質ともいえる設立の起源と、初代院長である北里柴三郎の「医者は国民にとっての命のつえとならねばならない」という言葉に込められた思いを脈々と受け継ぎ、地域のあらゆる人に開かれた医療を旨として歩み続けてきた。2020年4月に病院長に就任した海老原全(たもつ)先生は、就任時のコミットメントとして「3つの約束」を提唱。これまでの100年の先に、新たな100年の歴史を刻み始めている。(取材日2024年1月18日)

「済生の精神」に基づく、公平で平等な医療が一つの特徴ですね。

20191204 1

分け隔てなくあらゆる人々に医療・福祉の手を差し伸べる「済生の精神」は、私たちの根底に100年以上にわたって存在する思いです。生活困窮者を含めたすべての人が、本来受けられるはずの良質な医療につながる機会を持てるよう広く門戸を開いてきました。しかし現在では、院名の前につく「社会福祉法人恩賜財団」のためか、限られた人が受診する敷居の高い病院のように思っている方が少なくないようです。当院の成り立ちや思いを改めてお伝えし、体に関する悩みや心配事を気軽に相談できる存在であることを地域の皆さんに知っていただきたいですね。歴代の先生方が大切に守ってきた歴史を大切にしながら、社会から求められていることに応えられる病院としてさらに病院力を高め、新たな100年の歴史を築いていきたいと考えています。

先生が掲げた3つのコミットメントについてお聞かせください。

20200728 2

「治し支える医療」のために、「治しながら次のことを考えます」「あなたの『いいね』を大切にします」「地域の絆をより深めます」の3つを掲げました。1日でも早い患者さんの回復は、高度急性期医療に対応する病院として確実に達成すべきミッションです。365日、24時間体制で専門治療や緊急手術を行う3次救急病院として、ドクターカーとしても運用できる病院救急車を2台に増やしました。ただ、それだけでは地域に根差した病院として求められる医療を提供できているとはいえません。治療する前の段階から「治った後」を視野に入れ、福祉や介護、かかりつけの先生方としっかり連携を取りながら生活の場へとお戻しするまでが私たちの任務だと考えます。新型コロナウイルス感染症の流行によりストップしていた地域の医療機関との関係づくりにもう一度力を入れ、応需率の向上と退院支援の両方に力を入れていきたいですね。

医療の面で、注力されている領域について教えていただけますか。

20200728 3

高機能ホスピタルをめざす上で何が必要かを考え、内科系に加えて外科系とがん医療の充実を図ってきました。国産の内視鏡下手術支援ロボットを導入し、泌尿器科、婦人科などで積極的に活用しています。同時に進めているのが、診療科の枠を超えて専門の医師たちが連携するための部門化です。チーム医療により、複雑化・多様化した医療ニーズにより良い答えが返せると思っています。これまでに数多くの内視鏡治療を行ってきた内視鏡部門を筆頭に、脳血管外科が脳神経内科とともに取り組む脳卒中部門、呼吸器内科・呼吸器外科・放射線科・病理診断科・緩和ケア科の医師が先進の肺がん治療を実践する肺がん部門が特徴です。今後は血管系の各診療科についても、部門化を進めていきたいですね。がん治療については、がん診療統括部門を設け、患者さんの状態を総合的に判断して適切な治療につなげる体制も整えました。

がんの治療においては、どんな点が強みになりますか。

20200728 4

最大の強みは、切れ目のない全人的ながん診療を提供できることですね。先ほどお話ししたがん診療統括部門を軸として、医師、日本看護協会がん看護専門看護師、緩和ケアチーム、医療ソーシャルワーカーなどが一つのチームとなり、診断から治療、在宅復帰後の生活面まで一貫して支援しています。放射線治療の機器がグレードアップしてさらに精度が高まったほか、腫瘍内科のスタッフも増強し、すべての領域で手厚い医療を提供できるようになりました。また、一般的な病院では受け入れられない、心臓病や糖尿病等の合併症を抱えた患者さんに対応できることも当院の強みの1つです。専門性だけでなく機動力を兼ね備えた各診療科が強力にタッグを組み、院内外の医療機関とともに安心・安全な医療の提供をめざしています。

今後の展望や地域の人へのメッセージをお願いします。

5

新型コロナウイルス感染症の流行を経て、地域の皆さんのために何ができるか、何が求められているのかを改めて考えるようになりました。気軽に受診していただける取り組みとして開始した日帰り部門もその1つです。眼科、手の外科など、日帰りでできる手術をこの部門に集約し、仕事や家庭との兼ね合いで入院が難しい方を受け入れています。受診前後の利便性にも注目し、診察代のオンライン決済や処方箋情報の調剤薬局へのFAX送信などに対応したアプリ、視覚障害のある方を病院まで案内してくれる移動支援アプリなどを導入しました。今後は、「病気になる前から病気を考えられる場」としてさらに大きく扉を開き、地域の皆さんのための健康講座などを展開していく予定です。病院1階のカフェや衣料品店も、普段から気軽に利用していただきたいですね。

Main z55606 20240118 26

海老原 全 院長

1986年慶應義塾大学医学部卒業、同大学医学部皮膚科研修医。1988年清水市立清水総合病院皮膚科、1990年東京電力病院皮膚科を経て、1991年慶應義塾大学医学部皮膚科助手、1996年東京都済生会中央病院皮膚科医長、2005年慶応義塾大学医学部皮膚科専任講師、2010年同大学医学部皮膚科准教授、2017年同大学病院皮膚科部長、2020年4月より現職。医学博士。専門は皮膚全般、アトピー性皮膚炎など。

access.png