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医療法人社団青泉会 下北沢病院

(東京都 世田谷区)

菊池 守 病院長

最終更新日:2023/08/28

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昨今の患者からの需要に応えた「足の病院」

下北沢駅南口から5分。「下北沢病院」は、足の傷と糖尿病を専門的に診療する病院として2016年7月にリニューアルを経た。菊池守院長は「足から人生を支える」という大きな課題に取り組み、地域・社会の新たなニーズに応えようとしている。同院の特徴の一つは、多くの科、多くの職の医療者が協力しあうチーム医療を展開している点だ。「足の外来」に参加する医師が過去に主に診てきた診療科目は、形成外科、血管外科、循環器内科、糖尿病内科など非常に多様なのである。そこに理学療法士、薬剤師、管理栄養士など多くの職域のサポートを絡めて、足のトラブルに対応してゆく。菊池院長は形成外科医として多くの足の傷を治療してきた経験をふまえ、さらに整形外科的な知識を融合させることにより、足の傷の原因をつきとめ、問題の根本的な解決をめざしているという。穏やかな笑顔でわかりやすい話を展開する菊池院長に、病院のコンセプトや診療内容について聞かせてもらった。(取材日2016年8月8日)

下北沢病院は、「足の総合病院」に生まれ変わりました。

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これまでならば、傷は形成外科、足が冷たい時は整形外科や心臓血管外科、糖尿病は糖尿病内科、というように足の病気に関わる診療科目が1つにはまとまっていませんでした。しかし、アメリカには既に医学部、歯学部の他に「足学部」が独立してあり、医師、歯科医師と同じように「足病医師」が存在しています。足のトラブルを専門的に診療する、そうした動きを日本でも取り入れていけば、より良い医療を提供できるのではないかという考え方で、下北沢病院のリニューアルがなされたのです。形成外科、整形外科、血管外科、糖尿病内科、循環器内科の医師たちがチームを組み、足にまつわる医療を完結できる病院をめざしています。「足病総合病院」としての外来を行うため、各科の医師は足についての知識を共有し、科にとらわれることなく診療を進めてゆきます。より深い知識が必要な際には各分野の医師に治療を振り分けてゆくのです。

外科、内科、リハビリテーションと総合的な治療を行うのですね。

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診療中に次から次へとドクターがやって来る場合もあるので、驚かれる患者さんもいらっしゃいます(笑)。骨、筋肉の動き、姿勢、バランスなども重要なので、診察には必ず理学療法士が立ち会うのですよ。どんなストレッチが有効か、どんなリハビリテーションに取り組めば良いのかといった、医師とは異なる視点からの健康面でのアドバイスもお伝えします。当院は手術ができる外科病院なので、入院と手術をメインにしてはいるものの、手術に至らない運動機能や関節の硬さなどに至るまで、足の問題に対してはオールラウンドに診てゆきたいと考えています。血行再建、皮膚・陥入爪などのご相談にも応えます。従来の領域ではいくつもの病院や診療科目にまたがって受診せねばならなかったような諸症状を「足のことなら、すべてを一度に診てもらうことができる便利な場所」という長所を生かした治療を提供していければ、と思っているのです。

昨今の医療における、足の重要性についてお聞かせください。

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足の血管の狭窄や閉塞により、足の末梢からの壊疽や閉塞性動脈硬化症が起こると、これまでは切断せざるを得ませんでした。しかし、そのような症例が増えるにまかせていては国全体の医療費はかさむ一方ですよね。そもそも悪くなる前に予防ができないのか、という方向に議論がなされてきたのは、医療の成熟に伴う自然な流れだったと思います。そのような文脈から、糖尿病の重症化を予防するための月1回の看護師によるケアや、透析の重症化の予防も保険適用の範囲内になっていきました。足に関わる病気の重症化を防ぐべきだという議論の高まりの中で、これまでの整形外科の領域とはまた別の足の問題が注目されるようになっていったのだと捉えています。多くの専門領域を横断した医療が必要なだけでなく、患者さん自身やご家族の協力が欠かせないのが足にまつわる諸症状です。ご家族を含めた説明を丁寧にすることも、当院の大切な役割なのです。

貴院で行われている診療の一端を、お伝えいただけますか?

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形成外科の医師として、これまでは足の傷や痛みやしびれを診る機会が多かったのですが、足の傷は足が心臓から遠いため血行が悪くなりやすく、それが原因で治りが悪いことが問題でした。そこで専門の先生と協力して心臓のようにバイパス手術やカテーテルによって傷を治すことをテーマにしてきましたが、今、問題になっているのは歩行することですぐに傷が再発してしまうこと。これは当たり前なのですが、歩くということは傷を擦りつけているのと同じことです。そこで、整形外科の先生、義肢装具士とともにインソールや靴、手術までを治療の選択肢に入れ、足趾の変形や骨の突出などの変形がある足そのものを歩行のストレスから守り、治すことをめざし積極的に取り組んでいます。どうして傷が治りにくいかという問題から変形を治すことで足の傷を治すという発想が生まれ、傷の再発を防止するための専門治療に取り組んでいます。

患者へのメッセージと、今後の展望をお聞かせください。

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足の痛みにお困りになったら、ぜひ、ご相談ください。痛み、しびれ、糖尿病、腎臓病、合併症など、足で困っていることは何でも診るのが当院の役割ですので。最近多いご相談には、高齢になって運動を始め、痛みが出てくるというものがあります。健康になるための運動をやめてはもったいないですから、きめ細かくカバーしていくわけですね。当院のテーマは「足から人生を支える」です。健康のために足を守り、足を守ることで健康になっていく。全身の健康のために足を大事にするといった考えを、多くの方に持っていただけたらうれしいのです。私は留学中、アメリカの足病学に大きなインスピレーションを得ましたが、今度はアメリカとはまた状況が異なる日本人の足のための学問をつくらねばなりません。足を臓器として見る学問は日本にはまだないので、それをしっかりと築き、成果を患者さんに還元していくことが今後の目標ですね。

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菊池 守 病院長

2000年、大阪大学医学部卒業。国内の医療機関に勤務した後、米国ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学し、足病学に出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授を経て、同院の院長に。日本形成外科学会認定・形成外科専門医。形成外科で手術を手がける中で、なぜこの分野には診断学がないかと疑問を抱く。米国で足病医師と出会い、傷だけでなく原因を治してゆく診断を基にした治療に関心を抱いたという。

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