泉大津急性期メディカルセンター
(大阪府 泉大津市)
竹内 一浩 院長
最終更新日:2025/02/28


愛のある先進的な急性期医療で地域を支える
「泉大津急性期メディカルセンター」は、2024年12月に泉州北部地域の急性期医療を担う病院として誕生した。地域医療構想に基づいた泉大津市立病院と社会医療法人生長会府中病院の再編・統合により新設された300床の病院で、両病院が従来持っていた急性期機能を集約させ、よりレベルの高い急性期医療の提供をめざしている。手術支援ロボット、ハイブリッド手術室など、充実した設備と機能を持つ手術部門を備え、放射線治療部門にはロボット誘導型定位放射線治療機器を導入。先進的で患者の負担ができるだけ少ない低侵襲医療を実践している。さらに、地域の救急要請にしっかり応えられる体制を整えるとともに、南海トラフ地震発生時に大きな被害が予想される地域の病院として、災害医療の充実にも力を注いでいる。生長会の理念である「愛の医療と福祉の実現」「地域と職員と共に栄えるチーム」を実践し、「卓越的、模範的、先駆的な地域のリーディングホスピタルをめざしたい」という院長の竹内一浩先生に、病院の再編・統合の狙いや地域医療における役割、注力している診療など、さまざまな視点から新しい病院について語ってもらった。(取材日2025年1月20日)
今回の再編成や病院の役割について教えてください。

泉州北部地域には、大学病院のような大規模な病院がなく、中小の病院が連携して地域医療を支えています。その中で泉大津市立病院と府中病院はいずれも長くこの地域の急性期医療を担ってきました。しかし、人口減少や高齢化など医療ニーズの変化に対応するために地域にとって最適な医療を考える地域医療構想が進められ、今回、2病院の再編統合が行われました。2つの病院が機能分化して3つの病院に再編成され、高度急性期を担う泉大津急性期メディカルセンターが新設、泉大津市立病院は周産期・小児医療に特化して泉大津市立周産期小児医療センターに再編、府中病院は同名のまま回復期を担う病院に再編されました。
どのような診療に注力していますか?

急性期医療の大きな柱の一つは救急医療です。当院では、24時間365日対応の救急体制を確立し、特に脳・心血管治療を強化しています。血管内治療センターとして血管造影室を3室設け、手術センターには緊急手術にも対応できるようハイブリッド手術室を含め、手術室を8室設けました。これらを同じフロアにまとめ、双方のスタッフが行き来できる環境を整えることで、診療科間の連携を強化するとともに、より効率良く診療を進めることができます。新たに心臓血管外科を新設し、循環器内科と連携して今まで以上に心血管疾患に対応できるようになりました。ICU(集中治療室)、HCU(高度治療室)、SCU(脳卒中集中治療室)も充実させ、質の高い医療の提供が可能です。こうした高度な医療ニーズに対して、各職種が専門性を高め、より高い水準のチーム医療を提供すべく、専門的な資格の取得推進、特定行為に係る看護師の育成などにも力を入れています。
がん診療にも積極的に取り組んでおられますね。

がんの治療は「手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療」が3本柱となっており、この3つを組み合わせてそれぞれの患者さんに適した治療を行います。当院では、手術については外科、泌尿器科、婦人科で腹腔鏡手術やロボット支援下手術を積極的に導入しています。また、放射線治療においては、ロボット誘導型定位放射線治療機器を導入しました。従来の機器では、病巣の周囲にも放射線の影響が及ぶリスクがありましたが、これを使うと病巣部分へのピンポイントで大線量の照射が可能で、治療精度の向上や治療期間の短縮につながります。これらの先進の医療技術を駆使して、より効果が期待でき、できるだけ負担の少ない低侵襲がん医療の提供をめざします。
災害医療にも積極的に取り組むと伺いました。

災害医療については、公立病院としてより大きな役割を求められるので、充実に努めているところです。建物や設備は大きな災害にも耐えられるような設計になっており、ライフラインも確保しています。この地域は南海トラフ地震で甚大な被害が想定されており、事業継続計画(BCP)に基づいたより実践的な訓練を計画しているところです。被災時に迅速で的確な医療を展開できるように、行政とも連携しながら、体制整備に取り組んでいきたいと考えています。
地域の方々や医療機関へのメッセージをお願いします。

これまで地域医療構想を進める中で、この地域に必要な病床数や医療機関の役割が、ある程度明確になってきました。次は、わが国の高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、できあがった枠組みを地域のために具体的にどう動かしていくかを考える必要があります。それには、それぞれの医療機関が今まで以上に連携を深め、一体となって地域に最適な医療を提供することが求められます。やはり連携の要になるのは高度で専門的な医療を担う急性期病院であり、当院も中心的存在としてその役割を担っていきたいと考えています。当院は「愛の医療で、人に、地域に、安心を」をキーメッセージとしています。地域の方々に信頼と安心のよりどころとしていただけるような病院づくりに邁進することで、泉大津市が活性化するような街づくりにも貢献できればと思っています。

竹内 一浩 院長
1988年大阪市立大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院第一外科入職。兵庫医科大学病院救命救急センター、馬場記念病院外科を経て、2005年府中病院外科部長に着任。消化器外科、肝臓・胆道・膵臓外科を中心に執刀。初期臨床研修に携わり若手医師の教育にも注力。2011年府中病院副院長に就任、2015年より病院長を務めた後、2024年12月より現職。健康のためジムでのトレーニング、ジョギングなどで汗を流す。