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社会福祉法人 日本肢体不自由児協会 心身障害児総合医療療育センター

(東京都 板橋区)

小崎 慶介 所長

最終更新日:2025/09/04

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医療と療育の両面で障害のある子どもを支援

国の委託を受け、社会福祉法人日本肢体不自由児協会が運営する「心身障害児総合医療療育センター」。さまざまな障害の早期診断と治療、療育を行う外来療養部門と研修・研究部門、医療型障害児入所施設・療養介護施設の「整肢療護園」「むらさき愛育園」の4部門を1980年に統合し、心身に障害のある小児を対象に、医療やリハビリテーション、長期・短期入所による生活支援など、医療と福祉サービスを複合的に提供している。2015年から同センターに勤務し、2019年に所長に就任した小崎慶介先生は、小児整形外科の専門家。一般病院では診療が難しい小児整形外科疾患にも対応し、日常生活指導や装具の使用といった保存的治療から手術、リハビリテーション、療育に至るまで、一貫した総合的な支援を行っている。「医療センターと聞くと急性期医療をすべて担うような印象を持たれるかもしれませんが、当センターでは生活に着目し、利用者の皆さまを支える“療育”にも重きを置いています」と話す小崎所長。医療にとどまらず、地域の子育てのセーフティーネットとしての役割も担う同センターの取り組みについて語ってもらった。(取材日2025年7月7日)

病院の成り立ちと特徴を教えてください。

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当センターは、社会福祉法人日本肢体不自由児協会が国の土地・建物を使用して運営している総合的な医療療育相談機関です。1942年に肢体不自由児施設として開設された「整肢療護園」を母体に発展し、1967年に重症心身障害児施設「むらさき愛育園」を開設、1980年には外来療育部門と研修・研究部門を加えた4部門を統合して「心身障害児総合医療療育センター」となりました。心身に障害のある、主にお子さんを対象に、医療やリハビリテーション、長期・短期入所による生活支援など、医療と福祉のサービスを複合的に提供しています。医療センターというと急性期医療を想像されるかもしれませんが、「わたしたちはご利用の方々が健康で明るい生活が送れるように全力を尽くします」という理念のもと、日々の生活に寄り添う支援を大切に、利用者さんとご家族が前向きに暮らせるようチームで支援しています。

どのような方が利用されているのでしょうか?

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外来では、脳性まひや二分脊椎など神経の障害や骨関節の病気によって手足の動きに不自由があるお子さんのほか、近年では発達障害のあるお子さんが全体の3分の2ほどを占めています。診療科は整形外科、小児科、小児精神科、歯科を設けており、大学病院から専門の先生に来ていただいて小児外科や泌尿器科、皮膚科、耳鼻咽喉科、産婦人科にも対応。障害のあるお子さんは、一般の医療機関での診察が難しい場合もありますので、まず当センターで診察し、さらに専門的な治療が必要な場合には当センターの医師を通して適切な医療機関と連携して診療するかたちを取ることが多いです。ほとんどが大学病院やクリニックといった医療機関や、学校など地域の教育機関からの紹介患者さんですが、ホームページをご覧になった方や保護者同士のクチコミで知って来られるケースもあります。紹介状があるとよりスムーズですが、紹介状なしでのご相談にも対応いたします。

リハビリテーションへのニーズが高いそうですね。

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はい。専門的なリハビリテーションを希望される方や、地域の療育施設では対応が難しい車いすや体を支える大きな装具の作製に関するご相談も多いです。また、地元でリハビリテーションを受けている方が、手術や入院を伴う集中的なリハビリテーションが必要と判断された場合にご紹介いただくケースもあります。当センターでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が連携し、必要に応じて複数の専門職が同時に関わるなど、個々の状態に合わせたリハビリテーションを実施しています。義手の訓練、タブレット端末を利用した学習支援、視線入力による意思表示支援など、多様なニーズに対応しているのが特徴です。また、就学前の重度障害のあるお子さんとご家族を対象に、約8週間、親子で滞在していただく「親子入園」にも取り組み、家庭でのお世話の仕方、リハビリテーションの工夫、医療的ケアの方法について多職種が実践的なアドバイスや支援を行っています。

地域連携についても教えてください。

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地域でのつながりということでは、地域の特別支援学校や保育園などにアドバイスを行い、障害のあるお子さんが日常生活をスムーズに送れるよう支援しています。さらに、年1回「オータムフェスティバル」を開催しています。フランクフルトソーセージやアイスクリームなどの出店やゲーム、トロンボーンの演奏などアトラクションがあり、利用者さんやそのご家族はもちろん、近隣にお住まいの方々にも来場していただいています。安全管理の観点からある程度の制限も必要ですが、できるだけ地域に開かれた活動も行っていければと思っています。

最後に、今後の展望と地域住民へのメッセージをお願いします。

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少子化で利用者は減少傾向にありますが、その分一人ひとり丁寧に関わる支援をめざしています。また、当センターは主にお子さんを対象としているため、18歳以降は成人を対象とする医療機関への移行を念頭に置いていますが、一般の医療機関での受診が難しい方も少なくありません。そのため、今後は成人の診療に対応する医師の配置も検討する考えです。さらに近々診療システムの更新を予定しており、DXを進めて診療データを教育や研究にも活用できる仕組みづくりに着手できればと思っています。入職して10年になりますが、以前よりお子さん一人ひとりの障害が重くなっていると感じます。さまざまな事情で家庭での生活が難しい場合には、短期・長期入所を通じ自宅に代わる環境を提供することも可能です。医療・リハビリテーションにとどまらず、地域の子育てのセーフティーネットとしての役割を果たしていきたいと考えています。お困りの際はご相談ください。

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小崎 慶介 所長

1986年東京大学卒業後、同大学整形外科学教室に入局。1998年同大学医学部附属病院助手。2000~2003年、米国国立衛生研究所に留学。2003年東京都立北療育医療センター整形外科医長、2009年同センター整形外科部長。2015年に心身障害児総合医療療育センターに着任し、2019年より現職。日本整形外科学会整形外科専門医、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。

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