東京Dタワーホスピタル
(東京都 江東区)
長谷川 光広 院長
最終更新日:2024/11/27
専門性を生かして患者第一の医療をめざす
人口増が続く江東区豊洲に2022年に開院した「東京Dタワーホスピタル」。メディカルフロントにはコンシェルジュが常駐し、来院する人をきめ細かくサポートしている。診療科は脳神経外科、循環器内科、心臓血管外科を中心とし、長谷川光広院長は「どの分野も確かな知見と豊富な経験を持つ医師がそろい、充実した医療機器を生かして専門性の高い急性期医療が実践しやすい環境です」と話す。「例えば脳神経外科では、脳の深部に発生するため摘出が困難な頭蓋底腫瘍を顕微鏡や内視鏡を用いて治療することが可能です。脳や心臓の血管に対するカテーテル治療を得意とする医師が、脳神経外科および循環器内科それぞれに在籍しています」。患者一人ひとりが自分の治療に専念できるよう病室はすべて個室を用意。フレンチレストランがメニューを監修した食事を提供するなど、患者が入院中も生活を楽しめるよう配慮されている。今後は地域の医療機関との連携も強め、「より多くの患者さんが身近な場所で専門的な治療が受けられるようにしたい」と語る長谷川院長に、同院の特徴や今後の展望などを聞いた。(取材日2024年8月28日)
この病院を開設された狙いや特徴をお聞かせください。
当院は脳神経外科、循環器内科、心臓血管外科を中心とし、専門性の高い急性期医療を担う病院として2022年末に開設しました。江東区豊洲は人口増が続く一方、入院可能な医療施設が十分ではなく、近隣のクリニックの先生方と密接に連携することで地域の皆さんに安心できる医療環境を提供したいと考えています。また、当院に在籍する医師の確かな知見や豊富な経験から、首都圏全域、東海、北陸、九州からご紹介いただく患者さんも少なくありません。診療面での特徴は、脳卒中や心筋梗塞などに対する血管内治療および外科的治療のほか、頭蓋底腫瘍の手術、三叉神経痛・顔面けいれんの減圧術、不整脈のカテーテル治療などを得意とし、低侵襲な治療を心がけています。32床と小回りの利く規模で、3床のICU、320列CT、3テスラMRI、ナビゲーション手術も可能なハイブリッド手術室など、難易度の高い症例の手術に対応できる先進の設備を備えています。
待合室や病室はとても落ち着いた感じですね。
当院に来られた方は医療機器など充実した設備に加え、病院らしくない落ち着いた雰囲気の院内、過ごしやすそうな病室に驚かれることが多いですね。設備ではCTやMRIは高性能な機種をそろえ、高いスキルを持つ診療放射線技師による操作で、鮮明で適切な画像が得られるよう努めています。また、ほとんどの症例でナビゲーション支援システムを手術の計画や実施の際に用い、手術の精度向上を図っています。待合室近くの受付にいるコンシェルジュ役のスタッフが患者さんの外来受診や健診などをきめ細かくサポートするほか、病室は全室とも快適性に配慮した個室をご用意しました。さらに食事はフレンチレストランが監修し、管理栄養士が栄養面などを考慮したメニューで、なるべく出来たてが提供できるようスタッフが尽力しています。単に栄養を取るだけでなく、食事そのものを楽しんで治療や退院に向けたモチベーションの一つにしていただければと思います。
脳神経外科ではどんな症例を診ているのですか?
脳の深部に発生する頭蓋底腫瘍の顕微鏡手術、三叉神経痛・顔面けいれんに対する微小血管減圧術、小さな切開のみで行う神経内視鏡下での手術、カテーテルを用いた脳卒中や動脈瘤の血管内治療など、各分野に専門の医師が在籍し、ご紹介いただいた難症例の治療も積極的に行っています。頭蓋底腫瘍では最小限の開頭を心がける顕微鏡手術と経鼻での内視鏡手術を組み合わせ、より低侵襲な手術をめざす治療が可能です。微小血管減圧術は三叉神経痛や顔面けいれんの原因とされる血管からの神経への圧迫を解除する手法で、私と企業が共同開発し保険適用となった医療材料を用いるほか、適用があれば内視鏡による治療にも対応できます。脳の血管内治療は現在は救急を受けていないため、動脈瘤などの破裂防止や脳梗塞の予防手術が中心です。このほか一般的な認知症と、治療可能な認知症といわれる正常圧水頭症の鑑別診断が可能で、必要に応じて手術にも対応しています。
循環器内科と心臓血管外科の特徴をお聞かせください。
心臓の病気に対して内科と外科がチームとなり、幅広い選択肢から患者さんに適した治療法を提供できる診療体制です。両科ともベテランの医師が在籍し、専門性を要する難症例にも対応可能な点も強みです。さらにCTやMRIの当日検査も可能なことが多く、なるべく初診日である程度の診断をつけ、通院や治療の期間を短くできるように配慮しています。循環器内科は狭心症、心筋梗塞、心不全などのカテーテル治療を行い、不整脈の原因となる部分を焼灼するカテーテルアブレーションにも対応します。また、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めるとされる睡眠時無呼吸症候群は当院に入院して精密検査を受けられます。脳や心臓への影響を十分に調べ、必要なら症状の改善を図ることで、ほかの病気を防げる可能性が高まります。心臓血管外科では狭心症や心臓弁膜症の外科手術のほか、大動脈瘤や末梢血管の疾患にはステントグラフトによる血管内治療も行っています。
地域の医療機関や住民の方にメッセージをお願いします。
この地域の先生方やお住まいの皆さんにとって、2022年開院の当院はまだなじみが薄い病院かもしれません。ただ、最近は近隣の先生方を訪問して当院の治療実績をお伝えしていくことで、患者さんをご紹介いたただく機会も増えてきました。今後もこうした地域連携を強めたいと考えています。当院では脳神経外科、循環器内科、心臓血管外科の各分野で研鑽を積んだ医師と、充実した医療機器により専門性の高い治療を追求しています。これらの分野を中心に地域に必要な急性期医療の提供に努めますので、どうぞご利用ください。紹介当日でも受け入れが可能なよう迅速に対応し、夕刻のご紹介でも翌日までお待たせすることはまずありません。また、当院は事前予約制ですが、紹介状をお持ちでない患者さんも当院ホームページから予約可能です。紹介される先生方も受診された患者さんも、満足いただける医療をめざす当院に安心して来院いただければと思います。
長谷川 光広 院長
1983年金沢大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科在学中、米国ニューヨーク大学医学部で基礎研究に従事。1989年大学院修了。医学博士。米国アレゲニー総合病院頭蓋底研究所研究員、金沢大学大学院助教授、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部教授を経て、2022年から現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。