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学校法人藤田学園 藤田医科大学 七栗記念病院

(三重県 津市)

大高 洋平 病院長

最終更新日:2024/05/28

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リハビリテーションと緩和ケアで地域に貢献

久居ICから車で15分程度、豊かな自然が広がるのどかな郊外の一角に「藤田医科大学 七栗記念病院」はある。1987年開設の藤田保健衛生大学七栗サナトリウムを前身とする同院は、学生教育や臨床・研究といった大学病院の役割を果たすとともに、柔軟な姿勢で時代が求める医療的ニーズに応えている。そんな同院の診療の軸となるのが、2000年より積極的に取り組む回復期を中心にしたリハビリと緩和ケアだ。医師、理学療法士、看護師、介護福祉士、管理栄養士など多種多様な専門家チームがリハビリ、あるいはがん患者の緩和ケアに従事し、先進的な取り組みにも果敢に挑戦してきた。さらには訪問看護・リハビリ・介護にも力を注ぎ、病気や障害のある地域で暮らす患者とその家族を支えており、地域住民向けの医療情報の啓発・発信活動にも余念がない。2024年2月に病院長へ就任した大高洋平先生は「長年勤める職員が築き上げてきた環境は当院の誇り」と語る。周辺地域のみならず、日本全体でリハビリ・緩和ケア医療をリードするという意気込みで日々診療にあたる同院の特徴や、医療の進歩にかける思いを聞いた。(取材日2024年4月26日)

病院の歴史と特徴をお聞かせください。

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当院は藤田保健衛生大学七栗サナトリウムを前身とする大学病院で、介護保険制度が始まった2000年にリハビリテーション棟を増築し、この頃から大学病院の役割の一つである専門的な臨床・研究の追求にかじを切りました。日本、さらには世界の回復期リハビリテーションと緩和ケアの進歩をリードするべく、各種専門職が協力して独自の取り組みを展開し、地域との連携も密に取りながら現在、そして未来に求められる医療の提供に励んでおります。当院が位置するのは緑が多く温泉が湧き出る丘陵地で、サナトリウム開業当初はドイツの温泉保養地バーデン・バーデンを模した構想が持たれていたといわれています。当院の浴室には温泉水を引いているので、患者さんにも温泉を楽しんでもらえたらと思います。心身をゆったりと休めることができるのどかな雰囲気の中で、国内でも先進的といえるリハビリや緩和ケアを提供しているというのは、当院の大きな特徴でしょう。

回復期リハビリや緩和ケアの特徴を教えてください。

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2000年から訓練室と病棟が情報を共有し、週7日フルタイムでリハビリ・活動的な生活を行い、短期間でリハビリの効果を狙う「FIT program」を実践しています。当初は全国的にも珍しい取り組みだったと思います。しかし20年以上が経過し、今では早い段階から毎日リハビリを行うことは回復期リハビリのスタンダードな考え方ともされています。当院の取り組みが、日本のリハビリ医療の在り方にも影響を与えたのではないかと考えています。緩和ケアに関しては、緩和ケア病棟での疼痛管理や栄養管理に加え、一般病棟でも緩和ケアを取り入れ、病気の不快感の軽減をめざす「ハイブリッド緩和ケア」を実践しているのが特徴です。緩和ケアと聞くと治療を終えた終末期に行うものと想像する人もいるでしょうが、当院では緩和ケアの早期介入により治療の心理・身体的負担を和らげることが期待でき、QOL(生活の質)の維持をめざせると考えています。

技術革新のための研究にも注力されているそうですね。

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自動車メーカーと産学共同でリハビリロボットの研究・開発に取り組むなど、大学全体で技術革新に力を注いでいます。最近もリハビリ計画や進捗状況、成果を記録できるシステムを共同開発しました。科学的な分析などを通して、「リハビリの標準化」をめざします。当院がこれまでも、そしてこれからも新しいことに挑戦できるのは、支える“人”がいてくれるからだと思います。私は病院長に就任してまだ間もないですが、看護師などにお礼を伝える患者さんやご家族の姿をたくさん目にしてきました。人がつくる環境は何物にも代えがたく、当院の誇りです。当院の強みである全科型NST(栄養サポートチーム)も、医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などが「患者さんが笑顔でいられる」ことを真摯に考え、協力して行動してきたから成し得たものだと考えています。

医療の充実に向けて、地域とも積極的に手を取り合っているとか。

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2021年に津市と包括協定を結び、市民公開講座や健康チェック、医療や介護の悩みに当院の医師や薬剤師、理学療法士がオンラインを介して応える「どこでもまちかど保健室」を展開するなど、医療の枠に閉じこもらず地域に根差す取り組みを行っているのも、当院の特徴です。最近では、地域の施設やクリニックと共同して地域活性化にもつながる新たな取り組みを企画しています。当院ではMRIなどの検査機器を取りそろえておりますが、急性期病院と比べると稼働状況には少しばかり余裕があり、病気の早期発見に加えて地域の活性化にも役立てていけるのではないかと思案しているところです。当院も地域を盛り上げる一員として力を注いでいきたいと思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

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今後も地域と一体となって外来・入院・訪問サービスの充実を図るとともに、リハビリや緩和ケア、栄養管理などの成果を検証し、モデルを築いていきたいと考えています。当院が位置する地域は、都市部のように専門病院が充実しているわけではなく、遠方からわざわざお越しになる患者さんも少なくありません。リハビリや緩和ケアを求める患者さんやご家族にとって、当院は暗闇に輝く星のような存在なのでしょう。人口減少が進む今、そんな輝きを求める地域は増えていくかもしれません。地域に根差しながら医療のさらなる進化をめざす当院の果たすべき役割は大きいと感じます。今を生きるすべての人は、誰もが死に向かって進んでいます。だからこそ、明るく前を向くことは、とても大事だと思うんです。病気を抱えても、最後まで前を向いて生活できる。そんな未来を照らす希望の一つとなれるよう、今後も励んでまいります。

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大高 洋平 病院長

1997年慶應義塾大学医学部卒業。関連施設勤務を経て2011年慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室助教、医局長を務める。2017年藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)リハビリテーション医学I講座臨床准教授に就任し、その後准教授に。2019年以降は同講座主任教授および同大学ロボティックスマートホーム・活動支援機器センター長を務めるとともに、2024年2月より現職に就任。

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