医療法人徳洲会 湘南大磯病院
(神奈川県 中郡大磯町)
権藤 学司 院長
最終更新日:2024/12/26


高機能な地域密着型病院の実現をめざす
大磯町の木々の緑に囲まれ、海も見渡せる風光明媚な丘の上にあるのが、「湘南大磯病院」だ。約40年にわたって、地域の人々とともに歩んできた東海大学医学部付属大磯病院を引き継ぎ、2023年3月に開院した同院。徳洲会グループの一院として、断らない救急に努めているほか、幅広い診療科をカバーし大学病院に劣らない高度な医療とかかりつけの機能を備えることで、地域の医療ニーズに応えることをめざしている。そんな同院の院長を2024年4月から務め、「とにかく地域の人のためになって、愛される病院になることをめざしています」と話す権藤学司先生に、診療内容や地域医療にかける思いなどを聞いた。(取材日2024年11月22日)
最初に病院を紹介していただけますか?

当院は、1984年に開設された東海大学医学部付属大磯病院を徳洲会が引き継ぎ、2023年3月に開院しました。東海大学の時を含めると約40年の歴史がある病院で、長年地域医療に貢献してきました。それが、諸般の事情で閉院してしまうことになり、やはり地域にはなくてはならない病院だということで徳洲会が引き継いだのです。当院は、大磯駅と二宮駅の中間にあり、中郡の基幹病院として、東海大学医学部付属大磯病院の頃から地域の住民の皆さまと歩んできました。現在も東海大学の医師が多く残ってくれていますので、大学の付属病院として質の高い医療を追究してきた歴史を尊重しながら、徳洲会の理念「生命だけは平等だ」「生命を安心して預けられる病院」「健康と生活を守る病院」を実現させること、そして、当院が地域の皆さまに愛され、信頼され続ける病院となることをめざしています。私は今年の4月から2代目院長を務めています。
特徴はどのようなところでしょうか?

中規模の病院であることが強みではないかと思います。例えば、外来患者さんで脳梗塞が心配だからMRIを撮りたいとなったら、仮に予約がいっぱいでもなんとか入れてくれてその日のうちに検査が行うことも可能です。大学病院や大きな病院では1〜2週間先になることもあるかもしれませんが、当院は小回りが利きます。また、職員の数がそれほど多くなく、互いに顔がわかりますので、診療科の横の連携も取りやすいですよね。「先生、ちょっと診てほしい患者さんがいるんだけど」とお願いすれば、時間外でも診てくれます。大きな病院になると、なかなかそうはいきません。ほかに、急性期医療もしっかり行いながら、生活習慣病などで定期的に通院しているような方へのかかりつけの機能もありますし、外来診察もそれほど長く待たずに受けられるなど、気軽に受診できるのが特徴だろうと思います。これらは患者さんにとっても大きなメリットになっていると思います。
力を入れている診療について教えてください。

まずは救急医療です。徳洲会には救急を断らないという基本方針があり、今年の4月からは平塚市の救急輪番にも参加し、当番日には緊急の検査や手術などもできるよう体制を整えています。特に心筋梗塞の患者さんには循環器内科が夜間でも緊急のカテーテル検査や治療ができるようになっています。また高齢者の転倒などによる骨折や肺炎、食事が取れなくなったなどの救急患者さんも多く受け入れています。高齢者施設にいたような方が急病になっても、大規模病院や基幹病院では受け入れてもらえないことがあり、そうすると患者さんが救急難民になってしまいます。当院では、そのような患者さんも積極的に受け入れるよう努めています。実際に救急のニーズは高まっていて、二宮大磯地区だけじゃなく周辺の地域からも、徳洲会は受け入れてくれるからということで、救急車が来るようになりましたね。患者さんが自分で来院する救急科外来も24時間体制で対応しています。
ほかの診療科の取り組みも教えてください。

循環器内科は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や心不全、不整脈などを中心に診療しています。外科は、消化器のがんや鼠径ヘルニア、胆石、胆嚢炎などの手術に積極的に取り組んでいます。整形外科は外傷が中心ですが、人工関節や脊椎の手術も始めました。呼吸器内科は、総合内科的な知識や経験を持つ医師が呼吸器疾患に限らず幅広く診療していて、睡眠時無呼吸症候群の診療にも力を入れています。脳神経内科は、東海大学病院の頃からの歴史もあって、パーキンソン病をはじめとする神経疾患を得意としています。認知症についても新薬での治療にも対応しています。眼科では、白内障の手術に力を入れて取り組んでいます。泌尿器科でも前立腺などのがんのほか、前立腺肥大や尿路結石、排尿障害などの治療に対応しています。また、今年の4月からは、新たに婦人科の外来も開設したほか、小児科にも常勤の医師が着任し、外来診療を増やしました。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まず、病院裏手の駐車場の場所に新病院の建設を予定していて、来年の秋に着工し、2028年春の完成を目標にしています。今と同じように緑に囲まれながら海が見える環境を維持しながら、「地域住民が気軽に立ち寄れる」「救急医療を強化する」「災害や感染症から生命を守る」を基本コンセプトに、高機能な地域密着型病院を実現させることをめざしています。また、当院は地域のための急性期医療を行いつつ、慢性的な患者さんもある程度は診ていく必要があると思っています。ですから、将来的にはリハビリテーションをしたり、少し長期的に入院ができたりするような病棟まで広げていきたいと考えています。そして、とにかく地域の人のためになって、愛される病院になること。地域の皆さまから期待されるようにならないと、いくら高度な医療をしても続かないと思っています。地域の方々が、いつでも安心して、気軽にかかることができる病院をめざしていきます。

権藤 学司 院長
1983年弘前大学卒業後、横浜市立大学附属病院を経て、同大学脳神経外科学教室入局。湘南鎌倉総合病院脳神経外科部長、脊椎脊髄センター長、副院長などを経て、2024年より現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。専門は脊椎・脊髄疾患、脳卒中、頭部外傷など。