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社会医療法人厚生会 中部脳リハビリテーション病院

(岐阜県 美濃加茂市)

篠田 淳 院長

最終更新日:2023/04/12

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慢性期の脳疾患患者の社会復帰をサポート

慢性期の脳疾患患者を対象に治療やリハビリテーションを行う「中部脳リハビリテーション病院」。建物の前身は、交通事故で脳に障害を負った患者を受け入れる専門病院「自動車事故対策機構中部療護センター」を併設した総合病院、旧木沢記念病院である。2022年同病院が「中部国際医療センター」として移転新築した際に、既存の建物や役割を生かした形で脳疾患に特化した病院に生まれ変わった。高次脳機能障害や遷延性意識障害、てんかん、認知症、パーキンソン病などの患者を対象とする。病院の目的について篠田淳院長は、「慢性期の脳機能障害の改善をめざし患者さんの社会復帰を支援すること」と話す。「お困りの患者さんは多いものの、慢性的な脳疾患に真摯に取り組む病院は少ないのが現状です。当院では専門の医師による高度で持続的な診療を行っていきたいと思います」。院長はじめ脳神経外科専門の医師が5人在籍し、先進のMRIやPET、SPECT、脳磁図など検査機器が充実していることが同院の大きな強み。高い専門性に基づく治療や患者目線を心がけたリハビリテーションを通し、将来的な社会復帰をサポートしていく。(取材日2023年2月24日)

こちらは慢性期の脳疾患を対象とする病院だそうですね。

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はい、この建物は、もともと社会医療法人厚生会が運営する木沢記念病院という総合病院でした。大正時代からこの地で診療を行ってきましたが、2022年、同病院が、車で10分ほどの場所に「中部国際医療センター」として新築移転。ここは建物をそのまま利用し、同年、「中部脳リハビリテーション病院」として生まれ変わりました。というのも、ここには「自動車事故対策機構中部療護センター」が併設されており、自動車事故で脳に障害を負った患者さんが各地から来られていたという経緯がありました。脳疾患に対する高度な治療やリハビリテーション、病態解明の研究などを行うための先進機器も備えていたので、その特色を生かして脳疾患の治療、リハビリテーションに特化した病院をつくろうという志がありました。現在、当院の診療は、回復期リハビリテーション部門、脳神経外科外来部門、中部療護センター部門の3本柱になります。

病院の特色や患者層について教えてください。

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当院は、脳疾患に特化した回復期リハビリテーション病棟42床、療護部門50床の計92床を有し、主に脳神経外科の慢性期患者を対象とした外来診療とリハビリテーションに取り組んでいます。患者さんは、脳卒中や頭部外傷後の高次脳機能障害、いわゆる「植物状態」といわれる遷延性意識障害、てんかん、認知症、パーキンソン病の方など、また近隣からは頭痛やめまいの方も来られています。当院は脳疾患に起因する慢性期の脳機能障害の患者さんを主に県内の急性期病院やご家庭から受け入れ、回復期のリハビリテーション、外来診療を通して社会復帰を支援していくことが役割となります。私を含め日本脳神経外科学会脳神経外科専門医が5人在籍しており、それぞれに脳神経外傷や脳卒中、神経リハビリテーション、てんかん、認知症など専門分野を持っていますので、幅広い症例に対応できることが強みです。クチコミや紹介で来院される患者さんも多いです。

高度で先進的な検査機器もあるそうですね?

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CT、MRIはもちろん、PET、SPECT、MEG(脳磁図)、EEG(脳波検査)などがあります。MRIは2023年4月に新機種を導入予定で、脳の活動や組織の成分、さらに損傷の程度が詳細に評価できるものになります。MEGは、脳の電気活動を調べる脳波検査と違って、電気活動によって発生する磁場をとらえて微量の活動も把握できるので、寝たきりの方に対して手に刺激を与えたり目に光をあてたりして、脳のどの部分が活動するかなどを詳しく調べられます。専門的な機器をこれだけそろえている施設はかなり珍しいと思います。これらの検査を組み合わせ、脳疾患という目に見えない病気を少しでも「見える化」し治療やリハビリテーションにつなげていきます。

脳疾患のリハビリテーションについても教えてください。

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整形外科疾患のリハビリテーションは、手や足、腰などの運動機能や感覚機能の回復をめざすものですが、脳疾患のリハビリテーションは、そうした体の部位の機能回復に加えて発語障害、嚥下障害、さらに高次脳機能障害など認知・記憶力の回復や意欲の向上なども課題となります。回復期リハビリテーション部門には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのスタッフ15人と医療ソーシャルワーカーが在籍しており、チームで患者さんを支えていきます。認知機能障害がある方は意思疎通がうまくできないことも多いため、スタッフには、患者さんの気持ちをこちらから察するように常にアンテナを張って接してほしいと伝えています。高齢の方は特に、急性期治療を終えて病院が変わり「見捨てられた」と不安になりがちです。「そうではなくて、この病院では治すことをめざしていくんですよ」という当院の思いがご本人にもご家族にも伝わるようにと心がけています。

今後の展望についてお聞かせください。

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一般的に慢性期の脳疾患は手術で完治をめざすというものではなく、リハビリテーションや薬物治療、そして体内に埋め込まれた治療機器から脳や脊髄へ電気刺激を与える神経モデュレーションといった治療方法が主体となります。加えてもう一つ注目したいのが神経再生医療という分野です。脳の細胞は生き返らないといわれていますが、今後再生医療によって細胞が生き返り、それを増やす治療やその細胞を発達させるためのトレーニングなどができるかもしれません。また、いずれやりたいと考えているのは障害者スポーツです。私自身さまざまなスポーツをしてきましたが、患者さんがスポーツを生活の中でレクリエーション的に楽しめるといいなと思います。将来的には脳ドックを始めて脳疾患の予防にも力を入れていきたいですね。今は当院の強みである専門の医師と専門の機器を十分に生かし総合的・集学的な治療を提供し、少しでも患者さんのお役に立ちたいと思います。

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篠田 淳 院長

1981年長崎大学医学部卒業、1988年岐阜大学大学院修了。総合大雄会病院脳神経外科部長、岐阜大学医学部脳神経外科助教授などを歴任し2004年より自動車事故対策機構中部療護センターのセンター長に。2022年1月より現職。専門は脳腫瘍、遷延性意識障害、高次脳機能障害、てんかんなどで神経リハビリテーションにも注力。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。岐阜大学大学院医学系研究科脳病態解析学客員教授。

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