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公益財団法人 豊田地域医療センター

(愛知県 豊田市)

堀口 高彦 院長

最終更新日:2022/10/04

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地域の「コミュニティ・ホスピタル」へ

1980年開設の「豊田地域医療センター」は、夜間・休日救急診療から在宅医療までを担う、まさしく地域の市民病院的存在だ。梅坪駅北西の高台にそびえる診療棟の目印は、赤と青のハートをかたどった病院のマーク。数年前からリニューアル工事が始まり、2020年には新しい診療棟、その後に健診棟、コミュニティプラザを竣工した。社会の高齢化がますます進みつつある現状を踏まえ「コミュニティ・ホスピタル構想」に着手。シームレスな在宅医療体制を構築するとともに、地域に開かれた新しい病院をめざし最初の一歩を踏み出した。2021年からは呼吸器・アレルギー疾患のエキスパートである堀口高彦先生を院長に迎え、アレルギー医療の充実化に向け体制を強化。「大学を退官しても意欲ある若い医師たちに囲まれ、さらにパワーアップしています」と元気に話す堀口院長に、同院の「コミュニティ・ホスピタル構想」の内容について詳しく聞いた。(取材日2022年8月3日)

「コミュニティ・ホスピタル構想」とはどんなものなのですか?

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当院は、1980年の病院設立以来、地域に不足する「救急医療」「健診・検査」「看護師養成」の3つを柱に地域医療を支えてきましたが、超高齢社会となった今は、それに加えて「在宅医療」も大きな役割となります。在宅医療推進という新たな役割を果たすため、医師会や行政と連携し、地域に密着した病院をめざそうというのが、「コミュニティ・ホスピタル構想」です。具体的な取り組み項目としては、総合診療の充実をはじめ、地域リハビリとアレルギー医療の強化、地域医療人材の育成、地域との交流や連携をとおしたまちづくり、幸福寿命延伸のための健康づくりなどを考えています。医療と介護、福祉をつなぎ、地域との関わりを大切にしながら患者さん一人ひとりを支えていくのが、理想とする「コミュニティ・ホスピタル」です。

構想の一つとして、総合診療に注力しているのですね。

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総合診療部門の医師は、何科を受診してよいかわからない外来患者さんの初期診断だけでなく、訪問診療や救急などさまざまな場で活躍する地域医療の大きな戦力です。現在、当院の総合診療部門には約30人の医師が在籍し、急性期の診断、治療から、回復期、在宅医療までをカバーし、専門枠を超えた幅広い視野で多くの疾患や健康問題に対応しています。日本の場合は、医学部を卒業すると最初の段階でそれぞれの専門に分かれますが、海外ではまず総合診療の経験を積んだ後、専門分野を深めるのが一般的です。日本もこれからは総合診療ができる医師を育てていかないと、国内隅々にまで医療が行き渡らなくなってしまいます。どこの無医村に行っても一人で広く診療ができるような医師を増やすことが急務ですね。そこで当院では、藤田医科大学の総合診療とリハビリテーション医学の講座を開設。多くの若い医師が学びの場として利用しています。

在宅医療でのリハビリも重視されているのですね。

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診療棟2階はリハビリ専用フロアになっていて、訓練室と庭園を整備しています。リハビリロボットや身体活動性を評価するIoTシステム、自主訓練が可能なトレーニング用具が配備され、外来・入院患者さんに対して先進のリハビリを行っています 。デジタルなど新たな技術を取り入れた地域医療のデジタル・トランスフォーメーションを進めています。また、病院に来られない高齢者に対してもしっかりとケアをしていくという目的に沿って、藤田医科大学のリハビリテーション医学教室と連携して、在宅リハビリを専門とする療法士の育成に取り組み始めました。2022年には豊田総合療養士育成センターを開設し、豊田市在勤者を対象に、地域のさまざまな機関や人と連携しながら、地域リーダーとして活躍できる療法士を育てています。

先生のご専門でもあるアレルギー領域についても教えてください。

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私は当院の院長を務めながら、愛知県のアレルギー疾患医療連絡協議会を通して、県内の呼吸器・アレルギー領域を充実させる活動にも注力しています。2014年に国の方策としてアレルギー疾患対策基本法が公布されました。目的は、全国どこの病院・クリニックでも同レベルのアレルギー治療が受けられるようにすることです。そこで、重症な人だけを拠点病院に送り、拠点病院から情報を発信して地域のアレルギー医療に役立てるという取り組みを進めてきました。名古屋市では一定の成果を上げていますが、当院の医療圏である西三河北部の強化が今後の課題となっています。そして今、私が積極的に取り組んでいるのが、在宅での吸入薬指導です。豊田モデルとして広く全国に浸透させるため、まずは院内にアレルギー部門を立ち上げて普及に努めます。在宅医療患者さんの多くは肺が悪くなっているので、呼吸器に強い総合診療の専門家を育てることも急務ですね。

地域住民に向けたメッセージをお願いします。

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当院では健診にも注力しています。多くの豊田市民に受けていただいていますので、そのデータを豊田市のデータとして解析し、幸福寿命延伸に役立てたいと考えています。幸福寿命を伸ばす新しい試みとして、50歳以上の方を対象にした「サフロ健診」も始めました。サフロとは、サルコペニア、フレイル、ロコモティブ症候群の頭文字で、これら3つの評価を行い、リハビリ専門の医師による指導をしています。また、昨年オープンした「地域リハイノベーションセンター」では、先進技術を取り入れた機器を紹介しています。先進の介護ベッドなどが配置された自宅を模した部屋を見学したり、移動を便利にする先進機器に乗ったりすることができるので、介護に前向きになれるのではないでしょうか。また、地域住民のための健康講座や認知症カフェなども開催し、予防医学からターミナルケアまで行える市民のための病院をめざしていますので、ご期待ください。

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堀口 高彦 院長

1980年藤田医科大学卒業。呼吸器・アレルギー病学を専門とし、気管支喘息・COPDにおいての「ホー吸入」を考案。吸入指導や生物学的製剤導入に注力し、国内外で講演を行う。愛知県アレルギー疾患医療連絡協議会を通した啓発活動に尽力。藤田医科大学ばんたね病院副院長を経て2021年より現職。医学博士。日本呼吸器学会呼吸器専門医。日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本呼吸器内視鏡学会呼吸器内視鏡専門医。

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