全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,877件の情報を掲載(2025年10月10日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市千種区
  4. 今池駅
  5. 名古屋市立大学医学部附属東部医療センター
  6. 林 祐太郎 病院長

名古屋市立大学医学部附属東部医療センター

(愛知県 名古屋市千種区)

林 祐太郎 病院長

最終更新日:2025/09/16

Hf main z66910 20250722 045Hf main z66910 20250722 045

救急、感染症、心臓・脳血管、がん高度医療

敷地の北側に千種公園が、南方面に桜並木が有名な通りがあるのどかな環境にある「名古屋市立大学医学部附属東部医療センター」。同院の歴史は135年前、明治時代に愛知県から伝染病隔離病舎を引き継いだことに始まる。以後、名古屋市立東市民病院、名古屋市立東部医療センターと改称され、2021年、名古屋市立大学医学部附属病院となった。地域に根づいてきた伝統を大切にしつつ、現在は高度な医療を行う救命救急センターとしての役割も担う。「救急医療、感染症医療、心臓血管・脳血管疾患・がんの高度専門医療が当院の3本柱」と明快に語るのは林祐太郎病院長だ。救急搬送の受け入れ件数は年々増えており、がん診療においては積極的なロボット支援手術を行うとともに化学療法部門を強化。感染症に備えては病床確保や専門医師の着任など体制も整えた。加えてここ数年は、目や、声と鼻、口の乾き、ニキビなどわかりやすいネーミングの外来も設けている。「当院での診療が新たな研究や教育にもつながれば」と大学の附属病院としての役割を見据える林病院長。一方で「市民の方が集いやすい病院でありたい」とにこやかな笑顔も見せてくれた。(取材日2025年7月22日)

地域における病院の役割についてお聞かせください。

Hf 1 z66910 20250722 010

当院は、明治時代に愛知県から伝染病の隔離病床を引き継いだ年から135年、名古屋市立東市民病院としてスタートしてから68年になります。新型コロナウイルス感染症蔓延の折には、早い時期から感染患者さんの入院を受け入れました。もし新たに感染症が起こった場合、感染病床を増やす用意があること、感染症学専門の医師が複数在籍していることから名古屋市における感染症治療の拠点になることが一つの役割と考えています。2つ目の役割として大きいのが名古屋市東部の救急医療を担うことです。救急車の受け入れは2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)8050件。命に関わる心筋梗塞、脳出血など急性期治療には24時間対応可能です。亜急性期病院や地域包括ケア病棟を持つ病院の先生方とは訪問や医師会を通して顔の見える連携を心がけています。3つ目の役割としては、がん診療が挙げられます。これらが当院の3本柱といえます。

がん診療についても教えてください。

Hf 2 z66910 20250722 008

先進がん治療センターを中心に、化学療法、放射線療法、手術を組み合わせた集学的な治療を行っています。手術において強みとなっているのは消化器内科。中でも肝胆膵領域で、特に膵臓に関しては専門の医師がおり超音波内視鏡検査にてがんの早期発見にも努めています。ロボット支援手術は泌尿器科、消化器外科で進んでおり、先だっては膵臓でも実施しました。特徴的なのは婦人科で、当院では近年子宮がんのロボット支援手術が増加しております。優秀なメンバーが集まり、東海地区で数多くの実績を積み上げています。乳がん、肺がんについても今後、専門の医師が増える予定です。また、外来患者さんに対しては、12床からなる化学療法センターを立ち上げました。がん専門の医師と看護師が在籍しており、手術と合わせたがんの再発防止、コントロールをめざしています。

こちらの病院ならではの診療について伺います。

Hf 3 z66910 20250722 002

患者さんからのニーズがあり、研究や教育にもつながるあまり知られていない診療科があります。まず疼痛緩和内科。他科とも協力しペインクリニックとして痛みの対策を、がん患者さんには緩和ケアを行っています。新たに精神科の医師が着任し、メンタルケアも重視しています。次に、開設して8年になるのが歯科口腔外科の口の乾きに特化した外来です。病気が隠れている可能性もあり他科と連携し治療を進めます。また2024年開設の耳鼻いんこう科・声と鼻のセンターは、声が出しにくい、鼻が詰まるといった普段の気になる症状を診療、治療につなげます。2025年に開設したのは眼科の運転のための外来です。当院の医療圏では生活に車を必要とされる高齢の方が多く、ドライブシミュレーターを使って見え方の解析をしています。そして始まったばかりなのが皮膚科のニキビを専門に診る外来です。自費診療、研究を含めて取り組んでいく予定です。

がん診療をはじめ各分野で専門家がそろっているのですね。

Hf 4 z66910 20250722 021

大学の附属病院化という流れがありますね。優秀な先生の手術は効率が良く出血が少ないので患者さんの負担も少なく、早く終わります。そのスキルを若い医師が学ぶことで、患者さんのことも、医師の生活も大切にできるのではないでしょうか。医師のモチベーションも向上し、医師が増えることで交代もスムーズにでき、働きやすい職場になるという好循環が期待できます。

そのために現在も進化を続けておられるのですね。

Hf 5 img 3002

はい。例えば当院の消化器内科の医師は約半数が女性で、当院全体での女性医師の割合は35%と全国に比して高いです。出産や子育て、国内留学や症例発表会出席など、男女問わず自分の生活を大切にできるようになればと思います。私の恩師が「考えたらすぐ動け」とおっしゃっていたのですが、動いて問題が起こればどう解決したらよいかミーティングをして次のステップにいけばよいと思っています。私の専門である小児泌尿器科は他科との連携が非常に大切なのですが、当院全体でも医師や職員同士のコミュニケーションを大切にしたく、現在、多職種が集まれるスペースを建築中です。また患者さんとのコミュニケーションも大切にしていきたいですね。がん相談支援センターには当院の患者さんやご家族のみならず一般の方にも来ていただけます。病院というより市民の誰もが集えるホールのような場になれればと思っています。

Hf main z66910 20250722 045

林 祐太郎 病院長

1985年名古屋市立大学卒業後、名古屋市立大学医学部附属東部医療センターの前身である名古屋市立東市民病院で研鑽を積み、名古屋市立城西病院泌尿器科勤務、UCLA小児泌尿器科留学などを経て名古屋市立大学病院小児泌尿器科部長、小児泌尿器科学分野教授に就任。2021年より同大学病院副病院長。院内では、医療安全、病院機能評価、調達部会などに従事。2025年4月より現職、名古屋市立大学理事。

access.png