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社会福祉法人 千葉県身体障害者福祉事業団 千葉県千葉リハビリテーションセンター

(千葉県 千葉市緑区)

菊地 尚久 センター長

最終更新日:2020/06/01

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千葉県のリハビリテーションの拠点病院

千葉県の健康福祉政策の一貫として1981年に開設された「千葉県千葉リハビリテーションセンター」。「誰もが街で暮らすために」を理念に掲げ、身体機能の改善に向けた治療だけでなく、地域に戻った後の生活を考えた包括的なリハビリを提供しているのが特徴だ。特に高次脳機能障害の患者へのサポートでは千葉県で中心的な役割を果たしているほか、脊髄損傷や小児の脳性麻痺など専門的な治療が必要な患者を多く受け入れ、在宅復帰に向けたリハビリで日常生活を支える。そうした病院機能に加えて、重症心身障害児・者の療育に関わる医療型児童発達支援センターや、生活の自立度を高めて就労準備のためのトレーニングを行う障害者支援施設、義足や義手といった装具を作製・修理するための補装具製作施設が院内に設けられている。「当院でのリハビリを通して患者さんたちが障害を受け止められるようになり、前向きな気持ちで次のステップに進んでもらえたらうれしい」と話すのは、センター長の菊地尚久先生。病院の特色や専門性の高いリハビリ・治療について話を聞いた。(取材日2020年5月8日)

リハビリテーションに特化した病院だと伺いました。

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当院は千葉県におけるリハビリテーションの拠点として、1981年に開設されました。これからの時代には専門的なリハビリが必要だとの判断で、全国でもかなり早い段階での取り組みでした。開設当初は地域に脳卒中の方のリハビリができる病院はほとんどなく、そうした患者さんに向けて回復期を支える役割を担っていましたが、現在では回復期リハビリ病棟がある病院が増えたため、当院では回復期に加えて就労に向けたアプローチを含めたリハビリを実施しています。特に高次脳機能障害という、脳卒中や交通事故などの脳外傷が原因で脳機能に障害が出る患者さんを多く受け入れているのが特徴です。高次脳機能障害は記憶障害や見落とし、順番がわからなくなるなどの症状が出るもので、当院は県内における高次脳機能障害支援に携わる拠点機関として、個人や団体からの相談に応じているほか、医療関係者に向けての研修会を積極的に開催しています。

強みのあるリハビリについて教えてください。

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高い専門性が求められる脊髄損傷者へのリハビリに強みがあります。脊髄損傷者は四肢の完全麻痺や不全麻痺があるため、麻痺しているところを少しずつ動かすリハビリが重要です。当院ではロボットや電気刺激を使ったリハビリを導入することで、日常生活の介助量の軽減につなげています。患者さんの状態によって上肢と下肢のロボットを組み合わせながら、適切な姿勢で数多く動作を繰り返すリハビリを行います。麻痺の程度は人によって違いますので、当院にいらしたときにどのくらいの麻痺があり、退院に向けてどこまでをめざすのか。その目安となるプログラムを作成しています。月1回はスタッフが集まるカンファレンスを開き、患者さんの情報を共有しながら進めていきます。ケアの面では排尿と排便の管理に力を入れており、手が不自由な方でも道具を使って自己導尿ができるように、これまで当院が蓄積してきたノウハウに基づいて指導にあたっています。

脊髄損傷患者への専門的なリハビリを実践されているのですね。

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脊髄損傷では痛みを抑えるための治療や合併症の治療も欠かせません。特徴的な症状としては痙縮と呼ばれるものがあり、筋肉の動きが硬くなったり、ひどくなると固まって動かなくなったりしてしまうことも。回復期後にボツリヌストキシン製剤療法を導入するのが一般的ですが、当院では回復期の早い段階から治療を開始しています。完全に硬くなる前に筋肉を緩めて動かすリハビリを行うことで、治療の効果を高められるようにしているのです。その他にもなるべく起きられるようにする離床プログラムや、受傷者の先輩たちの話を聞くピアカウンセリングという取り組みも行っています。また、年1回は千葉県内の医療従事者、リハビリスタッフ、ケースワーカーに向けての研修会を開催しています。脊髄損傷者に対して必要なケアを知ってもらうことで、地域全体のスキルアップを図るとともに、在宅復帰した後の患者さんを支えるネットワークづくりにも役立っています。

小児のリハビリにも対応されているそうですね。

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脳性麻痺のお子さん、その中でも重症心身障害児を中心に受け入れています。リハビリが必要な小児患者さんの中でも、そうした難しい症例に対応しているのが当院の特徴です。集中治療室に長く入院していた患者さんなど、自宅にすぐには帰れないようなお子さんへリハビリを提供することで、在宅復帰に向けた準備ができます。小児のリハビリに対応している病院は数少ないため、リハビリ目的の入院はもちろん、外来にも千葉県全域から患者さんがいらっしゃいます。小児の整形外科を専門とする医師も在籍しているため、脳性麻痺の患者さんに対して機能を良くするための手術にも対応可能です。当院には、200人以上のリハビリスタッフがいますが、その半数は小児の患者さんを専任としています。成人のリハビリでも脳卒中・脳外傷、脊髄損傷、整形外科とそれぞれのスタッフをグループに分けており、豊富な人員がそろっていることで専門的なリハビリができる環境です。

最後に今後の展望をお聞かせください。

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10年以内に病院の建て替えを検討しています。場所はそのままで、より患者さんたちがご利用しやすいように全体的に広くする計画です。障害のある方が入院での健診などを断られてしまうケースも多いため、当院で検査入院を受けられるように設備を整えていきたいと考えています。これまで以上に機能を充実させ、障害者スポーツへの取り組みもさらに進めていきたいと思います。私たちが大切にしているのは、病院の理念でもある「誰もが街で暮らすために」リハビリを提供すること。千葉県内におけるリハビリの拠点病院ですので、遠方にお住まいの方でも遠慮せずにご利用ください。総合相談部では、リハビリに関する連絡窓口として、個人、団体問わずご相談を受けつけています。患者さんがご自宅に戻られたときにできるだけ生活に困ることがないよう、たとえ障害があったとしても楽しく幸せに暮らしていただけるようサポートしてまいります。

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菊地 尚久 センター長

1990年に金沢大学医学部卒業。横浜市立大学にてリハビリテーション科の助手を務め、2006年に准教授に就任。同大学市民総合医療センターリハビリテーション科部長、千葉県千葉リハビリテーションセンター副センター長を経て、2020年から現職。千葉大学医学部臨床教授、横浜市立大学客員准教授・非常勤講師。一般社団法人日本義肢装具学会理事。特に痙縮治療、義肢装具の分野に力を入れている。

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