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医療法人名古屋澄心会 名古屋ハートセンター

(愛知県 名古屋市東区)

大川 育秀 院長

最終更新日:2020/11/25

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専門の医師がそろい、迅速な治療につなぐ

地下鉄砂田橋駅から徒歩2~3分の場所に立つ「医療法人名古屋澄心会 名古屋ハートセンター」。心臓を表す赤いハートのようなマークが目印だ。2008年の開業から10余年を経て地域にしっかりと根を張り、循環器疾患専門の病院として急性期の治療、手術に対応する。「循環器内科と心臓外科の医師がそろい、救急車で搬送された時点から治療まで、スピーディーに診断し、治療を進める専門性と迅速性が強み」と話す大川育秀院長。豊橋、岐阜のハートセンター設立にも関わり、命の治療に尽力してきた先生だ。高齢社会となった現在では新たな課題も浮上する。「独居の方が増え、手術して終わりではなくリハビリテーションから慢性期、在宅医療、さらに緩和ケアまで幅広く多職種と協力して支える体制が求められている」とし、地域の医療機関や福祉分野との連携を模索する。さらに、病気になる前の予防にも力を入れていきたい、とも。同院の先進的な医療や、患者、地域への思いなどについてじっくり語ってもらった。
(取材日2019年10月23日)

先生のご経歴や貴院の成り立ちについて教えてください。

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私は大学卒業後、肺結核や循環器疾患を扱う国立療養所豊橋東病院(現・国立病院機構 豊橋医療センター)に勤務しました。そこで出会ったのが鈴木孝彦先生です。国立の組織ではどうしても人員や予算に制約があるため、鈴木先生と、より迅速に最適な医療を提供する専門病院をつくろうと、紆余曲折を経て1999年豊橋ハートセンターを開設。私は副院長に就任しました。数年後、今度は岐阜の病院の先生方から岐阜にも専門病院がほしいと声が上がり、さらに名古屋にもということで志を持つ医師が集まり、2008年当院が、2009年岐阜ハートセンターが開院しました。私は2012年から当院の院長を務めています。病院の患者さんが移行してきた豊橋や岐阜と異なり名古屋はゼロからのスタートで、開院初日の患者さんは十数人。年々、近隣病院からのご紹介が増え、外来の患者さんの数だけでなく、検査や手術の数も増えています。

総合病院とは違う、専門病院ならではの特徴、メリットとは?

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一番はスピードだと思います。循環器内科、心臓血管外科それぞれの専門の医師、スタッフが24時間待機し、カテーテル治療も外科手術もすぐに対応できるよう体制を整えています。救急車で患者さんが搬送されてきた場合も同様です。ドア・トゥ・バルーンというのですが、例えば心筋梗塞で血管が詰まっている方を病院のドアから治療室へ運び、カテーテルという細い管を入れてバルーン療法で血液が流れるようにする、それを当院では1時間以内に行うようにしています。時間が短ければ短いほど、術後の回復やリハビリがスムーズになります。動脈瘤の破裂など一刻を争う場合もすぐに手術を行います。総合病院で当直の医師が循環器の医師を呼び出したり、手術ができる病院へ転送したりするよりずっと早いと思います。糖尿病や胃潰瘍、脳の病気など他の病気がある場合は必要に応じて他科の先生に当院まで来ていただいたり、当院から医師を派遣することもあります。

治療法はどのように決めていくのですか?

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心臓病の治療は内科的、外科的に複数の方法があるため、内科、外科の医師での話し合いをしっかり行っています。例えば狭心症や心筋梗塞では、血管内にカテーテルを入れて狭くなった部分を広げる内科的な治療法と、詰まった血管の先に新たに道(バイパス)を作る手術をする外科的な治療法があります。弁の病気でも、手術の場合もあれば、カテーテルを使って人工弁を装着する治療法(TAVI)や、クリップで弁をとめて逆流を軽減する治療法もあります。患者さんも、若くて早く社会復帰したい方、高齢で体力のない方、あるいは合併症や認知症のある方などさまざまですので総合的に考えてどの治療法がベストなのかを決めていきます。ご本人やご家族のご希望もくみ取ります。さらに医師だけでなく各種検査技師、看護師、理学療法士、管理栄養士など多職種の専門スタッフが連携し、治療前から治療後まで多方面から患者さんを支えていきます。

低侵襲な治療・手術になるようにしているそうですね。

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当院での代表的な手術は冠動脈バイパス術、弁膜症手術、大血管手術など。多いのは弁膜症の手術ですね。心臓の4つの部屋にある弁が壊れたり狭くなったりすると、血液が逆流したり滞ったりしてしまうのです。先にお話ししたTAVIなどはカテーテルを用いた手術のため、開胸手術が困難な患者さんに向いています。手術の際は右小開胸アプローチ法を取り入れており、2018年からは3D内視鏡を用いた手術を行っています。心臓の深いところにある弁をカメラで詳細に観察しながら、小さな切開口から手術を行っていくため、侵襲が少なく、翌日から歩けて5日間ほどで退院できるメリットがあります。バイパス手術においても、左側を小さく切って人工肺を使わず心臓を止めずに手術することも条件によっては可能です。これも患者さんの負担軽減になりますね。一方で、開胸手術が適している場合もありますので、ケースバイケースになります。

今後、力を入れていきたいことなどお考えをお聞かせください。

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当院では内科的治療や外科手術だけでなく、リハビリテーションや栄養管理も心臓の病気にとって大切なことと捉えています。栄養状態が悪いまま運動をすると筋肉を壊してしまいますし、心臓から血液がうまく回っていないと食べ物が上手に消化されません。運動は、しているかしていないかで予後に大きな差があるといわれるほど重要なのです。今後は、健康維持と再発防止という目的に加え、東洋医学でいう未病、つまり病気になる前の状態から、病気を予防することに力を入れていきたいですね。運動の重要性も多くの方に知っていただきたいと思います。また高齢社会の今、独居の方が増えており、急性期を終えた患者さんを支えるための仕組みづくりが求められています。地域の医療機関や訪問看護ステーション、福祉分野との連携が非常に大事です。特に心不全については、がんと同じように在宅医療や緩和ケアに取り組んでいくことが当院のこれからの課題ですね。

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大川 育秀 院長

1982年岐阜大学卒業後、同大学病院第一外科入局。1983年国立療養所豊橋東病院、1988年同院外科医長。1999年豊橋ハートセンター副院長。2012年より現職。治療にあたっては「患者さんができるだけ損をしないこと」を心がけ、公平で正直、かつ丁寧な対応に努める。

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