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医療法人青峰会 くじらホスピタル

(東京都 江東区)

上村 順子 院長

最終更新日:2020/11/25

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落ち着いた入院環境で精神科治療に専念

精神科の入院治療を行う一般病院として開設された「くじらホスピタル」。駅から徒歩5分というアクセスの良い立地にありながら、運河に面した静かな療養環境で、北海道から沖縄まで全国から患者が訪れる。一歩院内に入ると目に入るのは緑が鮮やかな観葉植物。そして温かみのある木製のオブジェや椅子が随所に配置され、心安らぐ空間が広がっている。同院が大切にしているのは、患者の自主性を尊重した入院治療。人格障害や摂食障害、気分障害などの患者に対応し、短期入院で症状を落ち着かせて、生活リズムを整えながら治療に専念できる環境を提供する。「精神科での治療は決して人生のマイナスではありません。患者さんご自身の生き方を取り戻すお手伝いをしたいと考えています」と話すのは、院長の上村順子先生。患者一人ひとりの考えを尊重しながら、きめ細かに温かい医療で患者を支えている。
(取材日2019年1月28日)

はじめに病院開設の経緯を教えてください。

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もともと私は横浜市で「めだかメンタルクリニック」を開設していたのですが、そこでPTSDに苦しむ患者さん、DVや虐待被害を受けた患者さんの治療をするうちに、精神科で入院できる適当な施設がないという問題に直面しました。クリニックで診ている患者さんを入院させたいと思っても、急性期に対応する大学病院や、長期入院するのが当たり前というような精神科単科の病院しかないのが現状でした。安心して入院治療ができる病院をつくりたいという思いが、「くじらホスピタル」開設の原点になっています。当院の理事長は愛媛県で「くじら病院」という精神科病院を運営していて、長年革新的な精神科医療を発信していたこともあり、全国区で通用するような新しい病院の開設に踏み切りました。一般病床で精神科を専門的に診る形なので、精神科病院への入院に躊躇される患者さんやご家族にとっても、治療を受けやすい環境になっています。

とても落ち着く雰囲気の院内ですね。

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精神科病院では安全面の考慮から、どうしても医療者側にとって対応しやすいようにつくられていますが、ここでは患者さんの生活を第一に考えた施設であることにこだわりました。私たちは、「患者さんを信じる」というのが根本の考えであります。そのため、患者さんが自ら管理できる鍵付きの個室を設置し、あえて死角をつくり、人の目に入らず安心できる場所があるのも特徴です。他にも観葉植物や温かみのある木製のオブジェなど自然な物を取り入れて、なるべく生活空間に近づけています。いわゆる病院のイメージとはだいぶ違うのではないでしょうか。落ち着いた入院環境を整えることで、患者さんが主体性を持って治療を受けられるようになります。治療を受けることは決して人生のマイナスではありません。そこを乗り越えれば、それだけプラスの力になります。病気で苦しくてもあきらめずに、もう一度ご自分をとらえ直す勇気を持ってほしいと考えています。

入院でどのような治療をするのでしょうか。

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急性錯乱のような一時的に精神が錯乱した状態の患者さんは、1~2週間の入院で症状が落ち着くことが多いです。さまざまな出来事によって、「何日も眠れない」「衝動的に暴れてしまう」といった症状は誰でも起こる可能性があります。専門の医師がしっかり状態を見極めて、入院治療が必要かどうかを診断します。治療方法としては薬物療法と医師がカウンセリングを行う精神療法が中心ですが、まずは規則正しい生活を送ることが大切です。乱れていた生活リズムを整えることによって精神が落ち着きを取り戻し、そこから薬物療法を活用していくのです。また、当院では理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを提供しているのが特徴です。体を動かしたり作業をしたりすることで、患者さんご自身が精神の混乱を自覚できるようになります。また、お子さんの治療では必要性があれば、当院に入院してここから学校に通うことも可能です。

入院で環境を変えることが大切なのですね。

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今はうつや双極性障害などの気分障害や、発達障害から職場や学校に不適応になる方が増えています。場所を変えてしっかり休息をして治療をする。職場や学校から一度引き離してあげる必要があるのです。まずはご自身の状態を客観的に見られるようになることが第一歩です。以前よりは精神疾患への理解も進んできていますが、まだまだ「気の持ちよう」と言われることも多いのが現状。当院には、過食や拒食を繰り返す摂食障害の方も多くいらっしゃいますが、単なるダイエットのし過ぎとは違います。人との比較や自分に自信がないことで、依存症的なストレスがかかることで起こる疾患です。当院では、そうした生命に関わるような身体疾患の治療も行っています。また産後のうつも増えていますが、精神の弱さが原因ではなく、出産前後のホルモンバランスで誰にでも起こりえるもの。早めに医療機関を受診して、適切な治療につなげる必要があります。

患者さんに接する上で大切にしていらっしゃることは?

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患者さんたちは皆さんすごく頑張って生きていらっしゃいます。その生き方や人生を尊重することを一番大事にしています。患者さんを大切に思い尊敬する気持ちがなければ、精神科の医師として医療に向き合うことはできません。当院が掲げる「患者さん主体の治療」というのは、患者さんご本人がその方の人生の主人公であると思い出してもらうこと。職場や学校、家庭の問題で苦しんでいらっしゃる方たちは、それだけで自分の人生の主人公であることが奪われてしまっている状態です。私たちはそれを取り戻して、もう一度その方の人生に戻してあげるお手伝いをしています。当院にはお子さんからご高齢の方まで幅広く患者さんがいらっしゃいますが、たとえ同じ疾患でもお一人お一人は違います。年齢に関わらずその方が持っている“力”を取り戻す医療を提供していきたいと考えています。そこはぶれずに診療を続けていきたいですね。

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上村 順子 院長

1989年山口大学医学部卒業。精神科専門クリニックで研鑽を積み、神奈川県横浜市にめだかメンタルクリニックを開設。摂食障害やアルコール依存症、児童虐待、PTSDなどの精神疾患の治療に尽力。2006年からくじらホスピタルに勤務し、2018年に院長に就任。大学ではもともと社会学部を学んでいたが「人間についてもっと知りたい」という思いから、医学部へ。人と深く関わり合う精神科にやりがいを感じている。

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