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地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立大久保病院

(東京都 新宿区)

辻井 俊彦 院長

最終更新日:2022/07/01

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専門的な腎医療と地域医療の担い手

東京都内屈指の繁華街、新宿歌舞伎町。この町で100年以上も前から診療を続けている「東京都立大久保病院」は、新宿区及び西武新宿沿線地域の医療の支柱として地域住民に親しまれている存在だ。透析から生体腎移植まで手がける腎医療を筆頭に、二次救急医療、循環器疾患、脳疾患、がん治療などに注力。地域医療支援病院として地域包括ケア病棟を持ち、リハビリテーションの機能も備え、地域の医療機関・介護施設と連携しながら、急性期治療から早期の在宅復帰につなげる医療に取り組んでいる。「近隣に大病院が数多く存在する新宿において、当病院ならではの特性を生かして地域医療に貢献していきたいですね」と話すのは2020年4月から院長に就任した辻井俊彦先生。同病院の特徴や今後の展望などについて辻井院長に話を聞いた。(取材日2020年7月22日/情報更新日2022年7月1日)

病院の成り立ちと病院長就任への思いについてお願いします。

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当院の歴史は古く、1879年に伝染病の治療を行う専門病院として設立されたのが始まりです。その後、都立大久保病院を経て2004年に東京都保健医療公社に移管され、地域医療支援病院としての役割を担っています。私は以前、都立大塚病院にいたのですが、池袋界隈と新宿とでは周辺の医療環境や地域における病院機能がまったく異なることに驚きました。池袋界隈では、地域の基幹病院は都立大塚病院だけでしたが、この周辺には東京医科大学病院や東京女子医科大学病院、慶應義塾大学病院など大病院がひしめきあっています。そんな中、当病院は病床数304床と決して大規模ではありませんが、東京都保健医療公社の「医療で地域を支える。」という理念のもと、当院ならではの立ち位置で地域医療に貢献していきたいと考えています。

医療面での特色について教えてください。

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重点医療としては二次救急医療と生活習慣病医療が挙げられます。当院の最も特色ある医療の一つが腎医療です。腎臓内科、泌尿器科、移植外科を中心に「腎センター」として、人工透析、生体腎移植、IgA腎症の外来などを積極的に行っています。また、脳卒中では脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション科が協力して、超急性期から急性期リハビリまでトータルに対応しています。循環器疾患では不整脈に対するアブレーションでは多くの実績を重ねていると自負しています。ほかにも乳がん、肺がん、消化器がんなど専門性の高い治療に取り組んでいます。整形外科も脊椎、関節、外傷など幅広く対応しており、救急を含めて積極的に手術を行っています。私が専門とする泌尿器科としては、今後は、排尿障害など一般的な泌尿器疾患の診療にも力を入れていこうと考えています。

脳卒中や循環器疾患などにも注力しているそうですが。

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脳卒中の急性期医療機関として、血栓溶解剤t-PAを用いた治療や血管内手術を行っています。さらに脳神経内科とリハビリ科とも連携しながら早期に在宅復帰できる体制を整えています。循環器医療では、不整脈に対する高周波、バルーン、レーザーを駆使したアブレーション治療、心筋梗塞や狭心症に対する治療として冠動脈形成術に加え、冠動脈高度石灰病変に対するロータブレーター治療を導入しています。当院には血管外科もあり、動脈瘤や末梢血管疾患を診療しています。よく考えますと、脳卒中や循環器疾患も血管の病気ですから血管外科も含め、全身の血管を総合的に診察できる体制をつくれたらと構想を練っているところです。がんに関しては、手術、内視鏡治療、放射線療法、化学療法の治療設備を整えており、精神科の医師や看護師などチームによる早期からの緩和ケアも含めトータルに対応できる体制となっています。

地域での役割、地域連携についてはいかがでしょうか。

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先ほどもお話ししましたように、地域には大病院が多く、それぞれの強みを持っていますので、病院同士の連携がとても重要となります。今回、新型コロナウイルスの対応では、検査スポットを国立国際医療センター病院に委託して、症状の段階に応じて各病院が受け入れるという「新宿モデル」を実施したことで、病院同士の連携が密になり、顔の見える関係が築かれたと思います。地域のクリニックとの連携では、今後、クリニックの先生から、直接、各診療科に連絡を取れるホットラインのようなシステムを作っていきたいと考えています。今日すぐに診てもらいたい、どう対処すべきかわからないなどといった場合、事務的な連絡が間に入ると迅速性に欠けますので、スピーディに対応できる体制が作れればと思っています。さらにICTを活用した地域医療ネットワークも導入したいと考えており、今後は、新宿区の医療連携システムに参画する予定です。

では最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

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2020年度中に独立行政法人に移行する予定で、今後、病院の立ち位置も変わってくるでしょう。そんな中、当病院が強化している医療、得意な分野をさらに拡充し、差別化を図っていきたいですね。当院にはいろいろな患者さんが来られますが、すべての患者さんを受け入れることが最良とも限りません。場合によっては他の病院をご紹介し、より良い医療へとつなげることも大切です。東京都保健医療公社の各病院もそれぞれ強みがありますから、こちらの連携も生かしていきたいですね。外国人を含めて地域に根差した病院、少数精鋭の医療機関として医療連携を密に、さらに地域を支えていきたいと思います。小粒でもピリリと存在感を示せる、まるで山椒のような病院をめざしたいと考えています。地域の皆さんには、困ったときにはいつでも相談に来てください。

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辻井 俊彦 院長

1982年東京医科歯科大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院泌尿器科入局。関連病院勤務後、同大学医学部講師、獨協大学医学部准教授などを務めた後、東京都立大塚病院に13年間勤務。同病院泌尿器科部長、副院長を経て2020年4月より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。専門は泌尿器悪性腫瘍、前立腺がん、排尿障害、尿路結石。ガイドラインを遵守しつつ各患者の背景も考慮、患者に寄り寄った医療を心がける。

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