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国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

(東京都 新宿区)

杉山 温人 病院長

最終更新日:2020/11/25

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歴史ある総合病院として合併症対応に注力

大江戸線若松河田駅から徒歩5分と、都内北部からアクセスも良い「国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院」は広大な敷地に781床を有し、43の診療科を標榜。造りのゆったりした院内は明るく、4階分に相当するアトリウムは入院患者や見舞い客の憩いの場となっている。同院は、2019年に「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受けている。2019年4月に病院長に就任した杉山温人先生は、アレルギー・気管支喘息と間質性肺疾患を専門とする呼吸器内科の医師。患者の生死やQOLに関わってきた経験を持って、病院長としての考えを聞いた。(取材日2019年4月26日/情報更新日時2020年9月16日)

こちらの病院の成り立ちを教えてください。

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国立で専門医療の提供や研究を行う、いわゆるナショナルセンターは、がんや循環器病、長寿医療などさまざまな領域で置かれていますが、当院はその中でも総合病院となっています。1868年の兵隊仮病院を祖とし、戦後は国立東京第一病院となり「トウイチ」として知られていました。1929年に現在地に移転し、大江戸線の開通後はさらに便利に、練馬方面からもアクセスが良くなりました。国際感染症対応やエイズ治療、救急医療などに特色があり、「国際医療研究」という名称ですが、すべての診療分野で専門の医師とスタッフが連携を取り合う診療体制を整えています。病病連携、病診連携にも注力し、幅広い患者さんの診療に日々あたっています。合併症を持つ患者さんや高齢者の外科手術、複雑な内科疾患への対応、原因不明の疾患等に対処する総合的診療、多くの身体疾患を合併した精神科患者さんの診療に強みを持ち、でき得る限り「断らない」のが信条です。

貴院の特徴的な医療対応例を教えてください。

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感染症については専門の医師が10名以上在籍し、エボラ出血熱等の第1種感染症に加え、新型感染症にも対応可能な「特定感染症指定医療機関」として、特別病床を4床有しています。ヘリポートによる緊急搬送も含め、新たな感染症を国内に広めないよう、せき止める重責を担っています。今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、まさにこう言った体制を準備していたことが役立ちました。2020年1月末の武漢帰国者受け入れ、2月のクルーズ船の重症者受け入れに引き続いて、激増するCOVID-19患者の治療・研究の前線に立って奮闘してきました。その他には、重症糖尿病疾患に対する「膵島移植」、腹膜偽粘液腫に対する難易度の高い治療や、スーパーマイクロサージャリーを駆使した高難度再建外科手術によるリンパ浮腫や切断指の再接着などを行っています。このように、各分野で先端的な治療を実践しています。

先生のご専門の、呼吸器内科ではいかがですか。

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当院は、東京23区で結核病棟を有する呼吸器病院として、先端的な治療に取り組んでいます。たとえば、喀血(かっけつ)に対してカテーテル治療を行う、呼吸器インターベンションチームを有しており、専門の喀血の外来を開設しています。また、日本で行われている気管支鏡のほとんどは軟性気管支鏡で、主に検査に使われますが、当院では安全に治療を行えるよう、全身麻酔下での硬性気管支鏡術と、それによる気道ステント留置術にも力を入れています。そのほか重症難治性気管支ぜんそくに対する新規の非薬物療法である気管支サーモプラスティ治療を2015年より実施しており、多くの症例を扱っています。私自身は、高校時代に恩師の勧めや身内に障がいがある者がいたこともあって医療の道に進みました。患者さんの呼吸を維持して生死やQOLに大きく関わる呼吸器内科には、非常にやりがいを感じています。

今は院長業務に専念されておられますが、医療への思いは?

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患者さんに対して、自分の家族や大切な人だと思って接することが大事だと思っています。当院のように先端医療を扱っていると、最後の可能性にすがられる場合が少なくありません。それでも、いたずらに新しい治療に走るのではなく、本当にその方にとって良いと思われるのは何か。医師として、リスクとベネフィットをはかりにかけながら、自分だったら、家族だったらどうするのか。そうした視点を忘れないように心がけています。当院は、医師400人、看護師800人、コメディカル等400人の総勢1600人規模という大所帯です。その中で、組織内でも対外的にも双方向で、風通し良くやっていきたいですね。患者さんの関心事である、待ち時間や窓口の対応、入院食などについても声を伺ったら速やかに改善するなど、フットワーク軽く進めていきたいです。毎月開催の糖尿病教室や生活習慣病教室などによる市民の皆さまへの啓発にも力を入れていきます。

今後の展望について教えてください。

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COVID-19は感染症の恐ろしさを私たちに再認識させました。今後も起こりうる新興・再興感染症に対して、第一線で対応して国民の命を守ると言うミッションを今後も堅持していきます。高齢化の進行とともに、がんだけではなく、何かしらの合併症を持たれているケースがますます増えています。当院はこれまでも、結核をお持ちの肺がんの方など、他院では対応の難しいケースを積極的に引き受けてきました。こうした経験を、糖尿病や腎臓病などの基礎疾患と合併したがんのケースにも生かせるように、合併症を持つがん患者さんをトータルで診療する「がん総合診療センター」を立ち上げました。当院は母子周産期や不妊治療なども行っていますが、お産のできる医療機関の少ない都心で役立てるよう、無痛分娩の開始も検討しています。最後に、院内では感染症の完全コントロールに努めているため、感染症に関しては心配されることなく安心して受診してください。

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杉山 温人 病院長

1981年東京大学医学部卒業。米国クレイトン大学アレルギー科留学、2012年国立国際医療研究センター病院呼吸器内科診療科長、2018年国立国際医療研究センター国府台病院長を経て、2019年4月国立国際医療研究センター病院長に就任。専門分野はアレルギー・気管支喘息、間質性肺疾患。日本内科学会総合内科専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。

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