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医療法人豊田会 刈谷豊田東病院

(愛知県 刈谷市)

小山 勝志 院長

最終更新日:2023/02/09

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急性期病院との連携で切れ目ない医療を

JR東海道本線・野田新町駅北口から住宅地を5分ほど歩くと見えてくる「刈谷豊田東病院」。病院の背後、南側は川と田園が広がるのどかな風景だ。敷地内にも緑が豊かなこの病院のコンセプトは「風と光」。病室は、温かみのある木製家具で統一され、ベッドは床ずれ対策にも配慮がされている。刈谷豊田総合病院の分院として、慢性期医療を担う療養病院ならではの取り組みは多い。「入院透析の強化や訪問看護ステーションとの連携など、変化していく高齢化社会に対応した医療を考えています」と話すのは、2022年4月に院長に就任したばかりの小山勝志先生。本院の腎臓内科部長として、分院である刈谷豊田東病院の透析センター立ち上げに関わってきた実績から、透析医療についての今後には、人一倍熱い想いを抱いている。「愛と光があふれた病院づくり」に意欲を燃やしている小山院長に、今後の取り組みやめざす病院像について存分に語ってもらった。(取材日2022年7月27日)

同じ医療法人の病院と緊密に連携されているそうですね。

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当院は、医療法人豊田会の慢性期医療を担当する病院として2000年に開設されました。豊田会は、「保健、医療、福祉分野で社会に貢献します」という理念を掲げ、急性期医療を担う「刈谷豊田総合病院」とその分院の「高浜豊田病院」、当院の3つの病院を運営しています。最大のメリットは、3つの病院がオンラインで結ばれているため、さまざまな情報や画像データが共有され、密接に連携できるようになっていることです。そのため、刈谷市、高浜市、知立市、東浦町といった地域医療圏の急性期から慢性期のシームレスな医療が提供できます。現在は、131床の療養病床と50床の障害者病床、17床の地域包括ケア病床の合計198の病床と54床の透析センターでの慢性期医療が中心ですが、超高齢社会の課題にも沿うべく、高齢者のニーズに合った医療の提供をめざしています。

シームレスな医療提供のための取り組みを教えてください。

患者さんの急性期医療が終了したら、主治医が慢性期医療の必要性を説明し行く先の病院と交渉をします。その後慢性期病院に送るという流れが従来のやり方です。しかしそれでは説明内容が一方向性で、患者さんの立場からすれば慢性期病院へ送り込まれたような感覚にもなるでしょう。入院時から病状に応じた退院後の計画を立てる入退院支援室が本院の刈谷豊田総合病院にはありますが、受け入れる側の当院でも今年の4月に入退院支援室を設置しました。患者さんをスムーズに移動させる機能を持つ入退院支援室があることで無駄な時間がなくなり、患者さんも家から近い病院で慢性期医療が受けられますし、双方の病院で同じ計画を共有することで、迅速で無駄のないシームレスな医療が提供できるのです。当院の入退院支援室はまだ立ち上げたばかりですが、私が本院の腎臓内科部長をしていたこともあって、透析患者さんについては切れ目ない医療提供が機能しています。

透析患者さんが多いこともこちらの病院の特徴だそうですね。

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豊田会では透析患者さんは、透析導入段階から今後受けられる医療サービスや転院先を明示する仕組みがあるため、話を聞いているだけでスムーズな流れのまま継続した医療が受けられるようになっています。こういったシームレスな透析医療に加え、入院透析体制も強化したいと思っています。シャントを作った後は患者さんも体力的につらい時期ですから、導入直後の約1ヵ月間は、入院して透析治療を受けていただくという体制です。現在、急性期病院で透析導入後の入院期間は11日間ですが、今後は1週間に短縮されることが決まっています。そうなれば、ますます導入後の入院透析が必要な患者さんも増えるでしょう。また、生活のサイクルに透析が組み込まれるわけですから、新しい生活に順応しなければならず、そういった心の対応も重要です。入院期間を利用して透析についての勉強をしていただき自己管理能力を高めていただくことで、維持透析が続けられます。

療養病院としての今後の課題について教えてください。

今後は、人生の終末期を迎える透析患者さんは増加傾向にあるため、透析と介護について考えていかなければいけません。在宅介護では、介護者が大変な時にはレスパイト入院をするのですが、ただ単に入院するだけでなく、そこにはACP(アドバンス・ケア・プランニング)が必要だと考えています。ガイドラインでは、終末期に患者さん自身が透析を中止する選択肢も認められるようになりました。とはいえ、生死に関わる選択ですから、そう簡単に決断できるものではないでしょう。今後は、ACPを組み込んだ入院や介護が柱になってきます。これは、透析医療だけでなくどんな病気でも同じで、介護に疲れたから、もう長く過ごせそうにはないからという理由で病院へ送るという感覚では、命の尊厳が削られてしまいます。ACPがあるからこそ家族としても看取りへと移行できるのではないでしょうか。

先生の診療ポリシーと地域の方々へのメッセージをお願いします。

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私自身、長年教育を担当していましたので、若い医師たちにも「医師だから偉いという考えは持つべきではない」といつも話していました。周囲に対しても、また医学の進歩に対しても謙虚でなければならないというのが診療ポリシーです。そして、院長となって3ヵ月ですが、今私がめざしているのは、「愛と光があふれた病院」です。スタッフが、この病院で働くことで成長していけるような自己実現の場としての病院づくりですね。自分自身が好きで、朝起きた時にはうきうきして職場へと向かえる、そういった人たちがつくり出す病院は、患者さんから見ても光輝いているし、愛があふれていると思います。日進月歩の医療や患者さんのニーズと医療の在り方は常に変化していきますが、職員は皆、研究熱心で、「どうしたら変化に対応しながら成長できるか」をいつも考えています。長い道のりかもしれませんが、地域の皆さんにも温かい目で見守っていただければと思います。

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小山 勝志 院長

1987年名古屋市立大学医学部卒業。名古屋第二赤十字病院の腎臓内科に8年間勤務。その後名古屋市立大学病院で4年間、助手として教育に携わる。2002年刈谷豊田総合病院に赴任後、腎臓内科部長として分院の刈谷豊田東病院透析センター立ち上げに尽力。2022年4月より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医。

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