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医療法人社団大和会 平成扇病院

(東京都 足立区)

矢野 諭 院長

最終更新日:2024/04/03

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心と体の両面から患者の回復を適切に支援

江北駅から徒歩5分。周囲には団地や戸建てが広がる住宅街にある「平成扇病院」は、回復期リハビリテーション病棟60床と医療療養病棟60床を持つ中規模病院だ。同院は急性期病院で治療を受けた患者を主な対象とし、自宅や介護施設などでの生活に戻れるよう「生活重視」のリハビリテーションに注力する。同院の矢野諭院長は「当院は精神科の常勤医師が在籍するリハビリテーション病院で、心と体の両面から患者さんをサポートできるのが特徴です」と話す。「精神疾患のある患者さんも積極的に受け入れることから、一般的に高齢の方が中心の回復期病棟でも当院は20〜30代の患者さんも目につきます。そうした患者さんへの心のケアも含めリハビリテーションを進めるよう留意しています」。また中長期の療養を目的とした医療療養病棟への入院でも、同院では自宅または施設に戻れるよう検討するなど「生活の場とは言えない病院より、本人のペースで暮らせる自宅や施設への復帰を重視したい」という矢野院長。そのリハビリテーションへの想い、地域医療に対する考え、同院の診療内容などを詳しく聞いた。(取材日2024年1月4日)

こちらはリハビリテーションを主体とした病院と伺いました。

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ええ、以前は精神科と内科が中心でしたが、2020年に回復期リハビリテーション病棟60床と医療療養病棟60床に変更し、急性期病院で病気やケガの治療を終えた患者さんをご紹介いただく診療体制になりました。当院で急性期後に必要な治療を行いながら、退院後にご自宅または施設などで暮らしていただく「在宅復帰」を目標に、体力や日常生活動作(ADL)の回復を図るリハビリテーションに力を入れています。一方、医療療養病棟は急性期病院のほか、回復期病院、在宅医療を行う医療機関などからのご紹介もあります。この病棟は一般的に中長期の療養が必要な患者さんを対象としますが、当院ではそうした方も在宅復帰を念頭に置き、ご家族の希望も踏まえてリハビリテーションを提供するのが特徴。加えて外来診療も行う精神科の医師が在籍していることで、体と心の両方の視点から患者さんの回復をサポートすることができます。

精神科があるリハビリテーション病院の強みは何でしょうか?

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一つには認知症の方、うつ病や発達障害など精神疾患のある方に対し、病気・ケガからの回復期リハビリテーションを適切に行えることです。このため当院の回復期病棟には、そうした20〜30代くらいの患者さんも多く入院されています。事故による下肢や骨盤の骨折、脊髄損傷などで、下肢の運動障害、排尿・排便障害を負ってしまったケースでは、入院中にカテーテルでの排尿や人工肛門による排便に慣れていただく必要も出てきます。当院では精神科の医師、公認心理師、社会福祉士などが患者さんに繰り返しアプローチして、このような状況が受け入れにくい方に対しても心理的なケアを含めてサポートすることが可能です。また、認知症の患者さんは内科の医師が診ることがほとんどですが、周辺症状が非常に重い方、薬の選択が難しい方などにも、精神科の医師のバックアップを受けながら適切に対応できる点はメリットだと思います。

回復期などのリハビリテーションの特徴を教えてください。

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理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーションの各専門職がそろい、医師、看護師、社会福祉士、薬剤師、管理栄養士とのチーム医療により、患者さんが退院された後の日常生活に必要な動作の回復に努めています。患者さん自身にも日常生活を意識していただくため、日中は普段着に着替えて、なるべくベッドから離れて生活されるように勧めています。加えて、回復期病棟、医療療養病棟を問わず在宅復帰をめざす中で、患者さんが口から食事ができることを重視し、口から食べ物を飲み込む力や適切な食形態を評価する嚥下造影検査も活用してリハビリテーションを行っています。このほか当院は外来や訪問でのリハビリテーションにも力を入れており、患者さんが退院された後も継続したリハビリテーションが可能です。訪問の場合は、患者さんがもっと暮らしやすくなるご家庭の環境・設備についてもアドバイスしています。

こちらには特定行為を行える看護師が在籍されているそうですね。

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はい。当院には、所定の研修を受けて医師が不在でも16の医療行為ができる看護師が在籍しており、当院では看護師のうち5人が該当します。医師による手順書をもとに気管カニューレの交換をはじめとした医療行為をタイムリーに行えるのはもちろんですが、私が彼らに期待するのは現在の標準的な処置を実践するガイド役になることです。16行為の中には向精神薬の臨時投与、感染症に対する薬物の臨時投与、床ずれのケアなど当院でのリハビリテーションに不可欠な内容も含まれ、特定行為が可能な看護師のサポートにより、さらに適切で安全な治療がめざせると期待しています。特に床ずれのケアは、壊死した組織の除去や早期の治療が見込める陰圧閉鎖療法などを看護師の発案で導入。現在はほかの病院から難治性の床ずれの患者さんを受け入れるまでになっています。

最後に地域の方にメッセージをお願いします。

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当院は「心と体に寄り添う医療を提供します」の理念のもと、外来に精神科とリハビリテーション科を開設して、精神症状の適切な診断・治療および体の障害に対する回復支援を行い、入院治療では急性期の治療を終えた患者さんへの回復期リハビリテーションを実践しています。精神疾患があり受け入れ先を探すのが難しいという患者さんも、当院なら精神科と回復期病棟で対応できますから、受診先としてご検討いただければと思います。

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矢野 諭 院長

1983年北海道大学医学部卒業後、同大学医学部外科学第二講座に入局し、消化器外科を専門とする。1993年医学博士号取得。NTT東日本札幌病院に勤務し外科医長・救急部医長も経験。その後、高齢者医療や慢性期医療に興味を持ち南小樽病院に勤務。同院では病院長も務める。2016年から現職。専門は老年内科。日本慢性期医療協会副会長。日本地域医療学会副理事長。東京大学医学部医学系研究科非常勤講師。

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