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東京女子医科大学病院

(東京都 新宿区)

板橋 道朗 病院長

最終更新日:2023/02/10

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至誠と愛の理念で患者に優しい医療をめざす

東京女子医科大学の理念「至誠と愛」のもと、110年もの長きにわたって同じ地で診療を続けてきた「東京女子医科大学大学病院」。多様な診療科に加え、三次救急を担う救命救急センターを備える同院では、地域が必要とする高度な医療と重病の救急患者に対応する救急医療を中心に診療を行う。2022年4月に就任した同院の板橋道朗病院長は、「体への負担が少ない低侵襲治療を多く取り入れ、高度医療にも尽力しています。患者さんは地域のお住まいの方だけでなく、全国各地から来られています」と話す。その中で、患者一人ひとりの話を詳しく聞き、それぞれの症状や希望に適した治療を提供することが同院の特徴だと言う板橋病院長。「加えて、母体である大学の『誠実であること』『慈しむ心で接する』の理念を生かし、患者さんに優しい医療をめざしています。そのためには、まず職員が生き生きと働ける環境づくりが大切。そうした病院の今後の方向性を提示するのも病院長の役目です」。そう語る板橋病院長に、診療に対する考えや同院の特徴などを詳しく聞いた。(取材日2022年12月9日)

この病院の特徴や診療に対する考えをお聞かせください。

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当院は多様な診療科それぞれが高度な専門医療の提供に努め、地域あるいは全国の医療機関からご紹介をいただく患者さんを診療する急性期病院です。その中でも、当院の母体となる東京女子医科大学の理念「至誠と愛」のもと、患者さんごとに適切と考える治療を行うことが特徴の一つといえます。たとえ同じ病気でも患者さんによって症状、年齢や体力は異なりますし、高齢になると治療する病気のほかにも糖尿病や心臓病など、複数の重い病気をお持ちの方も増えてきます。さらに退院後に予測される回復の過程やご家庭での生活、何よりご本人の希望などを考えると、先進的な手法とは違う治療のほうが適している可能性もあるからです。さまざまな要素をすり合わせ、患者さんにも納得いただける合理的な治療を提案・実践することは、「誠実であること」「慈しむ心で接する」という理念を体現するものと考えています。

診療面での強みなどを教えてください。

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診療科ごとに強みはありますが、病気や臓器別に診療科を越えて密接に連携する診療体制も当院の強みの一つです。例えばがん治療には、がん専門の部門を設け、肝臓・胆道・膵臓も含む消化器全般と呼吸器、泌尿器、乳腺に対応し、各科の医師と、放射線治療、化学療法などのがん治療のエキスパートが連携しています。特に女性の乳がんは乳房温存のご希望も多いため、乳腺外科が整容性を重視しながら体への負担が少ない低侵襲な治療をご提示し、放射線科で再発を防ぐ放射線治療を行うほか、必要に応じて形成外科による乳房再建手術もご提供できます。加えて、神経精神科の医師が中心となって患者さんのメンタルサポートも行います。設備面では、手術室内に設置したMRIで手術中も臓器の位置をリアルタイムに確認しながら、ナビゲーションシステムで精度の高い手術が期待できるインテリジェント手術室(ハイパースコット手術室)など、先進的な設備を備えています。

患者の受け入れでは、地域とどう連携されていますか?

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地域の先生方との連絡や患者さんの入退院支援を行う、医療連携・入退院支援部が地域連携の窓口です。ご紹介のあった患者さんは、入院前から退院後の見込みを検討。元の生活に戻るまでに時間がかかりそうな場合は、当院での治療を終えてからの転院先を探し、ご本人やご家族にもこうした見込みを納得いただいて治療に入っています。さらに入院後の流れを事前にご説明するために、手術前後の処置やリハビリテーション、食事、入浴といった標準的な予定を日ごとに示したクリニカルパスも充実。すでに多くの病気で作成済みで、患者さんは入院後の流れがわかるため、安心して入院していただけるのではないでしょうか。また、専門化・細分化した個別の診療科ではすぐに診断がつかない症状もあり、患者さんや地域の先生方は困っておられます。当院の総合診療部門では、経験豊富な医師が多角的に患者さんを診る中で、診断がつけば専門の診療科に引き継ぐこともできます。

先生ご自身はどんな専門性をお持ちでしょうか。

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私は消化器外科、中でも大腸がんや指定難病の炎症性腸疾患を専門としています。救急科の医師をめざして東京女子医科大学の外科分野に入局後、生涯の恩師といえる先生と出会い、現在の大腸分野を歩むことになりました。当院での大腸がんの治療は内科をはじめ多様な診療科が連携し、外科ではロボット支援手術、腹腔鏡による手術を中心としています。炎症性腸疾患は薬物治療を行う内科と協力しながら、腹腔鏡による低侵襲の手術を実施しています。どちらの病気もストーマ(人工肛門)の造設が必要なケースも多いのですが、私はなるべくストーマをつくらない治療の研究にも力を入れています。加えて、ストーマを快適に使うためのリハビリテーションなど造設後の排泄問題にも対応し、患者さんの生活の質を向上させる取り組みも進めています。このほか、病院長就任前は医療連携やクリニカルパスの担当も経験し、あらためて地域医療との関わりの大切さを実感しました。

これからの病院運営についての考えをお聞かせください。

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患者さんの声に真摯に耳を傾け、一人ひとりに合った治療をご提供することが、当院の診療の基本と私は考えています。そのためにも患者さんは遠慮せず痛みやご不安を話していただきたいですし、私たちも診断や治療の内容をわかりやすく説明する必要があります。クリニカルパスの充実はそうした方策の一つで、今後は来院される前の患者さんにも正確な医療情報、標準的な治療内容をお伝えしたいとの思いから、病院のホームページでは医師が治療について語る動画の掲載をスタートさせました。また、私は以前から各部署の職員に声をかけて、「患者さんを自分の家族だと思って接してほしい」と話していますが、そうした気持ちを持てるのは職員が生き生きと働いていればこそ。今後はさらに職員が働く環境に目を配り、私が率先して行動に示すことで、相手を叱るだけでなく、許したり褒めたりする雰囲気を醸成していけたらと考えています。

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板橋 道朗 病院長

1984年北里大学医学部卒業。在学中に救急医療を志望し、東京女子医科大学の外科分野に入局。その後、恩師との出会いから消化器外科に進む。専門は炎症性腸疾患、大腸がんをはじめ消化器・一般外科、内視鏡外科。がんセンター長、クリニカルパス推進室長、医療連携・入退院支援部運営部長、地域連携室室長なども務め、2022年4月から現職。炎症性腸疾患の研究や大腸がん治療ガイドラインの編集などにも携わる。

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