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地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター

(神奈川県 横浜市南区)

黒田 達夫 総長

最終更新日:2024/03/27

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医療・福祉両面から子どもの笑顔をサポート

横浜市南区六ツ川にある、「神奈川県立こども医療センター」。京急本線の上大岡駅・弘明寺駅や、JR横須賀線の東戸塚駅・戸塚駅などからのバス便も豊富な同センターは、専門病院に肢体不⾃由児施設および重症⼼⾝障害児施設を併設。難病・重症・慢性疾患などの小児や、出産リスクが高い妊婦を対象として、 専門性の高い医療や福祉を提供している。「こどもの健康の回復及び増進と福祉の向上のため、最善の医療を提供」を理念に三次救急患者を受け入れ、県内小児医療において重要な役割を担う。2023年4月にその総長に就任したのが、黒田達夫先生。長く国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)で小児外科診療に携わり、慶應義塾大学医学部の客員教授も務める。「病気を診るだけでなく、家族を大切に、子どもたちを取り巻く療養環境をつくっていくのがわれわれの使命」と語る黒田総長に、同センターの特徴や医療安全への取り組み、展望などについて話を聞いた。(取材日2023年12月20日)

センターの概要を教えてください。

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子どものための医療・福祉・教育を一体的に提供している小児専門の総合医療施設です。430床の病床と内科系、外科系、周産期に心の領域までを網羅する30の診療科を擁し、県内はもちろん全国から子どもたちを迎えています。小児の先天性異常や難治性疾患に対して高度・専門医療を提供するほか、肢体不⾃由児施設「つばさの木」と重症⼼⾝障害児施設「ひだまり」の2つの医療型障害児入所施設を併設し、レスパイトケアなどを含めて医療的ケアを必要とする患者を積極的に受け入れ。小児がん拠点病院や総合周産期母子医療センター、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院としての役割を担いながら、他職種の専門家が協働するチーム医療で多様化・複雑化するニーズに応えています。一人の医師だけでなく、複数の視点から患者を診ることで、合併症の発見や、さらに高いレベルでの医療安全実践にもつながると考えています。

他の医療機関からの紹介により受診されるケースが多いとか。

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より高度な医療を必要とするお子さんが、他の医療機関から紹介されてきます。そうした患者さんの受け入れ窓口として地域医療連携室を設けています。部門を設けて情報を一元化することで手続きを効率化し、情報伝達の密度を向上させるためです。また、退院・在宅支援室では、高度医療ケアを持って退院し、地域での療養をスタートされるお子さんとご家族を、センター内外の各組織や職種とつなぐサポートを行っています。入院前から退院後の生活に至るまでの不安や心配事を伺い、必要に応じて地域で療養を支えてくださる医療者や行政などと連携しながら、自宅を訪問するなどし、療育環境を整えるお手伝いをします。小児分野においても在宅医療の役割は強まっており、こうした支援のニーズは高まりが予測されます。専門部門を設けてノウハウを蓄積し、医療的ケア児とご家族が安全に安心して地域で楽しく生活できる環境をつくっていければと思います。

その他、診療面での特徴を教えていただけますか。

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循環器内科と心臓血管外科で協働し、超音波を用いての胎児期からの検査・診断、手術までの治療の提供をしております。また、小児がん拠点病院の一つとして病院全体で小児がんに取り組んでおり、特に小児脳腫瘍の分野については、周辺地域で対応する医療機関が少ないため、多くの方に来院いただいております。さらに、少子化の進行とともに患者の集約化が進んでいる外科領域でも、小児専門の医師がそろう病院として大きな役割を担っています。近年では、染色体異常や先天異常症候群などの遺伝性疾患に対し、各診療科や検査部門、研究所、福祉部門が連携して対応するメディカルゲノムセンターを立ち上げて積極的に取り組んでいます。総合周産期医療センターにはNICUとGCUをそれぞれ27床と、母性病棟24床、母体・胎児集中治療室(MFICU)に6床を擁して、広く神奈川県全域からの要請にお応えすることをめざしています。

ホスピタリティー面での取り組みにも積極的ですね。

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病と闘う子どもたちの心の負担を軽減する取り組みの一つとして、ファシリティドッグがあります。国際基準でのトレーニングを受けた犬が医療従事者でもあるハンドラーとともに常勤し、子どもたちの入院・治療に寄り添います。現在は2代目のゴールデン・レトリーバー「アニー」が、注射や投薬、手術など本人にとって気の進まない処置を受ける際に応援したり、きょうだいや家族のケアをしたりと活躍しています。また、ご家族向けの宿泊施設や季節ごとの院内装飾や図書イベントなどを手がけていただいている病院ボランティアの皆さんなど、多くの方に支えていただいているのも当センターの特徴です。子どもたちへの「あなたの『げんき』と『えがお』のためにみんなでちからをあわせます」の誓いのもと、職員はもちろん地域ボランティアの皆さんと力を合わせて運営されているのが当センターなのです。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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新型コロナウイルス感染症拡大を受け、皆さんの受療行動に変化を感じています。同時に社会のIT化が一挙に進み、医療分野も例外ではありません。神奈川県でも推し進められているDX化を当センターとしても推進し、効率的により良い医療を提供していければと思っています。神奈川県では横浜市、川崎市、相模原市といった政令指定都市を中心に救急ネットワークが熱意を持って構築されており、各大学病院でも全国区レベルでの取り組みが行われています。そうした取り組みとも連携しながら、ニーズに応える救急体制の構築と高度医療の実践、加えて災害や新興感染症の懸念への対応などの課題に、行政とともに取り組んでいきたいと思います。医療事故によりご心配をおかけすることもありましたが、県内小児医療の最後の砦としての自負とともに日々取り組んでいます。未来を背負う子どもたちの健やかな暮らしを、一緒に守っていきましょう。

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黒田 達夫 総長

1982年慶應義塾大学医学部卒業後、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院などで研鑽。1992年国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)入職、2000年同病院外科医長就任。2011年慶應義塾大学医学部外科学(小児)教授。2023年4月より地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター総長に。母の故郷が二宮町であり、神奈川県には大きな思いを持つ。

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