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高月病院

(東京都 八王子市)

長瀬 幸弘 病院長

最終更新日:2022/11/30

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自然治癒力を大切にした精神科医療を実践

1963年に八王子市の郊外に設立された精神科の専門病院「高月病院」では、統合失調症や気分障害、アルコール依存症、認知症など幅広い精神疾患に対応している。約2万坪の広大な敷地には9棟の病棟とグラウンド、体育館、農園があり、緑豊かな自然の中で、機能回復や機能維持のための治療やリハビリテーションが行われている。患者が退院し地域に出た後に自立した生活ができることを目標に患者の持つ自然治癒力を大切にした医療を実践。入院治療においては、医師や看護師、ケースワーカーなど多職種の評価による適切なタイミングでの退院によって、患者が安定した社会生活を送れるように後押ししている。「何かの縁があって当院を受診し出会えた患者さんやご家族と、ともに喜び、つらいときには力になりたい」と穏やかな笑顔で話す長瀬幸弘院長に、病院での取り組みについて聞いた。(取材日2021年12月9日)

貴院の特徴を教えてください。

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当院では患者さんの持つ自然治癒力を大切にしており、患者さんが社会に出て自立できるくらい良くなるまで入院していただくようにしています。少し落ち着いたからすぐに退院するのではなく、地域の資源を活用してある程度ご自身の力で生活するための準備ができるまで入院をしていただくことが大事だと思っています。当院では、統合失調症、気分障害、認知症、人格障害、アルコール依存症など多岐にわたる病気に対応していますが、何か1つに特化することなく、多様な精神疾患に対してきちんとケアすることが前提になります。せっかくいらしていただいたのですから、検査、カウンセリング、薬物治療など幅広く提供できるような体制で診療を行っています。

広大な敷地の中、リハビリにも力を入れていると聞きました。

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この土地のメリットは緑が多く空気がおいしいということです。われわれも生き物であり自然の一部です。緑豊かな自然の中で過ごすことで、自然治癒力を引き出していければと思っています。作業療法では患者さんの能力の回復や向上をめざして、作業療法士によるスポーツやレクリエーションなどさまざまなプログラムを行っています。また、アルコール依存症の方向けの3ヵ月間のプログラムでは、アルコールの問題を抱えた患者さんご自身の意思で受けていただくことを基本に、なるべく脱落しないで最後までやり遂げることを目標にしてコメディカルと一緒に進めています。アルコール依存症をはじめ精神疾患は入院すれば治るのではなく、回復にはご本人の意思が何よりも重要です。ご本人のモチベーションが低い場合には入院を見送ることもありますが、どこかできちんと治療を受けるため一念発起していただくようにお声をかけるようにしています。

自然治癒力を引き出すために心がけていることはありますか?

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患者さんはとにかくいろいろな問題や症状を抱えていて、通常の社会生活が送れない状態で入院されています。それをケアして待つということを大切にしています。人間は待つことが苦手な生き物ですが、精神疾患には薬も必要ですが時間も必要です。患者さんとともに待てるか、その時間をどう過ごすかに入院医療の非常に重要な役割があります。今は入院を長くさせることを良しとしない風潮がありますが、体の傷と同じで患者さんには時間が必要です。待っている間にもできることはあります。そこをどう工夫をするかですね。病棟でのんびり過ごす時間が割と大事だったりするわけです。きちんといろいろな準備が整ってこれならOKと各方面が判断した上で退院しないと結局は再入院ということになってしまいます。十分に準備したつもりでもすぐに再入院となることもあるので、必要な時間をかけて、退院の時期を慎重に決めるようにしています。

心理的サポートや退院後のサポートはいかがでしょうか?

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当院では、臨床心理士による心理検査で、心理的傾向、知能の問題のほか、最近は自閉症スペクトラムも含む発達障害の方も多いので、性格的・能力的にどのような偏りがあるのかを見極め、医師、看護師、ケースワーカーなど多職種でケアできる体制を整えています。退院後にどういった地域生活を営むかということにも目を配っていて、訪問看護やデイケアへの参加を通じて経過を見守っていきます。デイケアへの参加は機能回復や機能維持のためだけではなく、週に何回か参加するという約束事を守れているかどうかで、社会生活を送る能力の評価にもなります。このように患者さんの退院後の生活にプラスになるような取り組みを加えながら、多方面からサポートすることで再入院のリスクの低減をめざしています。地域にサポートしてくれる誰かがいるということは、患者さんに安心感を与えると同時に医療を提供するわれわれの安心にもつながるのです。

最後に今後の展望についてお話しください。

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われわれは患者さんが退院後、経済的にも自立できるようにするにはどうすればよいかまでをきちんと考えていかなければなりません。地域にはさまざまな支援がありますがやはりご家族が中心になることが多く、ご家族が仕事をセーブしてケアにあたったり、ケアの負担から体調を崩して働けなくなったりすることもあります。そうなると本当に退院させてよかったのかということになってしまいます。しかしわれわれの使命はやはり患者さんに良くなっていただいて社会生活を送っていただくことです。患者さんが将来困らないように、人の手を極力借りずに社会的に自立できる道筋を立てることが精神科病院の責務です。現在、日本は人口が減る一方で精神疾患のある患者さんは増えています。そういった現実を念頭に置き、ご家族や支援者をサポートし、患者さんが退院してももとの生活が壊れないようにするのも大切な役目だと思っています。

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長瀬 幸弘 病院長

日本大学医学部卒業後、東京医科歯科大学精神科に入局。川崎市にある栗田病院での勤務を経て、2005年4月より高月病院で勤務。2021年4月より現職。日々の診療で大切にするのは患者との「縁」。何かの縁あって受診してくれた人が喜んでいるときはともに喜び、窮地に立たされたときはできる限りのことをするという姿勢に尽きると語る。

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