チーム医療で幅広い患者に対応する
消化器がん治療
地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立多摩北部医療センター
(東京都 東村山市)
最終更新日:2021/11/30


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日本人の2人に1人が罹患するがんの中でも、特にかかる人が多い大腸がんと胃がんを含め、消化器領域にはさまざまながんがある。「公益財団法人東京都保健医療公社 多摩北部医療センター」では長年、消化器内科と消化器外科がタッグを組んでチーム医療を行ってきたが、2021年、消化器病センターが発足し、より充実したがん治療を提供している。そこで今回は、消化器領域におけるがん治療について、消化器内科部長の柴田喜明先生と、消化器外科医長の高橋豊先生に話を聞いた。(取材日2021年3月26日)
目次
内視鏡や腹腔鏡を用いた高度で低侵襲のがん治療を推進
- Q消化器領域のがん治療の特徴について教えてください。
- A
消化器内科部長の柴田先生
【柴田先生】消化器の病気は、消化器内科と消化器外科が合同で手術を行うケースもあり、内科と外科の垣根が低いのが特徴で、当院においても両科がチームのように協力して診療してきました。2021年4月には消化器病センターが正式に発足し、消化器領域の相談窓口を統一。地域の開業医の先生方が患者さんを当院にご紹介くださる場合、内科と外科で迷う場合もあったと思いますが、今後はスムーズなご相談が可能となります。外科と内科両方の対応が必要な場合も、別々に予約を取る必要はありません。消化器病センターでは、上下部消化管、肝臓・胆嚢・膵臓疾患の各分野が専門の医師が在籍し、 消化器領域全般に対応可能な体制となっています。
- Qがん治療における消化器内科の強みを教えてください。
- A
がんの早期発見に努めている
【柴田先生】低侵襲の内視鏡を用いた診断と治療が強みです。胃や大腸の検査、ポリープ切除はもちろん、大型の病変も一気に切除できるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)も対応可能です。特に病変が小さいうちは発見しづらいとされる膵臓がんに関しても、約1cmと小さい病変で発見可能な超音波内視鏡を活用。病理部と連携して早期発見に努めています。この地域では超音波内視鏡で検査できるところが少ないので、今後も力を入れていきたいです。さらに、内視鏡を使って胆管・膵管の詳細なエックス線検査を行うERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)も得意としています。これによって肝胆膵がんの早期発見・早期治療が可能になりました。
- Q消化器外科の特徴や強みを教えてください。
- A
消化器外科医長の高橋先生
【高橋先生】消化器疾患の中で肝臓・胆嚢・膵臓の領域は診断には専門の知識が必要ですが、私自身が肝胆膵領域を専門としており、開業医の先生方も、判断に迷われたら当科にご紹介いただけたらと思います。当科で手術の症例数が最も多いのは大腸がんで、その80%が腹腔鏡による手術です。また、当院の前身が「東京都多摩老人医療センター」であるため高齢者医療に強いのも特徴で、80歳以上の方への手術も数多く行っています。高齢で手術が難しい場合は、肝臓がんに対してはカテーテル治療やラジオ波焼灼術などの手術以外の治療法もご提案できます。胃がんを専門とする医師もおり、患者さんに安心して受診していただける環境を整えています。
- Qどのようながんに対応できますか?
- A
専門の医師や経験豊富な医師が治療に対応している
【高橋先生】当院では、診断がついていない段階でも連携医療機関から患者さんを受け入れており、中でもクリニックからの紹介が多いです。腸閉塞、下血、貧血などの症状があって検査をすると、がんが見つかるケースは多いものです。当院では、特に早期発見が大事とされる肝臓がん(肝がん)、胆道がん、膵臓がん(膵がん)に関しても、超音波内視鏡検査などの特殊な検査を行うことができます。手術を行う医師も、肝臓・胆嚢・膵臓の各分野を専門とする医師や、腹腔鏡手術の経験が豊富な医師がおりますので、がん手術の中でも高難度とされる手術に対応できます。手術だけでなく術前・術後の化学療法も積極的に取り入れています。

柴田 喜明 消化器内科部長
1994年福島県立医科大学卒業。消化器内科全般を専門に、胆膵Interventional EUSおよびEUS-FNA、ERCP関連治療手技などの胆膵内視鏡、肝がんラジオ波焼灼療法(RFA)を得意とする。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本内科学会総合内科専門医。