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血管内焼灼術と血管内塞栓術の
両方に対応する下肢静脈瘤の治療

医療法人徳洲会 成田富里徳洲会病院

(千葉県 富里市)

最終更新日:2024/03/01

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  • 保険診療
  • 下肢静脈瘤

足の血管が浮き出てきてしまうほか、足のむくみやだるさ、つるなど、不快な症状が出るのが下肢静脈瘤。命に関わるようなことはないものの、QOLを低下させる厄介な病気だ。そんな下肢静脈瘤に対して「体に負担の少ない治療法で対応しています」と話すのが、「成田富里徳洲会病院」の外科医長で、下肢静脈瘤の治療を得意としている久米菜央(くめ・なお)先生。同院では、弾性ストッキングによる治療から、血管内焼灼術や先進の血管内塞栓術までに対応することで、下肢静脈瘤の患者をそのつらい症状から解放することをめざしているという。そこで、同院が取り組む下肢静脈瘤の治療について、久米先生に詳しく教えてもらった。(取材日2024年1月15日)

下肢静脈瘤に対し、複数の選択肢の中から患者に適した方法での治療をめざす

Q下肢静脈瘤とはどのような病気で、どのような症状がありますか?

A

下肢静脈瘤の原因や症状について語る久米先生

足の静脈は、血液を心臓に戻すための血管です。しかし、特に立っている状態では重力によって血液が下方向に流れてしまうことから、それを防ぐために弁がついています。その弁が壊れてしまい、足の静脈を流れる血液が逆流したり滞留したりして、足の表面の血管が浮き出てきてしまうのが下肢静脈瘤です。症状で一番わかりやすいのは、足の表面の血管が螺旋状のように浮き出て、ぼこぼことこぶができているようになること。他に、足がむくみやすい、だるい、つりやすいといった症状の原因が、下肢静脈瘤であることも少なくありません。また、進行すると色素沈着や皮膚潰瘍の原因にもなります。命には関わりませんが、QOLを低下させる病気です。

Qどのような人がなりやすいのでしょうか?

A

農業に従事している方や看護師、美容師、調理師、販売員など、立っている時間が長い仕事をしている人がなりやすいといわれています。その中でも女性に多く、妊娠や出産をきっかけになる人もいます。また、遺伝も関係するとされています。年齢的には、比較的若い人でももちろんなりますが、60歳以上など年齢が高くなるにつれて多くなります。下肢静脈瘤が疑われる場合には、診察で目視で確認するほか、足に超音波を当てて、血液の滞留や血管が太くなっていないかなどの検査をして診断します。当院では、基本的に初診の日に超音波による下肢血管エコー検査が行え、診断まで可能です。足に不快な症状がある場合は、速やかな受診をお勧めします。

Q下肢静脈瘤は、どのように治療をするのですか?

A

血管内治療の様子

まずは、弾性ストッキングによる圧迫療法を行います。静脈内の血液の逆流を防ぐため、圧迫力の強いストッキングを着用してもらいます。弾性ストッキングで症状が改善しない場合には、血管内治療を検討します。当院では、弁が壊れてしまった足の静脈を、血管内からレーザー(ラジオ波)で焼いてふさぐための血管内焼灼術と、医療用の接着剤で血管をふさぐことを図る血管内塞栓術の、2種類の治療に対応しています。以前は、静脈を抜く手術を行っており、痛みも強かったのですが、血管内治療は侵襲も少なく、日帰りで受けることが可能です。両方とも、健康保険で受けることができます。

Q血管内焼灼術と血管内塞栓術のメリットやデメリットは?

A

清潔で広々とした手術室

血管内焼灼術は以前から行われており、症例実績が多いぶん豊富な知見を生かした手術が可能で、合併症のリスクも少ないのが特徴です。しかし、血管の中を焼きますので、手術時は血管の周辺に麻酔をします。その麻酔時に若干の痛みを感じたり、腫れたりすることがあります。また、手術後には弾性ストッキングを着用する必要があります。一方、血管内塞栓術は血管内焼灼術のように麻酔をする必要がなく、治療後に弾性ストッキングを着用する必要もないのがメリットだと思います。ただ、治療に使用する医療用接着剤にアレルギーがある人が一定の確率でいます。その場合には他の治療法にするか、アレルギーの薬を服用する必要があります。

Q治療後の生活について教えてください 。

A

患者一人ひとりの状況に合わせて治療を行っている

下肢静脈瘤は手術を行うことで完治をめざしますが、手術で治療した以外の血管が下肢静脈瘤になってしまう可能性はあります。先ほどもお話ししたように下肢静脈瘤は、長時間の立ち仕事など日常生活が多分に影響します。そのような仕事をしている場合には、再発防止のために、普段から弾性ストッキングを着用することをお勧めします。加えて、日頃から足をよく動かす、長時間立ちっぱなしにならないように気をつける、足をマッサージするなどして、再発しにくい生活を心がけましょう。また当院では、弾性ストッキングによる圧迫療法に詳しい医師や看護師が、弾性ストッキングの選び方や正しい着用の仕方、足のマッサージ方法の指導も行っています。

患者さんへのメッセージ

久米 菜央 外科医長

2012年北海道大学卒業。湘南鎌倉総合病院での初期研修後は湘南外科グループに所属。新東京病院心臓血管外科などを経て2022年より現職。日本外科学会外科専門医、日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医。専門は血管外科。

下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、QOLをかなり低下させる病気です。実際に、足のだるさや痛み、よくつってしまうなどで、夜によく眠れないことや、夕方になるにつれてだんだんと症状がつらくなってくる人も少なからずいると思います。下肢静脈瘤に対し当院では、弾性ストッキングによる治療をはじめ、血管内焼灼術と先進の血管内塞栓術の両方に対応。それぞれのメリットやデメリットもしっかり説明し、患者さんの希望する方法で治療を行っています。あまり怖くなく、痛みも少ない検査と治療で下肢静脈瘤を改善することがめざせますので、気になる症状があるときには我慢せず、気軽にご相談に来ていただければと思っています。

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