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医療法人 三星会 かわさき記念病院

(神奈川県 川崎市宮前区)

長濱 康弘 院長

最終更新日:2025/07/01

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認知症に特化し、一貫した医療とケアを提供

「老い」は、誰のもとにも平等に訪れる。加齢とともに有病率が高くなる病気は、決して他人事ではない。中でも認知症は、近い将来「5人に1人が認知症になる」と予測されるほど患者が増加している疾患だ。新薬の登場は福音だが、投与できる条件は限定的であり、進行段階に応じた適切な医療とケアが欠かせない。「かわさき記念病院」は、社会問題になりつつある認知症患者とその家族を支えるため、鑑別診断から外来、入院治療、退院後のフォローまで、認知症患者に一貫した医療を提供することを目的として2014年に開院した病院だ。「患者さんの尊厳を守り、希望を持って暮らせるよう支えていきたい」と話す長濱康弘院長に、病院の特徴や地域への思いなどについて聞いた。(取材日2025年5月21日)

認知症に特化した病院だそうですね。特徴を教えてください。

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認知症患者さんのための病院として2014年に開院しました。軽度の認知障害の方にも気軽に受診していただけるよう、2024年4月からは「ブレインチェックの外来」も開始しています。病院の最大の特徴は、鑑別診断から外来、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)がある場合の入院治療、さらには退院後のフォローまで一貫して診療できることですね。脳神経内科の医師3人、精神科の医師6人が在籍していますが、診療科に関わらず全員が認知症のトータルケアを担っています。認知症は精神的な周辺症状を伴うことが多いため、脳神経内科の視点と精神科の視点の両方で診ることが大切。しかし、それができる病院はあまりありません。脳神経内科の外来で診ていた患者さんにBPSDが出た場合、他の病院に任せざるを得ず、そこで関係性が途切れてしまうことが多いのです。私自身もどかしい思いをした経験がありますから、当院の体制は理想的だと思っています。

先生は、長く認知症医療に関わられていると聞きました。

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もともと、脳神経内科の医師としてパーキンソン病や進行性核上性まひなどの神経変性疾患の診療に携わる中で、大脳の機能に興味を持っていたんです。それがきっかけで滋賀県立成人病センター(現・滋賀県立総合病院)の認知症診療科から声がかかり、15年間勤務しました。当時、認知症は脳神経内科でも精神科でもあまり重視されておらず、神経内科の医師でも専門的に診療する人はまれだったんですよ。しかし、私は認知症医療にやりがいと必要性を強く感じて、診療の傍らレビー小体型認知症についての論文も発表しました。その論文をきっかけにレビー小体型認知症の研究会を主催していた先生と出会い、私の理想だった一貫性のある認知症医療を実践する病院として当院に誘っていただいたのです。2025年の4月から院長になりましたが、この10年で積み上げてきた地域の信頼をさらに高められるよう、仲間とともに引き続き力を尽くしていきたいです。

信頼できるメンバーがいるのは心強いですね。

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認知症診療では、さまざまな専門職が有機的に連携して一人の患者さんを診ることが重要です。前院長の時代から各部署のコミュニケーションに力を入れ、顔の見える関係づくりを重視してきたかいがあって、志を同じくする仲間がそろいました。日々のケアは看護師や病棟スタッフ、リハビリテーションはリハビリテーション部、栄養面は栄養士というように、それぞれが自分の持ち場でしっかりと役割を果たしてくれています。看護師のスキルアップにも力を入れ、院内勉強会や指導を通じて専門的なケアを提供できるよう取り組んでいます。認知症患者さんは不安感が強いため、少人数のユニットで共同生活をするユニットケアでなじみの関係を築き、安心できる環境をつくれることもありがたいですね。スタッフのケアによって「自分はここにいていいんだ」「ここがいるべき場所だ」と認識し、BPSD の改善につながる患者さんも少なくないのではないかと思っています。

地域における役割について教えてください。

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開院以来、患者さんやご家族はもちろん、働く医師やスタッフにも「ここで良かった」と思ってもらえる温かい病院として地域に貢献できる存在をめざしてきました。日々の積み重ねの結果、認知症疾患医療センターに指定され、地域のネットワークの拠点として活動しています。また、2024年から、若年性認知症支援コーディネーター業務もお引き受けすることになりました。認知症というと年齢とともに発症リスクが高まるイメージが強いですが、若い方でも発症する可能性があることを知っていただき、少しでも不安があれば早めにご相談いただきたいと思います。冒頭でお話ししたブレインチェックの外来を含め、地域の皆さんの早期発見・早期治療を促進できるよう力を尽くしてまいります。

最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか。

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先代院長とともに10年かけてつくり上げてきた組織をより充実させ、認知症の特性を真に理解して必要な医療とケアを提供できる人材を増やしていきたいですね。私が認知症を患う方と接する際に最も大切にしているのは、患者さんを一人の人として尊重し、尊厳を守るということ。いわゆる「パーソン・センタード・ケア」です。認知症の方はできないことが多いですが、だからといって何もわからなくなるわけではありません。赤ちゃんのように扱ったり、適当にあしらったりすると、患者さんの心を傷つけ、状態を悪化させることもあります。患者さんと対等な関係を築きつつ、状態に合った適切な医療とケアで患者さんとご家族の問題を解決し、安定した生活を送れるようサポートしていける病院でありたいと思います。

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長濱 康弘 院長

1990年京都大学医学部卒業、1997年医学博士号取得。2000年から15年にわたり、滋賀県立成人病センター老年内科で認知症診療に従事。「認知症は身体面と精神面の両方から診療する必要がある」と常々考えていたところ、理想に合致する医療を実践するかわさき記念病院との出会いがあり、診療部長として赴任。副院長、認知症疾患医療センター長を経て2025年より現職。日本神経学会神経内科専門医。

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