医療法人志匠会 品川志匠会病院
(東京都 品川区)
光山 哲滝 院長
最終更新日:2024/08/01
脊椎脊髄疾患専門病院として地域医療に貢献
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など脊椎脊髄疾患の専門病院として、2013年11月に開院した「品川志匠会病院」。この領域のエキスパートである整形外科、脳神経外科の医師のほか、看護師や理学理療法士・作業療法士、放射線技師などのコメディカルスタッフもそろっており、質の高いチーム医療で診断から治療・手術・術後のリハビリテーションまで一貫した診療を行っている。2022年から院長を務める光山哲滝先生は、脳神経外科の医師としてキャリアをスタートし、2005年頃から脊椎脊髄疾患の手術にも従事。「患者をよく見て、話をしっかり聞く」ことを信条に、一人ひとりの病状や希望に合わせた診療を心がけている。手術の実績が豊富な同院だが、まずは保存的治療を行い改善が見られない場合に手術を提案するのが基本方針で、紹介状や予約なしでの受診も可能。忙しい人も受診しやすいよう土曜の午後も診療している。「首や腰の痛み、手足のしびれなど気になる症状があれば、気軽に相談していただきたいですね」と話す光山院長に、診療の特徴を詳しく聞いた。(取材日2024年6月21日)
病院の特徴と地域の中での役割を教えてください。
当院は2013年11月に北品川で開院した脊椎脊髄疾患の専門病院です。脊椎脊髄疾患とは、背骨(脊椎)と背骨の中を通る脊髄や脊髄神経に起こる病気で、狭窄症や椎間板ヘルニアなどの変性疾患のほか、腫瘍や外傷など多様な疾患があります。当院にはこの分野のエキスパートである整形外科、脳神経外科の医師が複数在籍し、脊椎脊髄疾患に幅広く対応しています。また、看護師や理学療法士・作業療法士、放射線技師など医師以外のコメディカルにも経験豊富なスタッフがそろっており、多職種によるチーム医療を実践し、質の高い医療の提供に努めています。患者さまは品川区や目黒区などの城南地区を中心に、東京都内や関東近県、中には遠方から来院される方もおられます。当院では紹介や予約がない患者さまも随時受け入れており、基本的には受診当日にMRIなど必要な検査を実施、その日のうちに診断と治療方針をお伝えしています。
手術治療の実績が豊富と伺っています。
はい。開院以来、約1万3000件以上の手術に対応してきました(2013年11月〜2023年12月時点)。そのうち、頸椎椎間板ヘルニアや頸椎症性脊髄症、頸椎症性神経根症などの頸椎手術が約3割を占めています。また、特定疾患に指定されている後縦靱帯骨化症や、成人脊柱変形に対する手術も多いことが当院の特徴だと思います。成人脊柱変形に対する矯正固定手術は侵襲が大きく、合併症のリスクもありますが、手術によって脊柱変形の改善を図ることで日常生活動作や生活の質の向上が期待できることから、近年ニーズが高まっています。当院では、術中の安全確保のため、常勤の麻酔科の医師とともに術前後の全身管理を行っています。また、糖尿病や心臓病などの基礎疾患を持つ患者さまの場合は、かかりつけ医の先生方に治療方針を相談するなど連携しながら手術にあたっています。
安全な手術を行うための取り組みについて教えてください。
「術中ナビゲーションシステム」を導入し、例えば成人脊柱変形の矯正固定術で用いるスクリューの挿入位置を適切に把握するなど、手術の安全性向上に努めています。また、神経障害を回避するために、術中に電気刺激を送り手足の動きを確認する「術中脊髄神経機能モニタリング」も行っています。さらに、内視鏡下・顕微鏡下での手術など、低侵襲手術にも積極的に取り組んでいます。良いものであれば新しい機器・手技を積極的に導入していますが、安全性・確実性を最優先に考えており、当院では基本的に保険適用となっている確立された手術法のみを実施しています。また、骨や運動器に詳しい整形外科と、神経に詳しい脳神経外科の医師が、それぞれの得意分野を生かしながら協働で手術治療を提供している点は、当グループの強みと考えています。
志匠会グループ内での連携についても教えてください。
当院の運営母体である「医療法人志匠会」は、当院を含め脊椎精髄疾患の専門病院を3院開設しています。週1回開催しているオンラインでの合同カンファレンスでは、各病院の症例を医師全員で検討し、方針を統一して治療・手術にあたっています。さらに、論文の抄読会を行うなど、質の高い医療を継続的に提供できるようグループ全体で研鑽を積んでいます。また、外来診療とリハビリテーションを行うクリニックも都内に6ヵ所あり、手術は当院で受けて術後の外来やリハビリテーションはグループ内の他のクリニックで受けることも可能です。どの施設を受診しても同じ内容の診療やリハビリテーションを継続できるようグループ内で連携しています。さらに、近隣のリハビリテーション病院とも連携し、必要に応じて術後すぐに転院してリハビリテーションを開始できる体制を整えています。
今後の展望と地域住民・読者へのメッセージをお願いします。
高齢化に伴い、今後も骨粗しょう症や脊椎脊髄疾患の患者さまの増加が見込まれます。グループ内に限らず、近隣の開業医の先生方とも連携しながら地域全体で治療やケアに取り組む必要性を感じており、コロナ禍で中断していた地域連携の会を再開するなど、顔の見える関係づくりを進めていきたいと思っています。さらに、後進の育成にも力を入れていきたいですね。医師だけでなく、看護師やリハビリテーションスタッフ、薬剤師、臨床検査技師などコメディカルも含め、全職員のスキルアップを図り、提供できる医療の質を保持・継続していくことで、患者さまの生活の質向上に貢献していきたいと考えています。当院は手術治療だけではなく、薬物治療やリハビリテーションなどの保存的治療も積極的に行っています。手術するしないにかかわらず、首や腰、手足の痛みやしびれなど、心配な症状がある場合は、気軽に外来でご相談いただければと思います。
光山 哲滝 院長
1997年日本医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学脳神経外科学講座に入局。同大学病院をはじめ、国際医療福祉大学三田病院脊椎脊髄センター、亀田総合病院脊椎脊髄外科で研鑽を積む。2011年ドイツ・チュービンゲン大学脳神経外科に客員研究員として留学。2016年品川志匠会病院に入職、2022年より現職。日本専門医機構脳神経外科専門医。