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医療法人平成博愛会 印西総合病院

(千葉県 印西市)

原崎 弘章 病院長

最終更新日:2020/11/25

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救急と幅広い診療科で地域医療の中核を担う

2015年に開設された「印西総合病院」。正面玄関から中に入ると、壁を彩る青いタイルと待合スペースに並ぶカラフルなソファーが目に飛び込んでくる。明るい笑顔で挨拶をしながら、生き生きと働くスタッフの姿が印象的だ。「絶対に見捨てない」という病院の理念のもと、救急患者を受け入れ、在宅復帰までの療養期をサポートする。3次救急病院と地域の開業医院の医師たちとの交流会を開催し、それぞれの医療を結ぶ中心的な役割を果たしている。病院長の原崎弘章先生がめざすのは「Patient centered medicine(患者中心の医療)」で、スタッフの対応から治療の内容まですべてに満足してもらうこと。地域住民向けのリハビリ健康教室や地域公開セミナーを開催し、予防に向けた取り組みにも力を入れている。長年、米国で医療に携わってきた原崎先生に、今後日本でどのような病院が必要になるのか、そのための地域連携のあり方など、詳しく話を聞いた。(取材日2017年5月23日)

地域の中でどのような役割を担われているのでしょうか?

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当院は2次救急を担う総合病院として、3次救急病院と開業医院、そして介護施設や在宅医療の間にしっかりと入って連携をとる役割を果たしています。中でも救急患者さんの受け入れはとても重要です。2017年4月から救急を専門とする医師を配置し、各診療科の常勤医と協力しながら、子どもから大人まで年齢を問わず救急患者さんを受け入れることができる体制を整えました。より専門的な治療が必要な患者さんをスクリーニングし、適切な診断によって小児の専門病院や3次救急病院につないでいきます。外来手術にも対応できるようになり、近い将来、皮膚腫瘍、胃がんや大腸がんなどの悪性腫瘍、腹部炎症性疾患に対する手術、整形外科の手術ができるように環境を整えたいと考えています。

地域連携のための取り組みについて教えてください。

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私は26年間、米国の医療と病院運営に携わってきたのですが、その経験を生かしながら日本でどのようなシステムを取り入れればよいかを考えて実践しています。当院がどういった機能を持てば一番地域に貢献できるか、それを知るためにはまず地域のニーズを把握することが必要です。当院では年に4回、大学病院や近隣の開業医院の医師たち、介護施設のスタッフ、市の地域連携担当の職員を招いて地域交流会を開催しています。3次救急病院や開業医院との連携をどのようにしていくか、その間に立つ私たちが話し合いの場を提供することで、地域医療はさらに前進していきます。また高齢化によって、今後在宅医療の必要性はますます高まるでしょう。当院ではすでに訪問リハビリテーションを始めており、将来的には訪問看護と訪問診療にも取り組んでいく計画です。開かれた病院をめざして、住民の皆さんに向けたリハビリ健康教室や公開セミナーなども開催しています。

回復期、慢性期医療を得意とされていると伺いました。

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当院を運営する平成医療福祉グループは、もともと療養と回復期医療を得意とする法人ですので、豊富なリハビリテーションのノウハウを持っています。今年の7月からは回復期リハビリテーション病棟が2病棟(85床)になり、より在宅復帰に向けた医療体制が整います。速やかに在宅復帰していただくためには、リハビリテーションがとても重要。具体的な目標を持って、患者さんご自身に成果を実感してもらいながら進めています。脳血管障害や心臓手術後の患者さんを受け入れ、社会復帰までをサポートするのも当院の役割です。リハビリ機能だけに特化した病院もありますが、ここでは急性期医療ができますので、気管切開や合併症での手術、糖尿病や心疾患などの持病の治療も合わせてできるのが特長です。総合病院としての強みを生かし、緊急性の高い処置にも対応しながら、在宅医療までのスムーズな道筋を築いていきたいと考えています。

先生のご専門は心臓外科だそうですね。

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ええ。父が産婦人科の医師だったので、医学生のときは帰省のたびに父の往診に連れて行かれて、夜中に呼ばれてお産を手伝ったこともあります。新しい命が生まれる素晴らしい瞬間にも立ち会うことができました。出産では一定の確率で先天性心奇形の赤ちゃんが生まれてくるのですが、「どうにかできないだろうか」と思ったことが心臓外科を専攻したきっかけです。私が医師になったばかりの1960年代後半は、心臓手術を受けた患者さんが30日以内に亡くなってしまうことも少なくない時代。ちょうど新しい心臓手術が開発される過渡期にあたっていたので、助からない患者さんが多かったのです。そこで世界でも先駆けて心臓カテーテル治療やバイパス手術を始めた、米国のクリーブランドクリニックに留学して学ぶことを決めました。2001年に帰国した際には、日本に体外式の補助人工心臓を持ち帰り、産後の劇症型心筋炎の患者さんの治療で使うことができました。

最後に病院運営で大切にされていることを教えてください。

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「Patient centered medicine(患者中心の医療)」を大切にしています。物事を考えるときに「何が患者さんにとってベストか」を基盤にすることで、判断に迷うことが少なくなります。クリーブランドクリニックでは、一人の患者さんに対して複数の診療科の医師がチームを組んで、ディスカッションをしながら治療方針を決めていました。当院でも各科の垣根がない状態で、それぞれの先生たちが患者さんについて相談できる環境になっています。企業文化をつくるには10年かかると言われていますが、今はその基礎をつくっている大事な時期。もう一つスタッフに伝えているのが、「Total experience(すべてに満足してもらう)」です。受付での丁寧な対応、医師や看護師、事務職員や清掃スタッフから受ける印象、そして質の高い医療。病院内でのすべての経験で患者さんに満足していただくことを大事にしています。

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原崎 弘章 病院長

1968年に九州大学医学部卒業。専門は心臓外科。1976年から心臓外科治療に定評のあるクリーブランドクリニックに留学し、1986年からは正教授として勤務。NIH(米国国立衛生研究所)で研究の評価を行う審査員の一人にも選ばれた。モスクワ人工臓器・移植センター客員教授、台湾中興大学客員教授を兼務し、2002年帰国時には補助心臓BVS5000を日本に紹介。新東京病院院長などを経て、2015年から現職。

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