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社会福祉法人愛徳福祉会 南大阪小児リハビリテーション病院

(大阪府 大阪市東住吉区)

川端 秀彦 病院長

最終更新日:2025/11/12

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障害児医療の充実をめざす専門病院

大阪市東住吉区にある「南大阪小児リハビリテーション病院」は、1970年に脳性まひ専門病院として誕生した病院。障害児支援を主として設立された大阪発達総合療育センターと母体を同じくし、緊密に連携しながら医療、福祉、在宅など多方面から包括的にサポートできるのが特徴だ。設立から半世紀以上たった現在は、脳性まひのみならず四肢先天異常などさまざまな疾患を抱えた0歳から18歳までの患児を中心に診療を行い、将来的な自立をめざして手術、リハビリ、訪問診療、障害児歯科など多角的な支援を提供している。「すべての病気を治すことはできませんが、生まれつき抱えた問題を少しでも解決し、地域で生き生きと暮らせるように尽力することがわれわれの使命だと考えています」と話すのは川端秀彦病院長。大阪母子医療センターでは数多くの手術を執刀し、希少疾患や難治症例にも豊富な経験を持ち、その経験を同院に還元しながら障害児医療の未来を描く。今回は同病院の歴史や特徴について、詳しく話を聞いた。(取材日2025年9月17日)

まずは病院の成り立ちから聞かせてください。

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当院は、脳性まひをはじめとする障害児医療の充実を目的に、1970年に設立されました。開設当時は「脳性まひ児や肢体不自由児は施設で暮らすもの」という考えが一般的でしたが、社会の成熟とともに、子どもの成長や治療には家族や地域との関わりが欠かせないという認識が広がってきました。その中で当院は、在宅を基本とし、必要な際に入院や手術を行い、治療が終われば家庭や地域で暮らすという「当たり前の日常」を支えるための病院として誕生しました。この取り組みは多くのご家族に受け入れられ、やがて全国へ広まりました。また、脳性まひのリハビリで知られる神経発達学的治療法の一つであるボバースコンセプトを早期導入し、発達援助や機能改善に活用してきました。現在も主として乳幼児から中学生までを対象に診療を続けています。

どのような診療科があるのでしょうか?

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外来では小児整形外科、小児科、訪問診療科、障害児歯科に対応しています。小児整形外科では脳性まひに代表される、乳幼児中枢性運動神経まひに対する診断と治療に力を入れ、専門病院として特化した治療を実践しています。同時に、小児整形外科全般にわたる診療も対応できる体制です。四肢先天異常、骨系統疾患、股関節疾患、変形や腫瘍などなんでもご相談ください。小児科は運動面で発達に問題があるお子さんの診察を中心に、発達評価、てんかん診療などの発達神経、摂食・嚥下、呼吸ケアの専門に特化した外来を備えています。医療機関への通院が困難な患児には訪問診療で対応し、障害児歯科では、それぞれが抱える心身の問題に寄り添いながら、虫歯、歯周疾患、口腔疾患の予防を中心とした低年齢からの歯科管理を行っています。

多職種の連携にも力を注いでいるそうですね。

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当院は独立した病院というわけではなく、大阪発達総合療育センターと連携し、その医療部門を担っています。建物内には外来診療と120床の入院設備に加え、治療と保育を同時に行える児童発達支援部門や、生活介護・児童発達支援事業所を併設。さらに近隣の訪問看護ステーションや訪問リハビリとも密接に協力し、地域全体で障害児とご家族を支えています。障害のある方の暮らしを支えるには保健・医療・福祉の連携が不可欠ですが、制度の壁により必要な支援にたどり着きにくい現状があります。そこで当院では、入所・通所・在宅支援の各サービスを有機的に結びつけ、切れ目のないサポート体制を実現。子どもと家族が地域で安心して暮らし続けられるよう、多職種が力を合わせ包括的な支援を提供しています。

リハビリについても聞かせてください。

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リハビリテーション部門には、理学療法と作業療法、言語聴覚療法の領域があり、100人ほどのスタッフがボバースコンセプトに基づいて、子どもたちの様子を理解し、一人ひとりに合った支援を行っています。最近では早期リハビリの重要性が知られるようになってきていることから、当院でも手術後早期からのリハビリや0歳児のリハビリにも取り組んでいます。大人ではなく小児が対象ですので、脳が変化する可能性、つまり可塑性や正しい運動発達の過程にも着目し、障害の軽減や将来的な自立を見据えたリハビリを実践しています。また同時に、専門的な小児リハビリを担う医療従事者の育成も重要な使命と考えています。理論だけでなく現場経験を重視し、実践力のある療法士の育成にも力を注いでいます。

それでは最後に、今後の展望やメッセージをお願いします。

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当院には専門的な治療を求めて、全国から多くの患児とそのご家族が足を運んでくださっています。残念ながらすべての病気を治せるわけではありませんが、子どもたちとそのご家族の生活の質(QOL)を向上することができるよう取り組んでいきたいと思います。レスパイト入院や集中リハビリ入院も可能ですのでご相談ください。また、これまで以上に地域の小児科の先生方にとって相談しやすい医療機関になっていきたいと考えています。近年は小児整形外科疾患・小児科疾患のご紹介だけでなく、発達障害に関する相談も増えています。小児の運動や発達に関する診断に迷うことがあれば、ぜひ遠慮なくご連絡いただければと思います。少子化が進む時代ではあるからこそ一人ひとりを大切にした医療が大切です.われわれの存在が皆さまにとって心強いものであるよう、これからも尽力してまいります。

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川端 秀彦 病院長

大阪大学医学部を卒業後、同大学付属病院の整形外科で研鑽を積む。メルボルンにあるセントビンセント病院への留学を経て、大阪母子医療センター整形外科では数多くの希少疾患や難治症例の手術を経験。2015年に南大阪小児リハビリテーション病院病院長に就任。専門は小児整形外科で、四肢先天異常、分娩まひ、骨延長・変形矯正に豊富な経験を持つ。

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