医療法人生寿会 五条川リハビリテーション病院
(愛知県 清須市)
島野 泰暢 院長
最終更新日:2024/07/18
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人工透析療法とリハビリテーションを両輪に
「五条川リハビリテーション病院」。春にはリハビリテーションの歩行訓練の場に選ぶこともあるという、すぐ近くの五条川沿いは桜の名所となっている。同院は2003年の開業以来、人工透析療法とリハビリテーションを2本柱に、回復期から療養に至る入院生活、さらに退院後の在宅生活までシームレスに患者を支えることに努めている。血管外科部門では経皮的血管形成術やシャント手術が可能で、持続的かつ患者に安心を与えられるような透析療法を追求する。退院後は、必要に応じて通所・訪問リハビリテーション、訪問看護を提供しており、専門スタッフによる生活期のリハビリテーションにも軸足を置く。院長に就任して14年になる島野泰暢先生は、「透析、リハビリテーションを行う専門の病院として、また何でも相談しやすい身近な病院として皆さんのお役に立ちたい」と話す。島野院長のモットーは「みんなで幸せになろう」。「みんな」は患者のみならず働く職員も含めてのこと。医療を受ける側も提供する側も大事な存在であり、みんなが笑顔で健康に一生を送ってほしい、と話す島野院長に診療にかける思いや同院の特色などについて聞いた。(取材日2024年3月15日)
病院の成り立ちや地域での役割について教えてください。
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当院は、医療法人生寿会の一員で、名古屋市昭和区の「かわな病院」の分院として2003年に開業しました。その役割は、人工透析患者さんのリハビリテーションを行うこと、そして通院透析が難しくなった透析患者さんの長期療養を支えることです。通院してのリハビリテーションに加え、回復期で入院しつつリハビリテーションができるという施設は県下でも少ないため、当院には市内はもとより一宮市、稲沢市、あま市、最近では名古屋市内からも患者さんを受け入れることがあります。現在、回復期リハビリテーション病棟は、透析患者さんに限らず、透析以外の、急性期治療を終えた一般患者さんも受け入れています。透析治療とリハビリテーションという専門性を柱に、一方では、地域の皆さんの小さなお困り事や、「どこに相談していいかわからない」といったご相談を受け止める病院としての面も大切にしており、両輪で地域医療に貢献していきたいと考えています。
リハビリテーションが一つの特徴なのですね。
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はい。当院は回復期リハビリテーション病棟に加え、療養病棟、一般病棟を有しており、入院中はもちろん、通所・訪問リハビリテーションも行っています。回復期から療養、退院後までシームレスにリハビリテーションを続け、患者さんを支えることは非常に大事なこと。そうした生活期リハビリテーションに注力していることも当院の特徴ですね。通所リハビリテーションは地域の中でも規模が大きく、それも強みです。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など合計50人以上のスタッフが在勤しており、それぞれが専門性を生かし、患者さんごとの目標や病態に合わせて在宅復帰をめざします。医師は、特に高齢の方の生活習慣病をはじめとした多岐にわたる合併症を管理し、リハビリテーションに専念できるよう全身状態の安定を図ることに注力しています。多忙な中で事務職員も含めスタッフは本当によく頑張ってくれています。スタッフは患者さんを支える大きな力ですね。
リハビリテーションで目標とされることとは?
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ご本人とご家族の希望としてよくいわれるのは、歩行を含めた身体能力の向上はもちろん、まずはトイレに独りで行けることでしょう。われわれも、退院後は、病前にできるだけ近い状態で、その方らしい生活を送っていただきたいと思っています。しかし現実には、ご高齢だったり病状の問題や後遺症があったりでご本人とご家族の思い描いた希望どおりにいかないケースもあるものです。そうしたときにはなぜそうならないのか、なぜ施設へ入所しなければいけないのかをお気持ちに配慮しつつわかりやすく説明し、ご本人、ご家族の理解が得られるように努めます。その際も日頃のスタッフの連携力が生かされますね。ニーズをくみ取ってくれる医療ソーシャルワーカーの存在も大きいです。退院しても病院とつながりが切れるわけではありません。通所・訪問リハビリテーションも充実していますので上手に利用していただきたいですね。
もう一つの特徴である透析医療についても教えてください。
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血液透析、血液ろ過透析、持続的血液ろ過、血漿交換などに対応しています。血管外科専門部門があるのでシャントのトラブルにも対応でき、PTA(経皮的血管形成術)、シャント手術も可能です。診療時間は月曜から土曜の朝9時から夜10時半まで。ご都合に合わせて曜日変更ができるほか、夜間透析ができる施設が少なくなっている中、仕事帰りに透析をされたい患者さんにとって貴重な存在になっていると思います。また、看護師によるフットケアも当院の強みで、足病変の予防、悪化防止のためのケアに積極的に取り組んでいます。歩く機会が少ない患者さんに起こりやすい巻き爪や、乾燥、水虫、小さな傷、また血行不良が起こっていないかどうかを注意深く観察、足浴をしてクリームで保湿、パックをします。看護師は、勉強会に参加して発表したり他の医療機関の看護師と交流を深めたりして知識とスキルをブラッシュアップしており、頼もしい存在です。
改めて病院のめざすところについてお聞かせください。
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医療法人生寿会の基本理念は「一人ひとりを大切に」ですが、私はもっとかみ砕いて「みんなで幸せになろう」をモットーとしています。「Happy Go Lucky」、簡単にいうと「機嫌よくやっていればうまくいく!」という言葉が好きで、患者さんの幸せのためにも、まずスタッフにも幸せになってもらいたいのです。ワークライフバランスを大事に、産休、育休はもちろんその後の短時間勤務、医師には当直と夜間待機の免除などの制度も設けています。今後は外国人スタッフ採用も視野に入れ、多様性を認め合い、働きやすい職場環境づくりとスタッフの教育制度をより充実させていく所存です。職場は人生の時間の多くを占める所ですので職場を通じて豊かな人生を送ってほしい。家庭や友人などとの大切な「居場所」のように、当院も、患者さんにとっても、スタッフにとっても、心地良い居場所になることをめざします。
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島野 泰暢 院長
1993年名古屋市立大学医学部卒業。1998年同大大学院医学研究科修了。名古屋市立大学病院、名古屋市立守山市民病院に勤務した後、医療法人生寿会かわな病院へ。同病院透析センター長、副院長を経て、2009年五条川リハビリテーション病院副院長就任、2010年より現職。2023年7月医療法人生寿会理事長就任。